GLOSSARY
不動産用語集
基本的な用語から専門的な用語まで、不動産に関する用語を幅広く集めました。
不動産には、難しく分かりづらい不動産用語がたくさんあります。もちろん、スタッフが分かりやすい対応をいたしますが
不安に思ったり、どうしても意味が分からない用語があった場合は、この不動産用語辞典で解決しましょう。
アール
アールを付けるなどと使う。円の半径を表す記号「r」に由来して、曲面や曲線を付けることをいう。
アウトフレーム工法
マンションの住戸を構造的に支える構法に、「ラーメン構造」と「壁構造」がある。
ラーメン構造は、柱と梁を剛接合するもの。壁構造は壁で荷重を持たせるものでそれぞれ一長一短があるが、ラーメン構法の場合は、柱や梁が室内側に出っ張り(出隅・入隅)、デッドスペースを生み出してしまう。この短所を解消するのがアウトフレーム工法。柱や梁を住戸の外側に出してしまえば、住戸の室内には柱や梁の出っ張りはなくなるため、部屋を有効に使える。柱はバルコニー側と開放廊下側にあるが、バルコニー側に出すケースが一般的。
青色事業専従者給与
[読み:あおいろじぎょうせんじゅうしゃきゅうよ]
不動産所得がある個人が青色申告を行なっているとき、一定の条件を満たす家族従業員について「青色事業専従者給与の届出」をあらかじめ税務署に提出した場合には、家族従業員に対して支払った給与を必要経費とすることができる。このような給与を「青色事業専従者給与」と呼んでいる。ただしこの場合には、不動産の貸付けが「事業的規模」に達していることが必要となる。
青色申告
[読み:あおいろしんこく]
個人が、不動産の貸付け業などの事業を営んでいる場合には「確定申告」を行なう必要があるが、毎日の取引を正確に記録して、所得や税金の計算を正確に行なっている個人については、国が所得税法上のさまざまなメリットを与えるという制度が設けられている。この制度のことを「青色申告」という。
青色申告を行なう個人には、次のような所得税法上のメリットがある。1.一定要件を満たす「家族従業員」に支払った適正な給料・賞与(これを青色事業専従者給与という)は、必要経費となる。2.複式簿記に従って青色申告決算書を完成させることにより、所得から55万円の特別控除を受けることができる。3.複式簿記によらないで青色申告決算書を完成させた場合には、上記2.に代わって、所得から45万円の特別控除を受けることができる。 なお、青色申告を行なうためには、青色申告を行なおうとする年の3月15日までに、税務署に「承認申請書」を提出することが必要である(ただしその年の1月16日以後に業を開始した場合には、開始した日から2ヵ月以内に「承認申請書」を提出すればよい)。また、不動産の貸付けから生じる所得(不動産所得)のある個人が、上記1.から3.のメリットを享受するには、不動産の貸付けが「事業的規模」に達していることが必要である。
青田売り
[読み:あおたうり]
完成する前に宅地や建物を売却すること。新築マンションや戸建分譲住宅の販売手法として広く使われている。売主は事業リスクを回避し、早期に資金を回収できるなどの利点があるが、買主には、確実に建物が完成するかどうか、完成物での仕様や品質が予定どおりであるかなど、引渡しまでのあいだ不安が残りやすい。そこで、宅地建物取引業法では、宅建業者に対して建築確認前の広告や契約の禁止、手付金等の保全義務などを課している。
青地
[読み:あおち]
登記所に備え付けられている公図において青く塗られた部分のことで、国有地である水路や河川敷を示す。「青道」ともいう。青地は本来は国有地であるから一般の宅地にはならないはずだが、長い年月のうちに水路が事実上廃止されてしまって、青地を含む敷地に普通の住宅が建っていることも少なくない。このような青地を含む敷地を持つ中古住宅を購入する場合には、青地(国有地)を国から払い下げてもらう手続きを踏むのが安全である。
青道
[読み:あおみち]
「青地」と同じ。なお、青地はもともと水路や河川敷であるが、その機能を失いあたかも道のようなかたちになっていることも少なくない。「青道」という名称は、このような土地の形状を反映したものと考えられる。
赤地
[読み:あかち]
登記所に備え付けられている公図において、赤く塗られた部分のこと。国有地である道路を示すものである。従って、本来赤地は国有地であるから、一般の宅地にはならないはずだが、長い年月のうちに道路であることが忘れられてしまい、赤地を含む敷地に普通の住宅が建っていることも少なくない。このような赤地を含む敷地を持つ中古住宅を購入する場合には、赤地(国有地)を国から払い下げてもらう手続きを踏むのが安全である。
赤道
[読み:あかみち]
公図上で地番が記載されていない土地(無籍地)の一つで、道路であった土地をいう。古くから道路として利用された土地のうち、道路法の道路の敷地とされずにそのまま残った土地がこれに該当し、国有地である。公図に赤色で着色されていることから「あかみち」と呼ばれている。現に、道路でなくその予定もない赤道の払い下げを受けるには、用途廃止等の所定の手続きが必要である。
上がり框
[読み:あがりかまち]
玄関に段差が設けられて、腰を下ろせるようになっているとき、その腰を下ろす部分にあたる水平材のこと。高価な材が用いられることが多い。
空家対策特別措置法
[読み:あきやたいさくとくべつそちほう]
適切に管理されていない空家等について、その状態を是正するための措置を定めた法律。正式には「空家等対策の推進に関する特別措置法」といい、2014(平成26)年に制定された。同法は、市町村による空家等対策計画の策定、空家等の所在や所有者の調査、データベースの整備等を規定している。
悪意
[読み:あくい]
私法上の概念で、契約などの法律的な行為の際に一定の事実を知っていることをいう。逆に知らないことを「善意」という。民法などの規定において、事実を知っているかどうかによって行為の効果に違いが生じることがあり、一般に悪意の場合には不利になる。
アスファルトシングル葺き
[読み:あすふぁるとしんぐるぶき]
アスファルトシングルとは、基材(無機系材料)にアスファルトを塗覆した柔軟性のある板状の材料である。軽量かつ安価で、複雑な屋根でも加工しやすく、防水性、耐震性にも優れている。このアスファルトシングルで屋根を覆うことを「アスファルトシングル葺き」という。具体的な工法としては、アスファルトシングルを接着剤で下地に張る方法や、釘打ちによる方法がある。
アスベスト
石綿(せきめん・いしわた)のこと。繊維質であるため紡績することができる。また、耐久力があり、溶融点が1,300度程度と高く、熱絶縁性が大きく、耐薬品性も大きいなど、安価で優れた性質を持つため、さまざまな用途に使用されてきた。建築素材としても、断熱材、保温材、耐火材として大量に利用された。
アセットマネジメント(Asset Management)
委託を受けて不動産などの資産の形成、運用、保全を行なうことをいう。その際に重要なのは、投資目的に沿ってリスクとリターンをコントロールすることであり、資産価値を評価するほか、投資内容や投資先の分散、投資期間の設定などについて工夫することが要求される。また、その業務は多岐にわたり、例えば不動産を組み込んだアセットマネジメントにおいては、投資不動産の選定や売買だけでなく、不動産の収益性を左右する賃料の設定、テナントの選定などの業務にも関与する。
アティック
屋根裏部屋のこと。アティック(attic、アテカともいう)とは、もともと古代建築の記念門の上部につくられた部屋であったが、転じて屋根裏部屋の意味になったといわれている。
アトリウム
もともとはローマ時代の中庭や中庭付きの大広間のことだが、現代ではグリーンや池などを設け、人工的な自然環境をつくり出す、建物に囲まれた中庭、吹抜けなどの内部空間を指す。
アパート
英語の「アパートメント(apartment)」を略した言葉。わが国では1階建てもしくは2階建ての共同住宅で、建築構造が木造または軽量鉄骨構造のものを一般的に指している。しかし最近では2階建ての共同住宅であっても、重量鉄骨構造のものがあり、また外壁・内壁も軽量気泡コンクリートパネル等としているものもある。このため、マンションとアパートの外観上・構造上の区別がつきにくくなってきている。
アプローチ
敷地の入り口や門から建物までの小道(取付き道路)のこと。前面道路から建物までの距離をできるだけ取り、カーポートや前庭を配置することにより、まち並みや景観に配慮するケースが近年増えてきている。
雨どい
[読み:あまどい]
屋根面を流れる雨水を地上や下水に導くための溝形や管状の部材のこと。いわば雨の道で、横方向に流す軒樋(のきどい)、谷樋(たにどい)、縦方向に導くための竪樋(たてどい)、横樋(よこどい)と竪樋をつなぐ呼樋(よびどい)(形状が似ているので鮟鱇=あんこう、ともいう)などがある。ちなみに、ボーリング競技でいう「ガータ」は、英語で雨どいのこと。
アルコーブ
マンションにおいて、共用廊下から数m離れた位置に玄関扉を置いた造りのこと。
アレンジャー(Arranger)
不動産の証券化を実現するために各段階の実務を行なう参加者(不動産を所有するオリジネーター、証券を発行・販売する者、投資家など)の間に立ち、調整を行なう者。その業務に当たっては、証券化実行への働きかけ、証券化の仕組みの検討・立案、証券化に必要なSPCの設立、格付の取得、資産管理の具体化、最終的な決済の見届け・確認など広範な仕事を実施し、または関与することが要求される。特に、利害関係者間の調整が重要で、そのためには、不動産、金融、法務、税務などに関する広範で専門的な知識を要する。ただし、業務のための特別の資格制度はなく、不動産会社、証券会社、銀行、信託会社、独立の専門コンサルティング会社などがこれに当たっている。
アンカーボルト
布基礎にあらかじめ埋め込んでおく棒状の金物のこと。布基礎と土台を緊結するための重要な金物である。
暗号化
[読み:あんごうか]
当事者以外には内容が理解できないように文字等の記号を変換することをいう。インターネットを通じた情報交換においてはその通信は常に傍受可能であるため、秘密保持を要する記号(例えばクレジットカードの番号、重要な個人情報、企業秘密など)の通信に当たっては、暗号化が必須である。暗号化は、記号を一定の方法で変換し(その際に使う鍵が暗号化鍵)、変換した記号を伝達し、受け取った記号をもとの記号に復元する(その際に使う鍵が複号化鍵)というプロセスを基本とする。従って、暗号の安全性は、復号化鍵を当事者のみが知っていることによって保たれる。暗号化の最重要課題が第三者による復号化鍵の解読を困難にすることにあるのはそのためである。
遺言
[読み:いごん]
死後の法律関係を定めるための最終意思の表示をいい、日常用語として、「ゆいごん」と読むことが多い。その最大の役割は、遺産の処分について被相続人の意思を反映させることで、遺言がない場合は民法の規定に従って相続が行なわれる(法定相続)が、遺言を作成しておくと、遺産の全体または個々の遺産を誰が受け継ぐかについて自らの意思を反映させることができる。また、遺贈の方法により、相続人以外の者に遺産を与えることも可能である。ただし、それが有効であるためには、民法に定められた方法で行なわなければならない。一般的には、遺言書の全文(日付と氏名を含む)を遺言者が自筆で記述して押印する自筆証書遺言、遺言内容を公証人に確認してもらってから公正証書にする公正証書遺言、遺言内容を秘密にして公正証書にする秘密証書遺言のどれかの方法による。
遺産分割
[読み:いさんぶんかつ]
相続財産を相続人が分けることをいう。遺言により各相続人の取得する財産が具体的に記されている場合を除いて、相続人全員で協議して、誰が、どの財産を、どの方法で、どれだけ取得するかを決めなければならないのである。遺産分割の協議は、民法で「遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする」とされている。遺産分割協議に相続人全員が参加していなかった場合は、その遺産分割協議は無効となる。
また、協議は相続人間での任意の話合いであり、相続人全員で協議し、全員が賛成すれば、遺言や法定相続分に関係なく財産をどのように分けることも自由である。なお、協議ができないときや不調のときには、家庭裁判所で決めてもらうこととなる。具体的な分割の方法としては、遺産そのものを現物で分ける現物分割、相続分以上の財産を取得するときにその代償として他の相続人に金銭を支払う代償分割、遺産を売却して金銭に変換したうえでその金額を分ける換価分割がある。
意思能力
[読み:いしのうりょく]
法律行為を行なったときに、自己の権利や義務がどのような変動するかを理解するだけの精神能力のこと。民法上明文の規定はないが、このような意思能力を持たない者(=意思無能力者)の行なった法律行為は無効とされている(判例)。意思無能力者とは、具体的には小学校低学年以下に相当する精神能力しか持たない者と考えられる。通常、法律行為が無効であれば、その無効は契約等の当事者の誰からでも主張することが可能とされており、意思無能力者の行なった法律行為も同様である。ただし、意思無能力者の法律行為が無効とされるのは、意思無能力者を保護する趣旨であるので、意思無能力者が無効を主張しない場合(契約等の効力の存続を希望する場合)には、契約等の相手方から無効を主張することは許されない、とする有力な学説がある。
意思表示
[読み:いしひょうじ]
一定の法律効果を欲するという意思を外部に表示することである。意思表示は次の3つの部分から構成されている。1.内心的効果意思,具体的にある法律効果を意欲する意思のこと。例えば、店頭で品物を買おうと意欲する意思が内心的効果意思である。2.表示意思,内心的効果意思にもとづいて、その意思を表示しようとする意思のこと。例えば、店頭で品物を買うために、店員にその旨を伝えようとする意思である。(なお、表示意思を内心的効果意思に含める考え方もある)3.表示行為,内心的効果意思を外部に表示する行為のこと。例えば、店頭で品物を買うために、店員にその旨を告げることである。なお、内心的効果意思のもととなった心意は「動機」と呼ばれる。例えば、品物を家族にプレゼントしようという意図が「動機」である。しかし、現在は判例・通説では「動機」は原則として、意思表示の構成要素ではないとされている。
意思無能力者
[読み:いしむのうりょくしゃ]
意思能力を持たない人のこと。
イ準耐
[読み:いじゅんたい]
準耐火建築物の一つで、「建築基準法第2条9号の3イ」に規定されている建築物のこと。主要構造部のすべてを準耐火構造にすると同時に、延焼の恐れのある開口部(窓やドア)を防火戸等とした建築物である。
遺跡台帳
[読み:いせきだいちょう]
貝塚・古墳・住居跡などの遺跡について、その時代・種類・所在地・面積・主な出土品などを記載した台帳のこと。文化財保護法第95条の規定にもとづき、原則として市町村教育委員会が作成する台帳であり、一般の閲覧が可能とされている。なお、遺跡の区域を明示した地図は遺跡地図と呼ばれている。
遺跡地図
[読み:いせきちず]
貝塚・古墳・住居跡などの遺跡の区域を示す地図のこと。文化財保護法第95条の規定にもとづき、原則として市町村教育委員会が作成する地図であり、一般の閲覧が可能とされている。この遺跡地図に登載された遺跡の区域は「周知の埋蔵文化財包蔵地」となるので、土木工事等の目的で発掘しようとする者は、事前に文化庁長官に届出をする義務が生じる(同法第93条)。
遺贈
[読み:いぞう]
民法に定める方式の遺言により、特定の者に財産を贈与すること。民法では、民法に定める方式による遺言のみを認めており、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言、特別方式による遺言が定められている(民法第967条、第976条から979条)。これらの遺言において、遺言をする者が、特定の者に対して財産を贈与する意思表示をすることを「遺贈」という。特定の者に財産の何分の一を与えるというような抽象的な意思表示を「包括遺贈」、この家を与えるというような具体的な意思表示を「特定遺贈」と呼んで区別している(民法第964条)。「包括遺贈」には、民法の「相続」の規定の大部分が適用されるが、代襲相続・遺留分減殺請求権の規定は適用されない(民法第990条)。
位置指定道路
[読み:いちしていどうろ]
特定行政庁から道路位置指定を受けた私道を、一般に「位置指定道路」と呼んでいる(建築基準法第42条第1項第5号)。位置指定道路は「建築基準法上の道路」であるので、位置指定道路に面する土地では、建築物を建築することができる。
一団地認定
[読み:いちだんちにんてい]
一団地の土地を一つの敷地とみなして建築規制を緩和適用するための、特定行政庁の認定をいう。建築基準法に基づく制度である。建築確認に当たっては、一つの建物(用途上不可分の関係にある複数の建物は一つの建物とみなす)ごとに独立した敷地を確定し、基準の適合性が判断される。しかし、一団地認定を得れば、その土地に複数の建物を建築する場合でも(ただし、建物は総合的に設計されていなければならない)、一つの敷地に建築するとみなして建築規制が適用される。
緩和適用される規制は、接道義務、容積率制限、建ぺい率制限、日影規制等である。例えば、ある土地を敷地とした建物が規制を満たさない場合に、隣地を敷地とする建物と総合的に設計した上で、両方の土地を一体として一団地認定を得ることができれば、前者の建築が可能となることがある。一団地認定は、建築物の位置および構造が、安全上、防火上、衛生上支障がないと認められる場合に得ることができ、具体的な認定の基準は特定行政庁が公表している。
一団地の総合的設計
[読み:いちだんちのそうごうてきせっけい]
2以上の敷地等で形成されている一団の土地の区域に1または2以上の建築物を総合的な設計によって建築する場合に、その一団の土地の区域を建築物の一つの敷地とみなして建築規制(接道義務、容積率制限、斜線制限、日影規制等の規制)を適用する制度をいう。この制度の適用を受けるには、特定行政庁によって、建築物の位置および構造の設計について、安全上、防火上および衛生上支障がないと認定されなければならない。この制度を活用することによって、隣接する敷地等の間で容積率を移転することができる。
一括競売
[読み:いっかつけいばい・いっかつきょうばい]
土地の競売に当たって、土地に対する抵当権の設定後にその土地に建物が築造された場合に、土地とともにその建物をあわせて競売することをいう。民法によって認められている。なお、建物に対して抵当権が設定されていない場合や建物所有者が債務者と異なる場合にも当該建物を競売できるが、優先弁済の対象となるのは土地の対価についてのみであるほか、建物所有者が抵当地を占有するについて抵当権者に対抗することができる権利を有している場合は建物の競売はできない。
逸失利益
[読み:いっしつりえき]
損害賠償において請求することのできる損失の一つで、本来得られるべきであるにもかかわらず得られなかった利益をいう。「得べかりし利益」とか「消極的利益」ともいわれる。例えば、事故による入院中に得ることのできなかった収入や、後遺障害によって生じる減収はこれに当たる。現実に生じた損失(「消極的利益」に対して「積極的利益」といわれる)に比べて、額の算定に当たって幅が生じやすい。なお、慰謝料とは異なることに注意。
一般承継人
[読み:いっぱんけいしょうにん]
他人の権利義務を一括して承継する人のことで、包括承継人ともいわれる。たとえば被相続人の財産等を包括的に承継する場合の相続人がこれに当たる。承継するのは一身専属権(譲渡が禁止されている債権など)を除くすべての権利義務である。なお、個別の権利を承継する人を特定承継人といい、たとえば売買によって所有権を取得する者がこれに該当する。
一般建築物
[読み:いっぱんけんちくぶつ]
建築基準法において、特殊建築物と、大規模建築物とのどちらにも該当しない建築物のこと。
一般財団法人
[読み:いっぱんざいだんほうじん]
法律(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律)に基づく準則に従って設立された財団法人をいう。従うべき主な準則は、1)目的、設立者が拠出する財産及びその価額、評議員の選任・解任の方法などを定めた定款を作成すること2)定款中に、理事又は理事会が評議員を選任・解任する旨、及び設立者に剰余金又は残余財産の分配を受ける権利を与える旨の定めが無いこと3)評議員、評議員会、理事、理事会、監事を一定の手続きによって設置・運営すること(大規模一般財団法人については会計監査人が必置)4)一定の方法によって会計を処理することである。一般財団法人は、主たる事務所の所在地において、準則に適合するかどうかのみの審査を経て設立の登記をすることによって成立し、名称中に「一般財団法人」という文字を独占的に使用する。
一般社団法人
[読み:いっぱんしゃだんほうじん]
法律(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律)に基づく準則に従って設立された社団法人をいう。従うべき主な準則は、1)目的、社員資格の得喪に関する規定などを定めた定款を作成すること2)定款中に、社員に剰余金又は残余財産の分配を受ける権利を与える旨の定めが無いこと3)社員総会その他の機関を一定の手続きによって設置・運営すること(社員総会及び理事は必置であり、理事会、監事、会計監査人は定款により設置を選択できる)4)一定の方法によって会計を処理することである。一般社団法人は、主たる事務所の所在地において、準則に適合するかどうかのみの審査を経て設立の登記をすることによって成立し、名称中に「一般社団法人」という文字を独占的に使用する。
一般定期借地権
[読み:いっぱんていきしゃくちけん]
借地借家法(平成4年8月1日施行)により創設された3種類の定期借地権のうちの一つ。「一般定期借地権」とは次の3つの契約内容を含む定期借地権のことである。1.更新による期間の延長がない。2.存続期間中に建物が滅失し、再築されても、期間の延長がない。3.期間満了時に借地人が建物の買取を地主に請求することができない。なお、「一般定期借地権」の存続期間は少なくとも50年以上としなければならない。
一般媒介契約
[読み:いっぱんばいかいけいやく]
媒介契約の一つの類型。一般媒介契約とは、次の1.および2.の特徴を持つ媒介契約のことである。1.依頼者(すなわち売主等のこと)が「依頼した宅地建物取引業者」以外の「他の宅地建物取引業者」に重ねて媒介を依頼することが原則的に自由である。2.依頼者自身が、自分の力で取引の相手を発見し、直接契約することが原則的に自由である。
なお、依頼者が、「依頼した宅地建物取引業者」以外の「他の宅地建物取引業者」に重ねて依頼する場合において、その「他の宅地建物取引業者」の名称と所在地を、「依頼した宅地建物取引業者」に通知するかどうかにより、一般媒介契約はさらに次の2つの類型に分かれる。1)明示型の一般媒介契約明示型の一般媒介契約とは、「他の宅地建物取引業者」の名称と所在地を、「依頼した宅地建物取引業者」に対して通知する義務があるとする媒介契約である。2)非明示型の一般媒介契約非明示型の一般媒介契約とは、「他の宅地建物取引業者」の名称と所在地を、「依頼した宅地建物取引業者」に対して通知しなくてよいとする媒介契約である。
一筆の土地
[読み:いっぴつのとち]
土地登記簿において、一個の土地を指す単位を「筆」という。従って、「一筆の土地」とは「土地登記簿上の一個 の土地」という意味である。
移転登記
[読み:いてんとうき]
所有権移転登記のこと。所有権移転登記とは、不動産の売買取引において、不動産の所有権が売主から買主に移転したことを公示するための登記である。
移動等円滑化経路協定
[読み:いどうとうえんかつかけいろきょうてい]
バリアフリー化するための経路の整備、管理に関する協定をいう。「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」に基づき、土地所有者等の全員の合意によって締結され、市町村長の認可を得て公告される。移動等円滑化経路協定は、高齢者、障害者等が生活上利用する旅客施設、官公庁施設、福祉施設などが所在し、バリアフリー化のための整備を進めるべく指定される一定の地区(重点整備地区)内の一団の土地について締結され、経路案内設備、エレベーター、エスカレーター等の整備、管理などに関して定められる。この協定の効力は、新たに該当土地の所有者等となった者に承継される。また、この制限は、宅地建物取引の営業における重要事項説明の対象とされている。
囲繞地通行権
[読み:いにょうちつうこうけん]
ある土地が他の土地に囲まれているために、公道に出るには他の土地を必ず通行しなければならない場合、この土地は袋地と呼ばれる。また、この袋地を囲んでいる他の土地は、囲繞地と呼ばれる。民法では、このような袋地と囲繞地との関係において、袋地の所有者に対して、囲繞地を当然に通行することができるという権利を与えている。この権利を「囲繞地通行権」と呼ぶ(民法第210条)。なお袋地の所有者は、囲繞地を通行するためには、囲繞地の所有者に対して相応の金銭を支払うことが必要とされている(民法第212条)。ただし、広い土地を細かく遺産分割した結果として、袋地が発生してしまった場合には、袋地の所有者は、無償で囲繞地を通行することができる(民法第213条)。
委任契約
[読み:いにんけいやく]
民法上の典型契約の一つで、法律行為の実施を委託する契約をいう。労務供給契約であるが、雇用契約と違い受任者の裁量で実施すること、請負契約と異なり結果の完成が必須ではないことに特徴がある。宅地建物取引業における媒介契約は法律行為の実施を委任するものではないから民法上の委任契約ではないが、準委任契約として委任契約の規定(民法643~655条)が適用されることとなる。ただしその適用においては、特別法である宅地建物取引業法の規定が優先する。
居抜き
[読み:いぬき]
店舗や工場などを、その内部の商品、設備、什器備品などを設置したままの状態で売買・賃貸すること。従って、居抜きで購入もしくは借りた場合は、以前のままの内装や設計設備等が付帯するので、比較的早期で営業にこぎつけることができる。
違反建築物
[読み:いはんけんちくぶつ]
建築基準法や都市計画法などに違反している建築物。建築後に増改築や用途変更を行なった結果、違法となる場合もある。なお、法令の改正や都市計画の変更によって違法となった建築物は、「既存不適格建築物」であって違反建築物とはいわない。特定行政庁は、違反建築物を発見した場合には、建物の取り壊し、改築、修繕、使用禁止などの是正命令を出し、違反事実を公示できる。また緊急の場合は、特定行政庁が任命した建築監視員が工事施工の停止を求めることができる。
違法貸ルーム
[読み:いほうがしるーむ]
居住以外の用途に供していると称しながら多人数の居住実態がある建築物、マンションの一住戸や戸建て住宅を改修して多人数の居住の用に供している建築物等であって、居住用施設としての防火関係規定等を満たしていないものをいう。安価なシェアハウスなどに多いとされる。おもな違法事項として、非常用照明装置関係、窓先空地関係、防火上主要な間仕切壁関係、居室面積関係、採光関係がある。
違約金
[読み:いやくきん]
不動産の売買契約では、当事者の一方が債務を履行しない場合には、債務の履行を確保するために、その債務を履行しない当事者が他方の当事者に対して、一定額の金銭を支払わなければならないと定めることがある。このような金銭を「違約金」と呼んでいる。「違約金」と「損害賠償額の予定」とは、債務を履行しない当事者が支払う金銭という意味ではよく似た概念である。しかし「違約金」は、実際に損害が発生しない場合でも支払いの義務が生じるという点で、「損害賠償額の予定」とは大きく異なっている。ただし実際の売買契約においては、「違約金」という言葉を「損害賠償額の予定」と同じ意味で使用していることも多い。
さらに民法(第420条)では、違約金という言葉の意味について、売買契約書でその意味を明示していない場合には、違約金は「損害賠償額の予定」の意味であるものと一応推定されると定めている。このように「違約金」は、「損害賠償額の予定」と同じ意味であると解釈されるケースも実際には多いのである。そのため売買契約書において本来の意味での「違約金」を定める場合には、その意味を明記しておくことが望ましいといえる。
なお、宅地建物取引業法では、宅地建物取引業者が売主となる宅地建物の売買契約においては、「損害賠償額の予定」と「違約金」との合計額は売買代金の2割を超えてはならないと定めている(宅地建物取引業法第38条)。これは売買取引に精通していない一般の買主が不利にならないように特に保護している強行規定である。宅地建物取引業者同士の売買取引については、この宅地建物取引業法第38条は適用されない。
違約手付
[読み:いやくてつけ]
手付の一種で、債務不履行が発生した場合には、手付が没収される(または手付の倍額を償還する)という手付のこと。例えば、売買契約において買主が違約手付1万円を交付したとき、買主に債務不履行(代金支払義務の不履行)が発生すれば、その1万円は没収される。反対に、売主に債務不履行(引渡し義務の不履行)が発生すれば、売主は買主に2万円を償還しなければならない。このような違約手付は、損害賠償額の予定と解される。わが国では、手付とは原則として解約手付とされているが、解約手付であると同時に違約手付であってもよいとされている。
入会権
[読み:いりあいけん]
村落の住民が山林や河川において伐採・採草・漁労などを行なう権利(民法第263条、第294条)。民法上は、こうした山林河川の天然資源を利用する住民共同の権利は入会権と呼ばれ、その入会権は共有(民法第263条)あるいは地役権(民法第294条)として構成されているが、実態はむしろ総有に近いものとして理解されている。入会権は山林では次第に消滅しつつあるが、河川ではなお慣習的権利として存続している。
入母屋屋根
[読み:いりもややね]
屋根形式の一つで、上部が切妻屋根(両側に勾配のある屋根)、下部が寄棟屋根(四方に勾配のある屋根)のかたちのもの。
遺留分
[読み:いりゅうぶん]
被相続人の兄弟姉妹以外の相続人に対して留保されなければならない相続財産の割合をいう。原則として相続財産は被相続人が自由に処分でき、推定相続人の相続への期待は権利として保障されないが、相続が相続人の生活保障の意義を有すること、被相続人名義の財産には相続人の潜在的持分が含まれていることが多く、これを顕在化させる必要があることなどから、相続財産の一定割合について相続人に権利を認めている。遺留分は、相続開始1年前に贈与された遺産などを合算して、直系尊属のみが相続人の場合は遺産の3分の1、それ以外の場合は全体で遺産の2分の1とされている。
印鑑証明(会社の)
[読み:いんかんしょうめい(かいしゃの)]
株式会社・有限会社等の法人が、売買等の契約を行なう場合には、契約書に代表者印を押印するのが通例である。このような代表者印について、その代表者印が、登記所に対して印鑑届けを行なった正式なものであるということを、登記所が公的に証明した書面のことを「印鑑証明」と呼んでいる。
印鑑証明(個人の)
[読み:いんかんしょうめい(こじんの)]
個人があらかじめ市区町村役所において印鑑登録を行なった実印について、その実印が印鑑登録された正式なものであるということを、市区町村長が公的に証明した書面のことを「印鑑証明」と呼んでいる。
印紙税
[読み:いんしぜい]
約書、受取書、証書、通帳などを作成する際に課税される国税をいう。印紙税法に定められている20種類の文書(課税文書)が課税の対象となる。たとえば、不動産売買契約書、建築工事請負契約書、土地賃貸借契約書、代金領収書などは課税文書であるが、建物賃貸借契約書や不動産媒介契約書は課税文書ではない。印紙税の納付方法は、課税対象となる文書に収入印紙を貼り、その収入印紙に消印を押すことによって納税が完了する。この場合に、契約等において両当事者が文書を2通作成するときにはその2通についてそれぞれ印紙税を納付しなければならない。
印紙税を納めなかった場合には、印紙そのものを貼付しないときは納付すべき金額の3倍(自ら申告したときは1.1倍)、消印をしないときは消印をしない印紙と同額の「過怠税」が課税される。印紙税額は、文書の種類および文書に記載された契約金額等に応じて定められてる。なお、不動産の譲渡に関する契約書および建設工事の請負に関する契約書については、平成9(1997)年4月1日から平成30(2018)年3月31日の間に作成されるものに対する税率の引き下げが措置されている(平成26(2014)年4月1日以後に作成される文書に対する特例税率は、それまでの特例税率よりも低い)。
インテリア
本来は、建物の内部空間の全体を指す言葉である。住宅の場合でいえば、室内の天井・壁・床の内装材と、家具・調度品のすべてが「インテリア」である。また一般的には、家具と調度品のみを「インテリア」と呼ぶことも多い。
インテリアコーディネーター
家具や住宅設備などのインテリアを選択し、住む人にとって快適な住空間を作るために適切な提案を行なう専門家。インテリア商品の知識を提供するだけでなく、顧客と相談しながら、空間のデザイン、性能、快適性などを考え、費用を考慮して住空間を具体化することが求められる。その知識、技能を認定する試験として(社)インテリア産業協会が実施するインテリアコーディネーター資格試験がある。
インテリジェントビル
高付加価値のオフィスビルのことで、高度情報化建築物といわれることもある。はっきりした定義があるわけではないが、空調、電気、セキュリティなどの設備を自動的に制御し、建物内に情報通信ネットワークを構築して、オフィスオートメーションやテレコミュニケーションに対応できることなどが特徴である。省エネ、省コストに資するともいわれる。英語ではスマートビルと称することが多い(英語で、インテリジェントIntelligentは「賢い」、スマートSmartは「気の利いた」という意味である)。
インフラ長寿命化
[読み:いんふらちょうじゅみょうか]
インフラストラクチャー(社会資本)の維持管理や更新を戦略的に推進し、その機能を確保する政策が進められている。「インフラストラクチャー」の略語が「インフラ」である。インフラは、治山治水等の国土保全基盤、道路・鉄道・港湾・空港等の社会経済活動基盤、上下水道・公園・学校等の生活基盤などで構成されているが、過去から蓄積されてきたそれらについて、その機能の劣化を防止し、社会経済状況の変化を含めた中長期的なニーズに応えることが求められている。そこで、政府が主導して、インフラの寿命を長期化するための施策が展開されている。主な施策は次の通りである。
1)インフラを安全・強靱に維持・確保するために、センサー、ロボット、非破壊検査技術等による点検・補修の高度化、新材料の実用化などを推進する。2)インフラを総合的・一体的に管理するために、メンテナンスサイクルの構築、予防保全型維持管理の導入、維持管理の容易な構造の選択などを推進する。3)メンテナンス産業を育成するべく、新技術の開発・導入、市場の創出・拡大などを推進する。
ウェブ2.0(Web2.0)
インターネットを活用したサービスの革新的な形をいう。概念を指す言葉であって、明確な定義はない。
一般にその特徴としていわれているのは、1.ユーザーの手による情報の自由な整理、2.豊かなユーザー体験の提供(例えばブログ、タグ付け、検索エンジンの最適化などのサービス)、3.ユーザーによるサービスへの貢献(例えば利用者のレビューや評価が市場を動かすこと)、4.ニッチを基盤としたビジネス展開(シェアの小さいものを多数取り扱うビジネスの成功が有名でこれをロングテール効果という)、5.ユーザーの参加に委ねる運営、6.人間への根本的な信頼(代表例はWikipediaやオープンソースプログラム)、7.分散処理手法の徹底的な活用である(Tim O’reilly「What is Web2.0」による)。
つまり、インターネットが持っている特性である、利用者の自由、双方向性、極小コストという性質を組み合わせ、発展させることによって実現すると予想される、従来とは質的に異なる情報環境がWeb2.0と表現されていると考えてよい。(なお、2.0とは、コンピュータソフトの開発の際に開発の発展に従ってつけられるバージョン番号で、1.xから2.xへは質的な変化を伴うのが一般的である)。
ウォークインクローゼット
ウォークイン、つまり歩いて入れるクローゼット、衣類の押入のこと。衣装ダンス、衣裳戸棚を指すワードローブは家具のニュアンスが強いのに対して、ウォークインクローゼットは造り付け家具、ないし部屋の意味に使われることが多い。
浮床工法
歩行音やピアノ等の演奏に伴う音の振動が、床を伝わって伝搬しないようにするための工法。主構造体に防振材を据え付け、音を遮断・絶縁する。
請負契約
当事者の一方がある仕事を完成することを約束し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを約束するような契約を「請負契約」という。具体的には、家の建築工事、洋服の仕立て、物品の運搬などが「請負契約」に該当する。「請負契約」では、労務の供給そのものが目的ではなく、仕事の完成が目的である点に最大の特徴がある。請負契約については民法第632条から第642条で規定されているが、建設工事に関しては「建設業法」による規制があり、さらに「建設工事標準請負契約約款」と呼ばれるモデル契約書が存在している。
請負契約の一般的な内容は民法では次のとおりである。
1.請負人は、仕事の目的物(例えば家屋の建築工事ならば家屋を指す)を引き渡すと同時に、報酬を請求することができる(民法第633条)。
2.注文者は、仕事の目的物に瑕疵(欠陥のこと)がある場合には、その修補を請求し、損害賠償を請求することができる(民法第634条)。
3.注文者は、仕事の目的物に瑕疵(欠陥のこと)がある場合において、そのせいで契約の目的を達成できないときは請負契約を解除できる(ただし建物工事請負契約については解除できない)(民法第635条)。
4.上記2.3.の規定は、注文者の指図等により瑕疵が発生した場合には適用しない(民法第636条)。
5.上記2.の瑕疵修補請求権・損害賠償請求権は、仕事の目的物を引き渡したときから1年間に限り行使することができる。ただし、仕事の目的物が土地の工作物(建物等)であるときは5年間行使できる。また、仕事の目的物が石造・金属造などの工作物(建物等)であるときは10年間行使できる(民法第637・638条)。
6.注文者は仕事が完成する前においては、いつでも、損害を賠償して、契約の解除をすることができる(民法第641条)。
ただし、建設業界で使用されている建設工事標準請負契約約款では、上記5.の期間はさらに縮減されている。
請負人の瑕疵担保責任(品確法における~)
売買契約や請負契約では、契約の対象となった物に瑕疵(かし)があることが後日判明した場合には、売主や請負人は損害賠償等の責任を負わなければならない場合がある。
このように、売主や請負人が負うべき損害賠償等の責任を「瑕疵担保責任」と呼んでいる(「瑕疵」は「欠陥」の意味である)。
瑕疵担保責任は、請負契約については民法第638条等で規定されている。しかしながら民法第638条等は任意規定であるので、住宅の建築請負契約の実務では、請負人が瑕疵担保責任を負う期間を2年などの短い期間に設定するのが通例となっている。このように請負人の瑕疵担保責任が事実上非常に限定されていることが、欠陥住宅問題の発生原因の一つであると考えられている。
こうした状況を改善するため、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)第87条では「住宅を新築する建設工事の請負契約においては、請負人は、注文者に住宅を引き渡した時から10年間にわたって、構造耐力上主要な部分等に関する瑕疵担保責任を必ず負う」と規定した。これは、住宅の主要部分について請負人が10年間にわたり瑕疵担保責任を負うことを義務付けることで、住宅の注文者を強く保護する規定である。
このような「品確法における請負人の瑕疵担保責任」の具体的な内容は次のとおりである。
1.適用対象は住宅を新築する工事のみである。品確法では、請負人が10年間にわたり瑕疵担保責任を負うことを義務付けているが、この対象となるのは「住宅を新築する工事」のみである。従って、住宅の増築工事やリフォーム工事については、たとえその工事により住宅に欠陥が発生したとしても、品確法第87条は適用されない。この場合は民法第638条等により請負人の責任を追及するほかない(詳しくは瑕疵担保責任へ)。
2.適用対象は「構造耐力上主要な部分」と「雨水の浸入を防止する部分」のみである。「構造耐力上主要な部分」や「雨水の浸入を防止する部分」に該当しない部分(例えば住宅の内装など)について欠陥が判明したとしても、品確法第87条は適用されない。この場合は民法第638条等により請負人の責任を追及する。
3.引渡しから10年が過ぎると、瑕疵担保責任を追及できなくなる。請負人に対して瑕疵担保責任を追及することができる期間は、引渡しから10年間に限定されている。従って、例えば木造住宅の外壁に欠陥があり、その欠陥が引渡しから11年後に発見されたとしても、品確法第87条は適用されない。
4.権利行使期間が終了すると、瑕疵担保責任を追及できなくなる。瑕疵担保責任を追及するためには、建築物が壊れたときから1年以内に、請負人に対して瑕疵担保責任を追及する必要がある(この1年の期間を「権利行使期間」という)(住宅品質確保法第87条、民法第638条第2項)。例えば、木造住宅の引渡しから3年経過した時点で、欠陥に起因する雨漏りが発生したとしよう。このとき注文者は3年経過した時点で建築物が壊れたのだから、雨漏りの発生から1年以内に、請負人に対して欠陥の補修(または損害の賠償)を要求しなければならない。
雨漏りの発生から1年を超えたのちに請負人に対して欠陥の補修(または損害の賠償)を初めて要求したとしても、請負人は瑕疵担保責任を負わないのである。
5.瑕疵担保責任の追及の方法は「瑕疵修補請求」と「損害賠償請求」である。瑕疵担保責任を追及する方法としては、注文者は請負人に対して、住宅の欠陥の補修工事を要求することができる(これを「瑕疵修補請求」という)。また判例(昭和54年3月20日最高裁判決)によれば、注文者は請負人に対して、住宅の欠陥の補修工事が可能な場合であっても、補修工事を要求することなく、その欠陥から生じた損害を金銭で賠償するように要求することができる(これを「損害賠償請求」という)。従って、注文者は自らの判断で、補修工事と金銭賠償のどちらでも要求することができる。また、補修工事と金銭賠償を組み合わせて要求することもできる。
受付番号(不動産登記における~)
それぞれの登記所で登記申請を受け付けた順序に従って、その登記に付けていく番号のこと。登記記録では、甲区、乙区のそれぞれで、登記の時間的順序に従って、順位番号が付けられる。この順位番号では、区を越えた登記の前後が分からない。そこで、区を越えて登記の先後を知るためには、通し番号である「受付番号」で判断することになる。
雨水浸透阻害行為
雨水の浸透を妨げる恐れがあるとして、その実施に当たって都道府県知事等の許可を必要とする行為をいう。「特定都市河川浸水被害対策法」に基づき制限される行為である。
許可を要するのは、次のすべてに該当する場合である。
(1)市街化の進展によって河道等の整備による浸水被害の防止が困難であるとして指定された都市河川(特定都市河川)の流域内における行為
(2)宅地等にするための土地の区画形質の変更、土地の舗装、排水施設を伴うゴルフ場等の設置、ローラー等による土地の締め固めなど一定の行為
(3)行為に係る面積が原則として1,000㎡以上
雨水浸透阻害行為について許可が必要であることは、宅地建物取引の営業における重要事項説明の対象とされている。
なお、特定都市河川流域においては、雨水浸透阻害行為に伴って設置した雨水貯留浸透施設の機能を阻害する恐れのある行為について許可を要するほか、保全調節池の埋立て、敷地での建築物の新改築などについて届出が必要である。これらの制限についても、宅地建物取引の営業における重要事項説明の対象とされている。
雨水の浸入を防止する部分
住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)で定められた雨水の侵入を防止するための住宅の部分のこと(品確法第87・88条、同法施行令第6条第2項)。
具体的には次の部分が「雨水の浸入を防止する部分」に該当する。
1.住宅の屋根と外壁 (具体的には屋根・外壁の仕上げ・下地などを指す)
2.住宅の屋根・外壁の開口部に設ける戸・枠その他の建具 (具体的にはサッシなどを指す)
3.雨水を排除するため住宅に設ける排水管のうち、住宅の屋根もしくは外壁の内部または屋内にある部分
このような「雨水の侵入を防止する部分」については、住宅品質確保法により、新築住宅に関する10年間の瑕疵担保責任が義務付けられている。(詳しくは「請負人の瑕疵担保責任(品確法における~)」、「売り主の瑕疵担保責任(品確法における~)」へ)
内金
内金とは、売買契約が成立した後に、売買代金の一部として買主から売主へ交付される金銭のこと。手付が売買契約が成立する際に交付されるのに対して、内金は契約成立後に交付されるという違いがある。また、手付は契約の義務が履行されれば代金に充当されるのに対して、内金は交付される時点ですでに代金の一部である。
内法
建物の床面積を測定する際に壁の厚みを考慮せず、壁の内側の部分の面積だけを「床面積」とする考え方のことである。
不動産登記法では、分譲マンションなどの区分所有建物を登記する場合には、この内法の考え方で床面積を計算することとされている(不動産登記法施行令第8条)。この反対に、建物の床面積を測定する際に、壁の厚みの中心線を想定し、この中心線に囲まれた面積を「床面積」とする考え方のことを「壁心(へきしん・かべしん)」という。ちなみに建築基準法では、建築確認を申請する際には、建物の床面積はこの壁心の考え方で測定することとしている(建築基準法施行令2条1項3号)。
従って、分譲マンションなどの区分所有建物については、建築確認を申請する際には床面積を「壁心」で求めるが、その後に登記をする際には床面積を「内法」で求めているのである。
ウッドデッキ
庭の一部に設けられた木製の床で、居間等と連続した造りになっているものを「ウッドデッキ(木の甲板)」という。
埋戻し
埋設物の設置工事において、掘削した土砂等をもとに戻すことをいう。地震時に、埋め戻した土砂等が液状化して、埋設物に被害が生じることがあるため、埋戻し土を適切に選択すること、埋戻し部を締め固めまたは固化することなどが必要とされる。下水道などの官路については、特に適切な施工が求められる。
売建住宅
開発した宅地を分譲する際に、同時に宅地の購入者がその宅地に建設する住宅を分譲事業者に発注する方法で建てられた住宅をいう。「建売住宅」の建築主は不動産会社であるのに対して、「売建住宅」の建築主は宅地の購入者である。建売住宅に比べて設計などの自由度は高いが、建築を請け負う業者はあらかじめ決められている他、用意された建物の設計モデルから選択して発注することが多い。
なお、宅地分譲の方法は、大きく、宅地のみの分譲(更地分譲)と住宅付の分譲(建売分譲)に分かれるが、売建住宅はその実態を照らせば後者の類型に近いと考えてよい。また、宅地分譲の際に一定期間内に住宅を建設することを条件とする方法(建築条件付宅地分譲)があるが、売建住宅はこの方法の一つでもある。
売主
不動産の売買契約において、不動産を売る人(または法人)を「売主」という。また不動産広告においては、取引態様の一つとして「売主」という用語が使用される。この取引態様としての「売主」とは、取引される不動産の所有者(または不動産を転売する権限を有する者)のことである。
売り主の瑕疵担保責任(品確法における~)
売買契約や請負契約では、契約の対象となった物に瑕疵(かし)があることが後日判明した場合には、売主や請負人は損害賠償等の責任を負わなければならない場合がある。このように、売主や請負人が負うべき損害賠償等の責任を「瑕疵担保責任」と呼んでいる(「瑕疵」は「欠陥」の意味である)。瑕疵担保責任は、売買契約については民法第570条で規定されている。しかしながら民法第570条は任意規定であるので、住宅の売買契約の実務では、売主が瑕疵担保責任を負う期間を2年などの短い期間に設定するのが通例となっている。このように売主の瑕疵担保責任が事実上非常に限定されていることが、欠陥住宅問題の発生原因の一つであると考えられている。
こうした状況を改善するため、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)第88条では「新築住宅の売買契約においては、売主は、住宅の引き渡しの時から10年間にわたって、構造耐力上主要な部分等に関する瑕疵担保責任を必ず負う」と規定した。これは、住宅の主要部分について売主が引き渡し時から10年間にわたり瑕疵担保責任を負うことを義務付けることで、住宅の買主を強く保護する規定である。
このような「品確法における売り主の瑕疵担保責任」の具体的な内容は次のとおりである。
1.適用対象は新築住宅のみである。住宅品質確保法では、売主が10年間にわたり瑕疵担保責任を負うことを義務付けているが、この対象となるのは「新築住宅」のみであり、「既存住宅」は対象外である(既存住宅とは、「新築後1年以上経過した住宅」および「新築後1年以内に人が居住したことがある住宅」を指す)。従って、既存住宅の売主には、住宅品質確保法第88条はいっさい適用されないので、既存住宅に関しては民法第570条により売主の責任を追及するほかない(詳しくは「瑕疵担保責任」へ)。ただし、既存住宅の売主が宅地建物取引業者であるときは、宅地建物取引業法にもとづき、その売主の瑕疵担保責任の期間が設定されている(詳しくは「瑕疵担保責任(宅地建物取引業法における~)」へ)。
2.適用対象は「構造耐力上主要な部分」と「雨水の浸入を防止する部分」のみである。「構造耐力上主要な部分」や「雨水の浸入を防止する部分」に該当しない部分(例えば住宅の内装など)について欠陥が判明したとしても、住宅品質確保法第88条は適用されない。この場合は民法第570条により売主の責任を追及する。
3.瑕疵は「隠れたる瑕疵」であることが必要とされる。売買契約における売主の瑕疵担保責任は、契約の対象となる物に「隠れたる瑕疵」が存在する場合にのみ発生する。ここでいう「隠れたる瑕疵」とは、「買主が一般的に要求される程度の注意を払ったにもかかわらず買主が発見できなかった欠陥」のことである。従って、一般人である買主が通常知ることができないような欠陥は「隠れたる瑕疵」に該当し、瑕疵担保責任を追及することができる。
4.引渡しから10年が過ぎると、瑕疵担保責任を追及できなくなる。売主に対して瑕疵担保責任を追及することができる期間は、引渡し時(売主から買主への引渡しまたは建築業者から売主への引渡しのどちらか早い方)から10年間に限定されている。従って、例えばマンションの外壁に欠陥があり、その欠陥が引渡しから11年後に発見されたとしても、品確法第88条は適用されない。
5.権利行使期間が終了すると、瑕疵担保責任を追及できなくなる。瑕疵担保責任を追及するためには、買主が欠陥を発見したときから1年以内に、売主に対して瑕疵担保責任を追及する必要がある。この1年の期間を「権利行使期間」という(品確法第88条、民法第570条・566条)。この権利行使期間が過ぎてから、売主に対して欠陥の補修または損害の賠償などを初めて要求したとしても、売主は瑕疵担保責任を負わないのである。
6.瑕疵担保責任の追及の方法は「瑕疵修補請求」と「損害賠償請求」と「契約解除」である。 瑕疵担保責任を追及する方法としては、買主は売主に対して、住宅の欠陥の補修工事を要求できる(これを「瑕疵修補請求」という)。また、住宅の欠陥の補修工事が可能な場合であっても、補修工事を要求することなく、その欠陥から生じた損害を金銭で賠償するように要求できる(これを「損害賠償請求」という)。つまり買主は自らの判断で、補修工事と金銭賠償のどちらでも要求することができる。また、補修工事と金銭賠償を組み合わせて要求することもできる。なお、欠陥の程度がひどく、契約の目的を達することができない場合(欠陥により住宅に住むことが困難な場合など)には、売買契約そのものを解除して、代金全額の返還と損害賠償を要求することも可能である(品確法第88条、民法第570・566条)。
売渡証書
不動産の売買契約の内容を簡潔に要約した書面のことを「売渡証書」という。この売渡証書は、売主または買主からの依頼により、登記手続きを担当する司法書士が不動産売買契約書をもとにして作成するのが一般的である。売渡証書の記載内容は「売主の住所氏名」「買主の住所氏名」「売買される不動産の概要」である。この売渡証書は「所有権移転登記の原因を証する書面」として、所有権移転登記を申請する際に、登記所に提出される。
上物
土地の上に建物が存在しているとき、この建物を「上物」と呼ぶ。なお、不動産広告においては、土地の上に家屋が存在する場合について「上物あり」と表現することがある。上物が老朽化している等の理由で上物の価値が非常に低いと考えられるような場合には、不動産広告では「古家あり」または「廃屋あり」と表現するのが望ましいとされている(不動産の表示に関する公正競争規約第10条施行規則3条4号)。
営業収益(売上高)
企業会計上の概念で、企業の一般的な営業活動から得られた収入をいう。商品の売上高、サービスの料金収入などがこれに当たる。売上げのためには資産が必要であり、営業収益(売上高)の総資産に対する割合(総資本回転率)は、資産の利用効率などを分析するときの基礎データとされる。なお、営業収益は、営業活動を発生源とすることが営業外収益とは、発生が経常的であることが特別利益とは異なる。
営業保証金
宅地建物取引業者が営業を開始するにあたって、供託所に供託しなければならない金銭。この保証金は、宅地建物取引業者との取引によって生じた債権の履行を担保する機能を果たす。営業保証金の額は、主たる事務所につき1,000万円、その他の事務所につき事務所ごとに500万円である。なお、宅地建物取引業保証協会の社員は営業保証金を供託する必要はなく、代わりに同協会に対して弁済業務保証金分担金を納付しなければならないとされている。分担金の額は、主たる事務所につき60万円、その他の事務所につき事務所ごとに30万円である。
営業利益
企業会計上の概念で、企業の一般的な営業活動から生まれた利益をいう。当期の損益計算書をもとに、営業収益(売上高)から売上原価を引き(その値が売上総利益)、さらに販売費および一般管理費を差し引いて算出される。営業利益=営業収益-売上原価-販売費・一般管理費この値は、企業の営業活動の成果を示すこととなる。営業利益の営業収益(売上高)に対する割合が「営業利益率」であり、営業活動を分析するときの基礎データとされる。なお、営業利益がマイナスの場合は営業損失という。
永小作権
小作料を支払うことにより、他人の土地で耕作または牧畜をすることができるという権利(民法270条)。昭和27年以前には、地主が小作人に小作地として土地を使用させる方式がとられていたため、小作人は永小作権者として土地を使用していたが、昭和27年の農地法制定により、そうした前近代的な地主・小作関係はほとんど姿を消した。このため今日では永小作権は殆ど残存していない(なお今日では農地の貸与は賃借権によって行なわれている)。
液状化(地盤の~)
地震の際に地盤が液体状態となる現象をいう。水分をたくさん含んだ砂質の地盤で発生する。
地震による強い振動によって砂粒の間にある水分の圧力(間隙水圧)が高まり、砂粒の動きが自由になるために生じる。その結果、地上構造物の沈下や倒壊、地中構造物の浮き上がり、地盤の水平方向への移動(側方流動)、水と砂の吹き上げ(噴砂)などが起きる。新潟地震(1964)でその発生が確認され、その後、阪神・淡路大震災(1995)や新潟県中越地震(2004)でも発生した。また、東日本大震災(2011)では、千葉県浦安市をはじめ広範囲に発生し、大きな被害をもたらした。
なお、液状化あるいはそれによる被害を防ぐための工法が開発されている。
役務提供型契約
私法上の概念で、役務(労働サービス)の提供に関する契約をいい、売買、賃貸借と並ぶ主要な契約類型のひとつである。民法で規定されている雇用、請負、委任、寄託のほか、商法上の仲立、問屋、運送などのための契約がこれに該当する。また、不動産取引の仲介(媒介)契約も役務提供型契約である。役務提供型契約は、提供する役務・サービスの性質に応じて、有償・無償の別、成果物引渡の要否、報酬請求のあり方などについてさまざまなかたちがあり、発生する権利義務関係も多様である。そのため、民法で規定されている契約(典型契約)の既定によっては十分に対応できないのではないか、当事者間の交渉力等の違いによって利益を害することのないように配慮する必要があるのではないかなどの視点から、役務提供型契約の共通ルールを定めること等の必要性について議論がある。
エクイティ(Equity)
株主資本のこと。その資金は、新株や新株予約権付社債の発行などにより調達される。投資家にとっては、返済期限が定められていない資金の供与であり、その資金が利益の拡大に貢献する投資に充当されるよう監視が必要となる。エクイティに対してデット(Debt)という用語があるが、デットは、返済期間や金利が定められ、社債発行や銀行借入などにより調達される他人資本である。不動産の証券化に当たっては、不動産の価値を担保に資金を調達するが、その際にエクイティとデットをどのように組み合わせるかが重要となる。一般に、エクイティファイナンスのほうがハイリスク・ハイリターンであるといわれている。
エクステリア
本来は、建物の外観や建物の外壁を指す言葉であるが、わが国の不動産業界・建築業界では、建物の外周りに設置される工作物等を総称して「エクステリア」と呼んでいる。具体的には、住宅の場合でいえば、門扉、塀、生垣、庭、カーポートなどのことである。
エクスパンションジョイント
構造体を分割して変位に対応する工法における継ぎ目。Expansion joint。分割された構造体は相互に力を伝えない。対応が必要なのは、温度変化による収縮・膨張の変位、地震時の震動変位などが大きい場合や、変位性状が異なる構造体を一体化する場合である。対応の方法は、構造体のあいだに隙間(クリアランス)を確保し、継ぎ目に変位に追従する部材を設置する。部材の材質は、アルミニウムやステンレスである。
エコハウス
環境への負荷を抑えるための対策を講じた住宅のこと。対策の目標は、省エネルギーや再生可能エネルギーの使用、資源の再利用、廃棄物の削減などであり、具体的には、屋上緑化や雨水の再利用、太陽光・風力エネルギーの利用、ゴミの減量などが実施される。その基準として、例えば(一財)建築環境・省エネルギー機構が定めた「環境共生住宅認定基準」があるが、この基準では、環境負荷の抑制だけでなく、バリアフリー化や室内の空気質の維持(シックハウス対策)なども要求されている。
エスクロー(Escrow)
取引の際に、売り手と買い手の間に信頼を置ける中立な第三者を仲介させること、またはそのサービスをいう。不動産取引の安全を確保するためにアメリカで発達した仕組みであり、最近は電子商取引の決済においても活用されている。不動産取引の場合には、エスクローサービスを提供する第三者は、売り手からは権利証書等を、買い手からは代金を寄託され、物件の確認、決済、登記、引渡しなどの業務に当たる。もっとも、日本ではあまり広まっていない。取引当事者間に信頼感があること、宅地建物取引業者が包括的なサービスを提供していることなどの事情によるものと考えられる。
エレベーター
荷物や人をかご(籠)に載せ、その箱を主に垂直方向に移動して運搬する装置。移動空間(シャフト)、かご、ワイヤーロープ、釣り合い錘り、駆動装置、調速機などで構成される。建築物にエレベーターを設置する場合には、建築基準法に基づいて確認・完了検査が必要とされている。また一般に、高さ31m(おおむね6~7階に相当する)以上の建築物については、エレベーターを設置しなければならない。なお、建築基準法では、「エレベーター」「エスカレーター」「小荷物専用昇降機」を「昇降機」としている。
沿道地区計画
都市計画法第12条の4に規定する「地区計画等」の一つ。幹線道路の沿道の整備に関する法律に従い、都市計画によって定められる。沿道地区計画は、幹線道路のうち交通騒音が著しく沿道に相当数の住居が密集している道路(沿道整備道路という)の沿道の地区について、緑地帯などの緩衝帯の整備、沿道の建築物の建築の規制などにより、騒音被害の防止を図ろうとする計画である。
エントランス
建物の入り口や玄関のこと。マンションや商業ビルでは、その建物の印象に強い影響を及ぼすことが多い。
オーナーチェンジ
賃貸住宅の所有者が、賃借人が入居したままその建物を売却することをいう。購入者は新たに賃借人を見つける必要がなく、投資用のワンルームマンションでよく使われる方法である。その際に、賃借人から預かっている敷金の引渡しや建物の管理ルールの引継ぎなどに注意が必要である。
オーニング
英語でawning、窓やポーチに張り出して設置する可動式の「日よけ」をいう。一般に、テント生地でできている。オーニングによって、窓辺などの陽射しを調節したり、ポーチなどを雨から保護することができる。
オーバーハング
もともとは登山用語で、岸壁の上部に突き出た岩、張り出した岩のことをいうが、建物の場合は、外壁よりキャンティレバーで支えられた跳ね出した床、バルコニーのことをいう。
オープンエンド
投資信託のうち、受益権の買い戻し義務があるもの。信託による投資は、投資者が金銭を受託者に提供し、受託者がその資金を運用し(運用先が不動産経営である場合がREIT)、投資者は運用益を受け取る権利(受益権)を保有するしくみである。この場合、オープンエンドにおいては、投資者は、いつでも受託者に対して受益権の買い戻しを求めることができる。このときの買い戻し価格は、純資産価額に基づいて算出される基準価額である。
金融商品として売り出されている契約型の投資信託のほとんどすべては、オープンエンドである。また、私募REITの大部分もオープンエンドである。なお、受益権の買い戻し義務のない投資信託は「クローズドエンド」といわれ、会社型の投資信託に多い。上場されているREITもクローズドエンドである。
オープンスペース
大規模なビルやマンションに設けられる空地(くうち:敷地のうち建築物が建てられていない部分)であって、歩行者用通路や植栽などを整備した空間をオープンスペースという。また広い意味では、都市における公園・緑地・街路・河川敷・民有地の空地部分などの建築物に覆われていない空間を総称して「オープンスペース」と呼ぶ場合がある。
高層建築物による景観や生活環境の悪化に対する制度として、国では昭和36年に特定街区制度、昭和46年に総合設計制度を創設した。これらの制度は、大規模なビルやマンションを建設する際に広い空地を確保し、その空地を一般の歩行者が自由に通行できる空間として利用することを推奨するものである。特に後者の総合設計制度は、現在も広く活用されており、この制度によって設けられた一般公衆が自由に出入りできる空地は「公開空地」と呼ばれている。
近年では、大規模なビルやマンションにおいて、ヒートアイランド現象を緩和するために地上の空地部分の緑化が推進されており、また地方自治体の条例により良好なまち並みの形成が推進されている。さらにビルやマンションの市場価値自体を高めるという目的のために、開発者が空地に歩行用通路・樹木・植栽・庭園・水路などを整備することが盛んになっている。このようなさまざまな理由にもとづいて、大規模なビルやマンションの空地において、通路・植栽等を整備することが近年盛んになっている。こうした空地のことを一般に「オープンスペース」と呼んでいる。
オープンハウス
本来は、企業のオフィスや生産施設を、顧客・取引先・投資家に見学させて、企業に対する理解度を高めるという企業広報活動のこと。不動産業界では、販売しようとする物件の内部を一定の期間、担当営業員が常駐して、買い希望客に公開するという販売促進活動を指す。
オール電化システム
住宅内の熱源、例えば冷暖房、給湯、調理などに必要な熱をすべて電気で賄うシステムをいう。燃料の燃焼による有害物質や水蒸気が発生しないこと、火事の恐れが比較的小さいことなどが特徴とされる。
追いだき
追い焚き、追焚きとも。風呂の湯の温度が時間の経過や入浴により低下したときに、温度を上げるために風呂の湯を再度加熱することを「追いだき」という。かつては手動で追いだきを行なっていたが、近年はオートタイプのガス風呂給湯器やオートタイプの電気温水器が登場したことにより、自動的に追いだきを行なうことができるようになった。
大壁
構造用合板などの面材で柱を覆い、柱を隠した壁のこと。
屋外広告物条例
[読み:おくがいこうこくぶつじょうれい]
屋外広告物法第3条から第5条までの規定にもとづいて、都道府県・指定都市・中核市・景観行政団体である市町村が定めた、屋外広告物の規制に関する条例のこと。屋外広告物条例による規制が可能な地域は、従来は「市及び人口5千人以上の市街的町村の区域」(旧屋外広告物法第3条第1項)に限定されていたが、平成16年の法改正により、全国どこでも屋外広告物条例を設けることが可能になった(法第3条から第5条)。
屋外広告物条例による規制内容は、屋外広告物の表示・掲出の禁止(法第3条)、屋外広告物の表示・掲出に対する知事・首長の許可制(法第4条)、屋外広告物の形状・面積・色彩・意匠・掲出方法の基準(法第5条)である。また屋外広告物条例で定めるところにより、違反広告物を除却することができる(法第7条)。
屋外広告物法
[読み:おくがいこうこくぶつほう]
屋外広告物を取り締まるため、昭和24年に制定された法律。最近、景観法の創設に伴って、屋外広告も良好な景観の形成に影響を与えるという観点により、平成16年6月に大幅改正された(改正法の施行は平成16年12月より)。屋外広告物法では、立看板、広告旗(いわゆる「のぼり」)、広告看板、広告塔などを「屋外広告物」と規定している(第2条)。また、屋外広告物の表示・屋外広告物を掲出するための物件の設置を行なう営業のことを「屋外広告業」と呼び(第2条)、この営業を登録制としている(第9条)。
都道府県・指定都市・中核市・景観行政団体である市町村は、良好な景観または風致を維持するために必要があると認めるとき等においては、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、美観地区、風致地区または伝統的建造物群保存地区、景観地区などの地域において、屋外広告物の表示・掲出を、条例で禁止することができる(第3条)。また、都道府県・指定都市・中核市・景観行政団体である市町村は、良好な景観または風致を維持するために必要があると認めるとき等においては、屋外広告物の表示・掲出を条例で知事・首長の許可制とすることができる(第4条)。さらに、屋外広告物の基準を条例で定めることができる(第5条)。
このような屋外広告物条例に違反した屋外広告物については、知事・首長は、相当の期限を定めて、除却を命令することができる(第7条)。ただし、立看板・のぼり等については、簡易除却制度が設けられており、知事・首長が通知・公告なしに立看板・のぼり等を即時撤去することができる。
[読み:おくじょうぼうすいこうじ]
建物屋上の雨漏りを防ぐ工事をいう。屋上防水の方法には、大きく、)防水塗料を塗る方法(塗膜防水):ウレタン防水、FRP(ガラス繊維強化プラスチック)防水)防水シートを貼る方法(シート防水):ゴムシート防水、塩化ビニールシート防水)アスファルトを含んだ不燃布等を重ねあわせて接着する方法(アスファルト防水)がある。防水方法は、屋根の形状や施工条件に応じて選択する。
屋上緑化
[読み:おくじょうりょくか]
樹木・植物などを建造物の屋上に設置し、緑化すること。近年ではヒートアイランド現象を緩和するために屋上緑化が非常に有効であることが認識されるようになってきた。このため国では、平成13年8月より「都市緑地保全法」を改正・施行し、「緑化施設整備計画認定制度」を創設している。この制度は、一定の要件を満たす樹木・植物などを屋上等に設置する場合には、固定資産税を軽減するというものである。
また東京都では、平成13年4月より東京都自然保護条例を改正・施行し、1,000平方メートル以上の敷地面積の民有地において、建築物等を新築・増築する者に対して、地上部の空地部分の20%と屋上の利用可能部分の20%を緑化することを義務化している。
奥行
[読み:おくゆき]
建物や宅地の前面道路に接する境界から、その反対側の境界までの距離。これに対して、前面道路に接している距離を「間口」と呼び、この両者によって建物や宅地の形状や大きさをおおまかに示すことがある。
汚染井戸周辺地区調査
[読み:おせんいどしゅうへんちくちょうさ]
水質汚濁防止法の第15条の規定により、都道府県知事が毎年度実施している地下水モニタリングの一つ。すでに発見された地下水汚染地区がある場合に、その地下水汚染地区(およびその周辺)に所在する複数の井戸の水質を毎年検査し、地下水汚染の範囲が経年的に拡大または縮小していることを調べるという調査である。平成13年度では約2,600の井戸で実施された。
汚染土壌の掘削による土壌汚染の除去
[読み:おせんどじょうのくっさくによるどじょうおせんのじょきょ]
汚染土壌について、地下水汚染を経由した健康被害の恐れがある場合、または土壌の直接摂取による健康被害の恐れがある場合における土壌汚染の除去等の措置の一つ。汚染土壌を掘削し、その場所に掘削した汚染土壌以外の汚染されていない土壌を埋め戻す。また、掘削した汚染土壌から特定有害物質を除去した土壌を埋め戻してもよい(環境省の「土壌汚染対策法ガイドライン」を参考とした)。
汚染土地の指定
[読み:おせんとちのしてい]
土壌汚染状況調査の結果、その土地の土壌の特定有害物質による汚染の状態が、法定の基準に適合しないと認められる場合には、都道府県知事は当該土地の区域を、特定有害物質によって汚染されている区域として指定する必要がある(土壌汚染対策法第5条)。このようにして知事に指定された区域を、土壌汚染対策法では「指定区域」と呼んでいる。
都道府県知事はこの「指定区域」を指定するに当たっては、次のように詳細な事項を都道府県の公報に(土壌汚染対策法施行令により市長が事務を行なう場合には市の公報に)公示しなければならない(土壌汚染対策法施行規則第19条)。1.法定基準に適合していない特定有害物質の名称 2.当該土地の所在市町村、大字、字、小字および地番 3.一定の地物、施設、工作物からの当該土地までの距離および方向 4.当該土地の平面図
汚染土地の指定区域台帳
[読み:おせんとちのしていくいきだいちょう]
土壌汚染状況調査の結果、その土地の土壌の特定有害物質による汚染の状態が、法定の基準に適合しないと認められる場合には、都道府県知事は当該土地の区域を、特定有害物質によって汚染されている区域として指定する必要がある(土壌汚染対策法第5条)。このようにして知事により汚染土地の指定受けた土地の区域を、土壌汚染対策法では「指定区域」と呼んでいる。このような指定区域に指定された場合には、知事は、健康被害の拡大や不動産取引上の不測の損害が発生することを防止するために、指定区域台帳にその指定区域を登載する必要がある。
この指定区域台帳の帳簿および図面は、誰でも閲覧することができ、知事はその閲覧を拒否することが原則としてできない(土壌汚染対策法第6条)。なお、汚染が除去され、指定が解除された場合には、この指定区域台帳からその土地に関する帳簿および図面は消除される(土壌汚染対策法施行規則第20条)。
汚染土地の指定区域台帳の記載事項
[読み:おせんとちのしていくいきだいちょうのきさいじこう]
土壌汚染状況調査の結果、その土地の土壌の特定有害物質による汚染の状態が、法定の基準に適合しないと認められる場合には、知事はその土地を汚染土地の指定区域台帳に登載しなければならない。この指定区域台帳に記載される事項および添付される図面はおよそ次のとおりである(土壌汚染対策法施行規則第20条、同施行規則様式第五)。
1.指定区域に指定された年月日 2.指定区域の所在地 3.指定区域内の土壌の汚染状態 4.土壌汚染状況調査を行なった土壌汚染調査機関の名称 5.土壌汚染状況調査において土壌その他の試料の採取を行った地点を明示した図面 6.指定区域の周辺の地図 なお、上記3.の指定区域内の土壌の汚染状態については、試料の採取量や試料の測定結果等を記載した書面を添付する必要がある。
汚染土地の土地の形質変更
[読み:おせんとちのとちのけいしつへんこう]
土壌汚染状況調査の結果、その土地の土壌の特定有害物質による汚染の状態が、法定の基準に適合しないと認められる場合には、都道府県知事は当該土地の区域を、その土地が特定有害物質によって汚染されている区域として指定する必要がある(土壌汚染対策法第5条)。このようにして知事により汚染土地の指定を受けた土地を、土壌汚染対策法では「指定区域」と呼んでいる。このような指定区域において、宅地造成等の土地の形質変更を行なう場合には、工事に伴って汚染が拡散する恐れがあるので、工事を行なおうとする者は、着手する日の14日前までに知事に届出を行なう必要がある(土壌汚染対策法第9条)。
なお、当該工事が汚染を拡散させる恐れがある場合には、知事はその工事の計画を変更することを命令することができる(土壌汚染対策法第9条)。
乙区
[読み:おつく]
登記記録において、不動産の所有権以外の権利に関する事項を記載した部分のこと。この乙区に記載される登記には「抵当権設定登記」「地役権設定登記」「賃借権設定登記」などがある。
おとり広告
[読み:おとりこうこく]
実際には取引できない物件の広告のことで、客寄せのためにする。架空の物件、売却済みの物件、売主に取引の意思がない物件などの広告はすべてこれに当たる。そのような広告を出すことは宅地建物取引業法に違反し、また、不動産公正取引協議会の不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)で禁止されている。
踊り場
[読み:おどりば]
階段の途中に設けられた踏面の広い段のこと。階段を昇降するときの危険防止と小休止のために設ける。また、階段の方向を変えるときにも付ける。幅と奥行き、段の高さの最大・最小寸法については、建築基準法で決められている。
オフバランス
[読み:おふばらんす]
資産をバランスシート(貸借対照表)から切り離すこと。「オフ・バランスシート」の略語。資産保有に伴うリスクや負債の軽減、キャッシュフローの獲得などの効果がある一方、資産利用コストの増大、キャピタルゲイン獲得機会の喪失などを伴う。
オフバランスは、資産の保有と利用とを分離する財務手法のひとつである。その例としては、不動産の証券化によって自社ビルを流動化すること、リースバック手法によって事業設備を流動化することなどがある。
オポチュニティファンド(Opportunity Fund)
[読み:おぽちゅにてぃふぁんど]
私募ファンド(任意の契約によって投資家から集められた資金を運用者が運用し、その成果を出資額に応じて投資家に還元する仕組み。元本保証はなく、リスクもリターンも投資家に帰属する)の一つで、高い運用実績を売り物にするものをいう。
投資対象を限定せず、運用者に自由な裁量権を与えてリターンを高めることに特徴があるが、一般に投資対象が限定的なファンドよりもリスクが大きい。不動産を投資対象とすることが多く、アメリカで普及した。
オリジネーター(Originator)
[読み:おりじねーたー]
不動産の証券化において、証券化の対象となる不動産、不動産信託受益権、不動産担保債権などを証券の発行に当たるSPC等に譲渡する者。原資産保有者、資産譲渡人ともいわれる。
証券化をスタートさせる役割を担うが、資産を譲渡したオリジネーターは資金を調達できるのである。また、オリジネーターは、証券化を推進する者と同一の場合もあるし、いったん不動産を譲渡したうえで、改めて同じ不動産を賃借することもある。
オルタナティブ投資
[読み:おるたなてぃぶとうし]
伝統的な資産以外に対する投資。伝統的な資産とされるのは上場株式や債券であるが、オルタナティブ投資は、これら伝統的な資産と価格動向等が連動しない資産に対する投資であり、リスクの分散、収益パターンの多様化、ハイリスク・ハイリターンなどのニーズに応えるべく発達してきた。
オルタナティブ投資のかたちは多様で、農産物、鉱産物などの現物・先物取引、不動産投資、ファンドへの投資、金融派生商品(先物、オプション、スワップなど、デリバティブといわれる)の取引などがある。
温室効果ガス
[読み:おんしつこうかがす]
人為的に排出され、地球温暖化の原因となると考えられている化学物質をいう。京都議定書で排出量の削減対象として指定されているのは、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、亜酸化窒素(N2O)、ハイドロフルオロカーボン類(HFCS)、パーフルオロカーボン類(PFCS)、六フッ化硫黄(SF6)の6種類である(HFCS、PFCS、SF6を合わせてフッ素ガス類という)。
温室効果ガス排出の削減に当たって削減量を評価するときには、これら6種類のガスを、100年間にわたる温室効果の強さに応じて二酸化炭素に換算する。その換算値(地球温暖化係数)は、二酸化炭素=1、メタン=25、亜酸化窒素=298、ハイドロフルオロカーボン類=124~1万4,800、パーフルオロカーボン類=7,390~1万2,200、六フッ化硫黄=2万2,800である。
換算評価すると、6種類の温室効果ガスの中で地球温暖化に対する寄与が最も大きいのは二酸化炭素である。排出量のシェアは、二酸化炭素76.7%(うち56.6%分は化石燃料からの排出)、メタン14.3%、亜酸化窒素7.9%、フッ素ガス類1.1%である(2004年、IPCCによる)。
なお、気候に対する人為的な影響は、温室効果ガスの排出だけでなく、エアロゾル(粉じん)の排出や森林伐採などによっても生じる。
オンライン申請(不動産登記における)
[読み:おんらいんしんせい]
不動産登記を、インターネットを利用したオンラインで申請することをいう。法律上の名称は「電子申請」。不動産登記法の改正(2005年3月施行)によって創設された申請方法である。従来、不動産登記は、書面(または携帯型のディスク等)でのみ申請できること(書面主義)、権利の登記の申請は当事者または代理人(司法書士)が直接登記所に出頭すること(出頭主義)とされていたが、登記申請者の負担軽減等のためオンラインによる申請が新設されたのである。
オンライン申請では、法務省オンライン申請システムにユーザー登録をしている者(通常は司法書士)が、インターネットで法務省オンライン申請システムへ接続し、申請情報を送信する。この際セキュリティを確保するために、電子署名・電子認証の仕組みを利用し、なりすましやデータ改ざんを防止するようになっている。
不動産登記法では、登記申請は原則としてオンライン申請によるものとされている。法改正後、オンライン申請が可能な登記所(オンライン庁)の整備が進められ、2008年7月14日をもって、すべての法務局(本局・支局・出張所)でオンライン申請が可能となった。
オンライン庁(不動産登記における)
[読み:おんらいんちょう]
不動産登記をオンライン申請できる登記所をいう。2008年7月14日をもって、すべての法務局(本局・支局・出張所)がオンライン庁となった。なお、よく似た言葉としてコンピュータ庁がある。コンピュータ庁とは、登記事務をコンピュータで処理する登記所のことである。コンピュータ庁では、従来の紙の登記簿に代わって、磁気ディスクによる登記記録が原則とされる。