GLOSSARY
不動産用語集
基本的な用語から専門的な用語まで、不動産に関する用語を幅広く集めました。
不動産には、難しく分かりづらい不動産用語がたくさんあります。もちろん、スタッフが分かりやすい対応をいたしますが
不安に思ったり、どうしても意味が分からない用語があった場合は、この不動産用語辞典で解決しましょう。
タームシート
契約の大まかな枠組みを項目別にまとめた表をいう。契約対象、契約方式、契約期間などが簡潔に記述されており、契約交渉にあたっての資料として利用されることが多い。特に、ライセンス契約などにおいてよく用いられる用語である。
第一種住居地域
[読み:だいいっしゅじゅうきょちいき]
都市計画法(9条)で「住居の環境を保護するため定める地域」と定義されている。この用途地域では、建ぺい率の限度は原則として50%、60%または80%である。また容積率の限度は100%から500%の範囲内(6種類)で都市計画で指定される。
第一種中高層住居専用地域
[読み:だいいっしゅちゅうこうそうじゅうきょせんようちいき]
都市計画法(9条)で「中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」と定義されている。この用途地域では、建ぺい率の限度は30%から60%の範囲内(10%きざみ)で用途地域で指定され、容積率の限度は100%から500%の範囲内(6種類)で都市計画で指定される。
第一種低層住居専用地域
[読み:だいいっしゅていそうじゅうきょせんようちいき]
都市計画法(9条)で「低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」と定義されている。 この用途地域では、建ぺい率の限度は30%から60%の範囲内(10%きざみ)で都市計画で指定され、容積率の限度は50%から200%の範囲内(6種類)で都市計画で指定される。 また良好な住環境を確保するため、建築物の高さが10m(または12m)以下に制限されていることがこの用途地域の大きな特徴である。これを「絶対高さの制限」と言う。なお制限が10m・12mのいずれになるかは都市計画で定められている。
第一種特定有害物質
[読み:だいいっしゅとくていゆうがいぶっしつ]
土壌汚染対策法において、人の健康に被害を生ずる恐れが大きいものとして指定された25種類の特定有害物質のうち、揮発性有機化合物に該当する11種類の物質のこと。この第一種特定有害物質については、土壌汚染状況調査を実施するに当たっては、土壌ガス調査を実施することとされている(土壌汚染対策法施行規則第5条)。
代位弁済
[読み:だいいべんさい]
債務を債務者以外の者が弁済し、その弁済者が債務者に対して求償権を取得する場合の弁済をいう。債権者からみれば債務者に代わる者(代位する者)から弁済を受けることになり、債権者の求償権は弁済者に移るのである。
代位弁済には大きく2つ場合がある。一つは、保証人、連帯債務者、抵当不動産の第三取得者など、弁済について正当な利益を持つ者による弁済で、この場合は弁済によって当然に求償権が移転する(法定代位)。もう一つは、利害関係のない第三者が弁済する場合で、この場合にはその代位について債権者の承諾が必要である(任意代位)。
ダイオキシン類
[読み:だいおきしんるい]
ダイオキシン類とは、ポリ塩化ジベンゾフラン、ポリ塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシンおよびコプラナーPCBをいう(ダイオキシン類対策特別措置法第2条)。ダイオキシン類は化学物質の製造や廃棄物の燃焼などに伴って副次的に生産される物質であり、極めて毒性が強い。わが国では平成11年にダイオキシン類の規制が先進諸国に比較して非常に遅れていることが指摘され、議員立法によりダイオキシン類対策特別措置法が制定されたという経緯がある。
なお、土壌汚染対策法ではダイオキシン類を特定有害物質から除外しており、ダイオキシン類の土壌汚染に関する規制はダイオキシン類対策特別措置法に委ねられている。
ダイオキシン類対策特別措置法
[読み:だいおきしんるいたいさくとくべつそちほう]
ダイオキシン類による大気汚染・水質汚染・土壌汚染に対する国民の不安の高まりに対処するため、平成11年7月に議員立法により制定された法律。平成13年1月6日から施行されている。この法律では、ダイオキシン類の排出ガス・排出水における濃度基準(排出基準)を設定したほか、ダイオキシン類を排出する施設を特定施設と定義して、その特定施設の設置にあたって排出基準を遵守することを定め、また排出基準を超える排出に対して知事の改善命令等が定められている。
また知事によるダイオキシン類排出の常時監視と、排出者自身による年1回以上の測定を義務付けている(同法第26条から第28条)。さらにダイオキシン類の土壌汚染を排除するため、知事がダイオキシン類土壌汚染対策地域を指定できるという制度を創設し、知事がその対策地域に関するダイオキシン類土壌汚染対策計画を策定することにより、迅速にダイオキシン類の除去事業を実行する仕組みが設けられている(同法第29条から第32条)。
ダイオキシン類土壌汚染対策計画
[読み:だいおきしんるいどじょうおせんたいさくけいかく]
ダイオキシン類対策特別措置法にもとづき、知事がダイオキシン類土壌汚染対策地域を指定した場合には、知事は遅滞なく、ダイオキシン類土壌汚染対策地域を定め、土壌汚染の除去事業等を迅速に実施しなければならない(同法31条)。
この対策計画においては、土壌の汚染の除去に関する事業、健康被害の防止のために必要な事業などが定められる。また、この対策計画を策定するに当たっては、知事は関係市町村長の意見を聴くとともに、公聴会を開き、対策地域の住民の意見を聴かなければならないという住民参加制度が設けられている(同法31条)。
ダイオキシン類土壌汚染対策地域
[読み:だいおきしんるいどじょうおせんたいさくちいき]
ダイオキシン類対策特別措置法第29条にもとづき、知事が定める地域。知事は、ダイオキシン類により汚染された具体的な地域について、土壌からダイオキシン類を除去する必要がある地域を「ダイオキシン類土壌汚染対策地域」として指定することができる。
耐火建築物
[読み:たいかけんちくぶつ]
建築基準において、その主要構造部(壁、柱、床、梁、屋根、階段)が耐火性能を満たし、かつ、延焼の恐れのある開口部(窓やドア)に防火戸など火災を遮る設備を有する建築物をいう。
耐火構造
[読み:たいかこうぞう]
建築基準において、壁、柱、床その他の建築物の部分の構造が、耐火性能に適合する建築物の構造をいう。
この場合の耐火性能とは、通常の火災が終了するまでの間、当該火災による建築物の倒壊、および延焼を防止するために当該建築物の部分に必要とされる性能のことである。その技術的な基準としては、各構造部分の種類や建物の階数に応じて定められる一定時間(おおむね1~3時間)の間、火熱を加えても、各構造部分が構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものであることなどの要件が定められている。
代価弁済
[読み:だいかべんさい]
抵当権が付着している不動産(抵当不動産)が第三者に譲渡された場合に、債権者が自らの意思により、抵当不動産の所有者から債権の一部の弁済を受け取ることで、抵当権が消滅するという仕組みのこと。民法第378条に規定されている。
例えば、債権者Aが債務者Bに3,000万円を融資し、不動産Pに3,000万円の抵当権を設定したとする。その後Bがこの不動産Pを500万円で第三者Cへ売却したとする。本来、この不動産Pの時価評価は3,500万円だが、3,000万円の抵当権が付着している分だけ売却価格が下げられているとする。このとき債権者Aは、第三取得者Cに対して「Cは抵当権の代価として2,800万円をAに支払え」と請求することができる(2,800万円という金額は例えとして挙げたもので、事情により幾らにするかは債権者が決めてよい)。このAの請求に対してCがその金額を支払った場合には、抵当権が消滅し、Cは抵当権の付いていない不動産の所有者となる。このような仕組みが、民法378条に規定する代価弁済である。
また、これによく似たものとして、民法第474条では「第三者弁済」という仕組みも設けられている。これは、第三者が他人の債務を肩代わりして弁済できるというものである。先程の例でいえば、第三取得者Cは債権の全額である3,000万円を、債権者の意思に関係なくいつでも債権者Aに支払うことができ(民法第474条第2項)、その結果として、Aの抵当権は原則として消滅するということである。
大規模建築物
[読み:だいきぼけんちくぶつ]
建築基準法6条1項2号と3号に定める一定の大規模な建築物のことを「大規模建築物」と呼んでいる。
大規模修繕
[読み:だいきぼしゅうぜん]
分譲マンションの性能を維持し老朽化を防止するために、計画的に行なわれる修繕であって、多額の費用を要する修繕のことである(これに対して多額の費用を要しない計画的な修繕は「小規模修繕」という)。
具体的には、鉄部塗装工事・外壁塗装工事・屋上防水工事・給水管工事・排水管工事などの各種の修繕工事を指している。これらの修繕工事を適切に行なうためには、分譲マンションの管理組合が「長期修繕計画」を作成し、修繕積立金を積み立て、大規模修繕を実施することが不可欠である(修繕工事の実施時期・費用等について詳しくは長期修繕計画へ)。
なお、大規模修繕を実施するためには、管理組合の集会で大規模修繕の実施を可決しなければならない。一般に、大規模修繕はマンションの形状や効用の著しい変化を伴わないため、区分所有者数の過半数かつ議決権の過半数の賛成で可決される。
大規模の修繕
[読み:だいきぼのしゅうぜん]
「建築物の主要構造部の一種以上について行なう過半の修繕」と定義されている(建築基準法2条14号)。
大規模の模様替
[読み:だいきぼのもようがえ]
「建築物の主要構造部の一種以上について行なう過半の模様替え」と定義されている(建築基準法2条15号)。
大規模滅失
[読み:だいきぼめっしつ]
区分所有建物において、建物の価格の2分の1を超える部分が、地震・火災等により滅失することを「大規模滅失」という。
大規模盛土造成地
[読み:だいきぼもりどぞうせいち]
谷や沢を大規模(3,000㎡以上)に埋めて造成した土地や、盛土前の傾斜が大きな地盤(20度以上)の上に高く(5m以上)盛土して造成した土地をいう。大規模な地震などの際に、地滑り、崖崩れ、土砂流出などが起きる恐れがあるため、監視や変動予測が必要とされる。
なお、災害発生の恐れの大きい大規模盛土造成地などについては、都道府県知事が造成宅地防災区域に指定し、擁壁等の設置又は改造その他必要な措置を講じることとされている。また、大規模盛土造成地の位置や規模を表示した地図(大規模盛土造成地マップ)を公表している地方公共団体もある。
代金減額請求
[読み:だいきんげんがくせいきゅう]
給付を受けた目的物に瑕疵がある場合に、それに応じた代金の減額を請求することをいう。目的物に瑕疵があるなど債務が完全に履行されていないときに完全履行を求める私法上の方法の一つであると考えることができる。
民法は、売買において目的物の数量不足や一部滅失がある場合の代金減額請求を規定している。この場合に、不動産売買において契約表示面積と実測面積のあいだに過不足があったときの扱いが問題となるが、契約において実測面積を基礎に代金額を定めるとの合意がある場合には、不足についてのみこの規定が適用される。なお、代金減額請求は追完請求(債務履行を完全なものとするための請求)のための方法の一つであると考えることができるが、代金減額請求、代物請求、修補請求など追完請求に関しては、どのような不完全さに対してどのように請求すべきか等の基本的なルールを明文化することについて議論がある。
対抗要件
[読み:たいこうようけん]
私法上の概念で、当事者間で効力のある法律関係が、第三者に対して効力を有するための要件をいう。これに対して、当事者間で効力を有するための条件は「成立要件」といわれる。
対抗要件は、権利によって異なる。例えば、動産に関する物権譲渡の対抗要件は「引渡し」であるが、不動産に関する物権譲渡の対抗要件は「登記」である。あるいは、不動産の賃貸借権の対抗要件をみれば、原則は賃貸借契約後にその物権を取得した者に対して「登記」とされるが、借地権の場合は「借地権者が土地の上に登記された建物を所有すること」、建物の賃貸借権の場合に、その後建物の物権を取得した者に対して「建物の引渡し」という特例がある(借地借家契約については、権利の登記がなくても第三者に対抗できるということである)。
第三者詐欺
[読み:だいさんしゃさぎ]
詐欺により動機の錯誤に陥れられた者が、その錯誤にもとづいて意思表示を行なった場合には、その意思表示は取り消すことができる(民法第96条第1項)。例えば、AがBの詐欺によりBに対して土地の売却を行なった場合には、AはAB間の土地売買を、詐欺を理由として取り消すことが可能である。
しかしながら、詐欺を行なうのは取引の相手方とは限らず、相手方以外の第三者が詐欺を行ない、本人を錯誤に陥れる場合がある。このような詐欺は第三者詐欺と呼ばれ、民法第96条第2項が適用される。
第三者のためにする契約
[読み:だいさんしゃのためにするけいやく]
当事者の一方が第三者に対してある給付をすることを約する契約をいう。第三者の権利は、その者が受益の意思表示をしたときに生じることとなる。
第三取得者
[読み:だいさんしゅとくしゃ]
抵当権が付着している不動産を、抵当権が付着した状態のままで取得した者のこと。第三者取得者は、抵当権が付着している不動産(抵当不動産)の所有権を一応有してはいるが、債務の返済ができなくなった場合等では、債権者はいつでも抵当不動産を任意競売にかけることができる(抵当権の実行)。そのため、第三取得者は、所有権を喪失し、損害を受ける危険に常にさらされている。
そこで民法では、債権者(抵当権者)と第三取得者との利害の調和を図るために、「代価弁済」と「抵当権消滅請求」という2種類の仕組みを用意している。
第三種特定有害物質
[読み:だいさんしゅとくていゆうがいぶっしつ]
土壌汚染対策法において、人の健康に被害を生ずる恐れが大きいものとして指定された25種類の特定有害物質のうち、農薬等に該当する5種類の物質のこと。この第三種特定有害物質については、土壌汚染状況調査を実施するに当たっては、土壌溶出量調査を実施することとされている(土壌汚染対策法施行規則第5条)。
第三種特定有害物質は具体的には次の5種類である。1.有機リン化合物(パラチオン、メチルパラチオン、メチルジメトン、EPN)2.シマジン 3.チウラム 4.チオベンカルブ 5.ポリ塩化ビフェニル(PCB)
貸借対照表
[読み:たいしゃくたいしょうひょう]
企業の一定時点での財務状態を明らかにする書類をいう。英語でBalance Sheetといわれることから、BS(またはB/S)と略されることもある。
貸借対照表は、ある時点における、企業または企業グループの資産、負債、純資産の状態を表示している。資産には、現金、設備、不動産など企業が保有する経済的な価値が、負債と純資産は資産を保有するための資金調達の状態が計上される。他者から借入した資金(買掛金、借入金等)が負債であり、企業所有者の出資金(資本金)および企業に帰属する利益剰余金等が純資産である。そして、資産と、負債および純資産の合計とは常に一致する。
貸借対照表からは、当該企業の企業価値、負債負担能力、資金活用状況など、企業財政の状態等を分析するための基礎的なデータを得ることができる。
耐震改修促進税制(住宅の~)
[読み:たいしんかいしゅうそくしんぜいせい(じゅうたくの~)]
住宅の耐震改修工事に対して税制上優遇する制度をいう。優遇措置は、所得税の控除と固定資産税の軽減の2種類がある。
いずれの制度も、優遇の対象となるのは、旧耐震基準(昭和56(1981)年5月31日以前の耐震基準)により建設された住宅を、新耐震基準に適合させるために行なった工事である。所得税の優遇は、耐震改修に要した改修工事費の一部(10%相当額)をその年度の所得税額から控除するというもので、適用期間は、平成18(2006)年4月から平成29(2017)年12月31日までとされている。(工事完了年に応じて工事額および控除額に限度がある)。
また、固定資産税の優遇は、改修した住宅に対する固定資産税を、工事(工事費が30万円以上のもの)の実施時期に応じて定められる一定の期間、120平方メートル相当部分までについて2分の1に減額するというもので、適用期間は、平成18(2006)年4月から平成30(2018)年3月31日までとされている。
耐震基準(建築物の~)
[読み:たいしんきじゅん(けんちくぶつの~)]
地震の際に建物が安全であるために備えていなければならない構造上の技術的基準。建築基準法によって定められている。耐震基準の考え方は1924(大正13)年に導入され、1950(昭和25)年の建築基準法施行時に従来よりも強化した基準として法定された。これを「旧耐震基準」という。その後、1981(昭和56)年6月1日からは、旧耐震基準を大幅に強化した基準を適用することとなった。この強化された基準を「新耐震基準」という。
新耐震基準は、およそ震度5程度の地震に対して建物の構造に損害がないように、および、およそ震度6強の地震に対して致命的な損害がなく人命を保護できるように定められている。また、基準への適合は、一次設計で構造耐力上主要な部分の地震時の応力度が許容応力度を超えないこと、二次設計で地震による変形に関する計算および材料強度による耐力計算を行って基準を満たすことの2段階で確認することになっている。
なお、地震は複雑な現象で、建物に対する影響もさまざまなかたちで及ぶから、耐震基準を満たした建物が大地震に際して確実に安全であるとまでは言い難い。
耐震基準適合認定表示
[読み:たいしんきじゅんてきごうにんていひょうじ]
その建物が地震に対する安全性に係る基準に適合している旨の認定を受けていることの表示。認定は、申請によって所管行政庁が行なう。認定を受けるかどうかは任意であるが、広告等に耐震基準適合認定表示を付すことができる。また、認定を受けていない場合にはこれと紛らわしい表示を付してはならないとされている。
耐震構造
[読み:たいしんこうぞう]
地震などによる水平方向の力に対して、十分に耐えることのできるよう設計された建築物の構造をいう。その技術的な基準は建築基準法に基づいて定められているが、建築物の用途、規模、構造の種別、土地の状況に応じて異なる。
大臣免許
[読み:だいじんめんきょ]
宅地建物取引業者が国土交通大臣から免許を受けていること。宅地建物取引業を営もうとする者が、2以上の都道府県において事務所を設ける場合には、国土交通大臣から免許を受けることが必要とされている(宅地建物取引業法第3条第1項)。この規定にもとづき、国土交通大臣から免許を受けることを、一般に「大臣免許」または「国土交通大臣免許」と呼んでいる。
なお、平成13年1月6日より前は、国土交通省ではなく建設省が所管していたため、平成13年1月6日より前にこうした免許を受けた場合は「建設大臣免許」である。
第二種住居地域
[読み:だいにしゅじゅうきょちいき]
都市計画法(9条)で「主として住居の環境を保護するため定める地域」と定義されている。この用途地域では、建ぺい率の限度は原則として50%、60%または80%である。また容積率の限度は100%から500%の範囲内(6種類)で都市計画で指定される。
第二種中高層住居専用地域
[読み:だいにしゅちゅうこうそうじゅうきょせんようちいき]
都市計画法(9条)で「主として中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」と定義されている。この用途地域では、建ぺい率の限度は30%から60%の範囲内(10%きざみ)で都市計画で指定され、容積率の限度は100%から500%の範囲内(6種類)で都市計画で指定される。
第二種低層住居専用地域
[読み:だいにしゅていそうじゅうきょせんようちいき]
都市計画法(9条)で「主として低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」と定義されている。この用途地域では、建ぺい率の限度は30%から60%の範囲内(10%きざみ)で都市計画で指定され、容積率の限度は50%から200%の範囲内(6種類)で都市計画で指定される。また良好な住環境を確保するため、建築物の高さが10m(または12m)以下に制限されていることがこの用途地域の大きな特徴である。これを「絶対高さの制限」という。なお制限が10m・12mのいずれになるかは都市計画で定められている。
第二種特定有害物質
[読み:だいにしゅとくていゆうがいぶっしつ]
土壌汚染対策法において、人の健康に被害を生ずる恐れが大きいものとして指定された25種類の特定有害物質のうち、重金属等に該当する9種類の物質のこと。この第二種特定有害物質については、土壌汚染状況調査を実施するに当たっては、土壌溶出量調査と土壌含有量調査を実施することとされている(土壌汚染対策法施行規則第5条)。
代表者印
[読み:だいひょうしゃいん]
会社の代表取締役の印鑑であって、登記所に対して印鑑届けを行なった印鑑のこと。印影が円形であることが一般的なので、「丸印」とも呼ぶ。
代物請求
[読み:だいぶつせいきゅう]
給付を受けた目的物が不完全な場合に、それに代わるものの給付を請求することをいう。私法上、目的物に瑕疵があるなど債務が完全に履行されていないときにはそれを完全なものにするための請求(追完請求)をすることができると考えられているが、その方法の一つである。
代物請求は追完請求であって、本来債務の代わりに他の給付をして債務を消滅させる「代物弁済」の請求とは意味が異なる。金銭債務不履行の場合には不動産を引き渡して代物弁済することが多いが、代物請求はこれとは違い、たとえば引き渡した不動産に瑕疵があるときに他の不動産の引渡によって債務の完全履行を求めることである。従って、不動産売買は種類売買(目的物を特定しないで種類のみを定める売買)ではないから、代物請求の余地はないという考え方もある。
追完請求の方法には、代物請求のほか、修補請求、代金減額請求などがあるが、これに関してどのような不完全さに対してどのように追完請求すべきか等の基本的なルールを明文化することについて議論がある。
代物弁済予約
[読み:だいぶつべんさいよやく]
代物弁済とは、金銭債権を返済できないときに、物をもって弁済に代えるということである。この代物弁済をあらかじめ予約しておくことで、その物を担保に入れたのと同じ状態に置くという方法が、代物弁済予約である。このような代物弁済予約に対しては、仮登記担保法が適用される。
太陽光発電(システム)
[読み:たいようこうはつでん]
太陽電池によって太陽光のエネルギーを直接に電力に変換する発電方式をいう。
太陽電池は、一定の物質に光が照射されると伝導電子が増加する現象(光電効果)を利用して電力を得る装置で、光エネルギーを電力に変換する過程で熱や運動エネルギーの媒介を必要としない。そのため、太陽光発電は、発電時に廃棄物、CO2等の発生がない他、小規模に分散的に運用可能、設置条件の制約が少ない、などの特徴がある。
一方、他の発電方式に比べて高コスト、発電量の変動が大きい(夜間や雨天時は発電できない)、スケールメリットが効かないなどの短所がある。そこで、太陽光発電と他の発電とを組み合わせて、発電、消費、売電、買電を適切に制御するシステム(太陽光発電システム)が開発・運用されている。
代理(宅地建物取引業法における~)
[読み:だいり(たくちたてものとりひきぎょうほうにおける~)]
不動産取引における宅地建物取引業者の立場(取引態様)の一つ。宅地建物取引業者が、売買取引・交換取引・賃貸借取引について、売主の代理人や買主の代理人となって(または貸主の代理人や、借主の代理人となって)、取引成立に向けて活動するという意味である。
代理(民法における)
[読み:だいり(みんぽうにおける)]
代理とは、本人と一定の関係にある他人が意思表示を行ない、その意思表示の効果が本人に帰属するという法制度である。
代理の本質は、代理権を持つ者(代理人)が存在し、その代理人が行なった行為の効果が本人に帰属することであると解釈されており、このことを「他人効」と呼ぶ。この他人効がなぜ発生するのかという理論的根拠については、「顕名説」と「代理権説」が対立している。(詳しくは他人効へ)。
代理が成立するためには、本人と他人との間に一定の関係が存在することが必要であり、このとき他人は「代理権」を持つものとされており、このような他人を「代理人」と呼ぶ。また代理において、行為の主体が本人であるのか、それとも代理人であるのかについて学説が分かれており、通説は代理人が行為主体であると考えている(代理人行為説)。
また、代理はさまざまに分類されるが、主な分類としては任意代理と法定代理がある。任意代理は本人と代理人との合意にもとづく代理権であり、任意代理が成立するには代理権授与行為が必要であるとされている。なお、代理人が代理行為を行なうには、本人のためにすることを示すこと(=顕名)が必要とされている。
代理契約(宅地建物取引業法における~)
[読み:だいりけいやく(たくちたてものとりひきぎょうほうにおける~)]
宅地建物取引業者が、売買取引・交換取引・賃貸借取引について、売主の代理人や買主の代理人となって(または貸主の代理人や、借主の代理人となって)、取引成立に向けて活動するという意味である。宅地建物取引業者がこうした活動を行なう際に、依頼者(売主・買主・貸主・借主)と宅地建物取引業者との間に締結される契約を「代理契約」と呼ぶ。
代理契約の方法や内容については、宅地建物取引業法第34条の2(および第34条の3)によって厳しい規制が加えられている。代理契約に関する規制は、媒介契約に関する規制と同一であるが、報酬額の最高限度が異なっている。
代理権授与行為
[読み:だいりけんじゅよこうい]
任意代理において、代理権が発生する根拠となる本人と代理人との合意のこと。実際上は、委任契約・請負契約・雇用契約などを締結する際に、その契約と同時に、代理権授与行為がなされるのが一般的である。
代理権授与表示による表見代理
[読み:だいりけんじゅよひょうじによるひょうけんだいり]
表見代理とは、本人に何らかの落ち度(帰責要因)があることを基礎として、その帰責要因をもとに無権代理人が真実の代理人であるかのような外観が作出され、その外観を信頼して取引に入った相手方を保護するという制度である。表見代理には、代理権授与表示による表見代理、代理権消滅後の表見代理、権限踰越の表見代理という3種類がある。
代理権授与表示による表見代理(民法第109条)とは、あたかも有効な代理権が存在するかのような表示(=代理権授与表示)が本人によってなされた場合に、その外観を信頼した善意無過失の相手方(=代理権が不存在であることを知らず、かつ過失がない相手方)を保護し、代理人と相手方との取引の効果を本人に帰属させるという制度である。
しかし、この代理権授与表示による表見代理の具体例を挙げるのはなかなか難しい。例えば、代理権を与えるつもりがないのに、他人に委任状を交付したという事例を考えると、その委任状の交付自体が代理権を有効に成立させていると理解することも可能だからである(つまり、代理権が存在するかのような表示があれば、通常は代理権が有効に成立しているともいえる)。
例えばある判例では、Aが土地に担保権を設定する代理権をBに与え、Bに白紙委任状を交付したが、Bは当初予定されたCではなく、Dとの間で担保権を設定したという事例について、Bには「Dとの間で担保権を設定する権限がない」との理由で有効な代理権が存在せず、白紙委任状の空欄が代理権授与表示に該当するとされている。
この事例はむしろ、権限踰越の表見代理(民法第110条)と考えることも可能であるが、判例・通説は「白紙委任状の空欄はあたかもどのように補充してもよいという代理権を与えたかのような表示である」という理由で、代理権授与表示による表見代理の成立を認めている。
代理権消滅後の表見代理
[読み:だいりけんしょうめつごのひょうけんだいり]
表見代理とは、本人に何らかの落ち度(帰責要因)があることを基礎として、その帰責要因をもとに無権代理人が真実の代理人であるかのような外観が作出され、その外観を信頼して取引に入った相手方を保護するという制度である。表見代理には、代理権授与表示による表見代理、代理権消滅後の表見代理、権限踰越の表見代理という3種類がある。
代理権消滅後の表見代理(民法第112条)とは、代理権がすでに消滅したにもかかわらず、代理権授与の外観が残っている場合に、その外観を信頼した善意無過失の相手方(=代理権が不存在であることを知らず、かつ過失がない相手方)を保護し、代理人と相手方との取引の効果を本人に帰属させるという制度である。この制度では、代理権授与の外観を速やかに除去しなかった点に、本人の帰責要因が認められている。
代理行為の瑕疵
[読み:だいりこういのかし]
代理行為に関して意思の欠缺、瑕疵ある意思表示などの欠陥が存在することをいう。瑕疵とは「きず」という意味である。例えば、代理人が冗談で取引をすると意思表示をした場合には、この代理人の意思表示には、意思の欠缺(この場合には心裡留保)という欠陥が存在することとなり、代理行為に瑕疵があるということができる。
民法では、このような代理行為の瑕疵は、「代理人について判断する」と規定している(民法第101条第1項)。判例・通説では「代理における行為の主体は、代理人である」と考えられている(これを代理人行為説という)。この代理人行為説の立場からすれば、この民法第101条第1項は当然の規定であるということができる。
大理石
[読み:だいりせき]
石灰岩が高温高圧下で結晶化した岩石。中華人民共和国の「大理」で多く産出することからこの名がある。光沢があり、色彩が美しいことから、室内の床材などに使用される。火熱や水に弱いという欠点もある。
耐力壁
[読み:たいりょくへき・たいりょくかべ]
建築基準法第20条の規定に基づいて、地震力や風圧力による水平方向の力に対抗することができるように、筋かいを入れ、または構造用合板などを張った壁のことを「耐力壁」と呼ぶ。
建築基準法では「建築物は、自重、積載荷重、積雪、地震力、風圧力などに対して安全な構造でなければならない」として、すべての建築物が構造に関する基準を満たすことを要求している(建築基準法第20条第1号、同施行令第3章第1節から第7節の2)。また、木造3階建てなどの建築物では、特に構造計算により安全性を確認することを義務付けている(建築基準法第20条第2号)。
この建築基準法第20条により、建築物は地震力・風圧力という水平方向の外力に十分に対抗できるような構造を有することが要求されており、この必要性を満たすために筋かいを入れ、または構造用合板等を張った壁を一般に「耐力壁」と呼んでいる。耐力壁の構造は、建築基準法施行令第46条第4項の表(一)と昭和56年建設省告示第1,100号により詳しく規定されている。
タイルカーペット
50cm×50cmなどの正方形に加工された小型のカーペット。施工しやすく、汚れた部分の取替えが容易で、床下の配線工事などのための一時的な取り外しにも簡単に対応できるので、主に事務所で多用される。
タウンハウス
2階建ての連棟式住宅のこと。各住戸の敷地は、すべての住戸の所有者が共有していることが多い。
高さ制限
[読み:たかさせいげん]
建物の高さの限度をいう。いくつかの種類があるが、大きくは、建物全体の高さの制限と、相隣関係などによる斜めの線による制限(斜線制限)に分かれる。建物全体の高さの制限には、都市計画で定められた、1.低層住居専用地域における高さの限度、2.高度地区における高さの最高限度または最低限度がある。
宅地(宅地建物取引業法における~)
[読み:たくち]
宅地建物取引業法では、宅地の定義を次のように定めている。
宅地(不動産登記法における~)
[読み:たくち]
土地登記簿の最初の部分(表題部という)には土地の「地目」が記載されている。地目は、「田」「畑」「宅地」「山林」「原野」など全部で21種類に限定されており、ここでいう「宅地」とは「建物の敷地およびその維持もしくは効用を果たすための土地」と説明されている。なお、現況が明らかに「宅地」であるにもかかわらず、登記簿上の地目が「田」や「畑」となっている場合には、登記所に対して「地目の変更登記」を申請することが可能な場合もある。
宅地造成
[読み:たくちぞうせい]
一般的には、土地を宅地としての機能を備えたものとするために、傾斜をなくすための切り土・盛り土等の工事、擁壁の設置工事、排水施設の設置工事、地盤の改良工事などを行なうこと。こうして形成された宅地は「造成地」と呼ばれる。なお、宅地造成に伴う災害を防止するために昭和37年から施行されている宅地造成等規制法においては、宅地造成とは「宅地以外の土地を宅地にするために行なう一定の土地の形質の変更」(同法第2条第2号)と定義している。
宅地造成工事規制区域
[読み:たくちぞうせいこうじきせいくいき]
宅地造成に伴い災害が生ずる恐れの著しい区域であって、知事(または政令市・中核市・特例市の市長)が指定した区域 のこと。宅地造成工事規制区域は、市街地または市街地になろうとする土地で指定される。宅地造成工事規制区域は、都市計画区域の外側でも指定されることがある。宅地造成工事規制区域の中で宅地造成工事をするためには、宅地造成工事に着手する前に、工事計画を知事に提出し、知事の許可を受けなければならない(宅地 造成等規制法第8条)。
宅地造成工事の許可
[読み:たくちぞうせいこうじのきょか]
宅地造成工事規制区域の中において宅地造成工事をするためには、工事に着手する前に、知事(または政令市・中核市・特例市の市長)の許可が必要である(宅地造成等規制法第8条)。知事は、工事の計画が一定の技術的基準に適合しないときは、許可を与えてはならない。また知事は、許可を与えた工事が完了した場合には検査を行ない、検査の結果に問題がなければ、造成を行なった者に検査済証を交付しなければならない(宅地造成等規制法第9条・第12条)。
宅地造成等規制法
[読み:たくちぞうせいとうきせいほう]
宅地造成により、崖崩れや土砂の流出が起きることがないよう、崖崩れや土砂の流出の危険性が高い区域を指定し、宅地造成工事を規制する法律(昭和36年法律第191号)。
宅地建物取引業
[読み:たくちたてものとりひきぎょう]
宅地建物取引業とは「宅地建物の取引」を「業として行なう」ことである(法第2条第2号)。
宅地建物取引業協会(宅建協会)
[読み:たくちたてものとりひきぎょうきょうかい(たっけんきょうかい)]
宅地建物取引業者が設立した業界団体の一つで、都道府県ごとに設立されている。業界団体の設立は本来自由であるが、宅地建物取引業法は、宅地建物取引業の適正な運営の確保と健全な発達を図るため、宅地建物と取引者が各都道府県ごとに「宅地建物取引業協会」と称する社団法人を設立することができるとし、併せて全国を単位とする宅地建物取引業連合会および名称使用制限を設けている(同法74・75条)。
宅地建物取引業者
[読み:たくちたてものとりひきぎょうしゃ]
宅地建物取引業者とは、宅地建物取引業免許を受けて、宅地建物取引業を営む者のことである(宅地建物取引業法第2条第3号)。宅地建物取引業者には、法人業者と個人業者がいる。なお、宅地建物取引業を事実上営んでいる者であっても、宅地建物取引業免許を取得していない場合には、その者は宅地建物取引業者ではない(このような者は一般に「無免許業者」と呼ばれる)。
宅地建物取引業者名簿
[読み:たくちたてものとりひきぎょうしゃめいぼ]
宅地建物取引業者に関する一定の事項を登載した名簿のこと。都道府県知事または国土交通大臣は、下記の1.から8.の事項を登載した宅地建物取引業者名簿を作成しなければならない(宅地建物取引業法第8条)(※末尾参照)。
宅地建物取引業者名簿等の閲覧
[読み:たくちたてものとりひきぎょうしゃめいぼとうのえつらん]
宅地建物取引業法では、都道府県知事または国土交通大臣は、宅地建物取引業者名簿などの一定の書類を広く一般の閲覧に供しなければならないと定めている(宅地建物取引業法第10条)。
宅地建物取引業者名簿の登載事項の変更の届出
[読み:たくちたてものとりひきぎょうしゃめいぼのとうさいじこうのへんこうのとどけで]
都道府県知事または国土交通大臣は一定の事項を登載した宅地建物取引業者名簿を作成するが、この名簿の登載事項のうち一部の登載事項について変更があったときは、宅地建物取引業者は30日以内に変更の届出を行なう義務を負う。
宅地建物取引業初任従業者教育研修
[読み:たくちたてものとりひきぎょうしょにんじゅうぎょうしゃきょういくけんしゅう]
(公財)不動産流通近代化センター等が実施する従業者向けの研修のこと。宅地建物取引業務に必要な法律、制度等を実務に即して基礎から体系的に習得するためもので、受講資格要件はない。講座内容は、3ヵ月間の通信講座と2日間のスクーリングのいずれか一方を選んで受講するというものである。
宅地建物取引業法
[読み:たくちたてものとりひきぎょうほう]
宅地建物取引の営業に関して、免許制度を実施し、その事業に対し必要な規制を定めた法律。1952年に制定された。
この法律に定められている主な内容は、宅地建物取引を営業する者に対する免許制度のほか、宅地建物取引士制度、営業保証金制度、業務を実施する場合の禁止・遵守事項などである。これによって、宅地建物取引業務の適正な運営、宅地および建物の取引の公正の確保および宅地建物取引業の健全な発達の促進を図ることとされている。
宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方
[読み:たくちたてものとりひきぎょうほうのかいしゃく・うんようのかんがえかた]
宅地建物取引業法の解釈・運用に関して、国が定めた包括的なガイドラインのこと。
従来、宅地建物取引業法の解釈・運用については、国(旧建設省)が通達・行政実例により詳細かつ統一的な基準を定めてきたが、平成12年4月1日付けで「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律」(平成11年法律第87号)が施行されたことにより、宅地建物取引業に係る事務は都道府県の自治事務等となった。このため、平成12年4月1日をもって従来旧建設省から各都道府県に発出された宅地建物取引業法に関する通達等は一律廃止された。
宅地建物取引業保証協会
[読み:たくちたてものとりひきぎょうほしょうきょうかい]
宅地建物取引業により生じた債権の弁済(弁済業務)、債務の連帯保証(一般保証業務)、苦情の解決、研修などを行なう社団法人(現在は、公益社団法人または一般社団法人)で、国土交通大臣の指定したものをいう。
その社員は、営業保証金の供託を必要としないかわりに、弁済業務保証金分担金(主たる事務所につき60万円、その他の事務所につき事務所ごとに30万円)を納付しなければならない。現在指定を受けているのは、(社)全国宅地建物取引業保証協会および(社)不動産保証協会の2つの団体である。
宅地建物取引士
[読み:たくちたてものとりひきし]
宅地建物取引士資格試験に合格し、都道府県知事の登録を受けて、宅地建物取引士証の交付を受けた者のこと。宅地建物取引士は、一定以上の知識・経験を持つ者として公的に認められた者である。宅地建物取引業者は、事務所ごとに従事者5名に対して1名以上の割合で、専任の宅地建物取引士を置かなければならない。
宅地建物取引士資格試験の一部免除
[読み:たくちたてものとりひきししかくしけんのいちぶめんじょ]
宅地建物取引士資格試験は、宅地建物取引業法第16条にもとづき、都道府県知事が実施する資格試験である。この試験で、一定の講習(「登録講習」)を受けた者については、試験の一部を免除する制度が設けられている(宅地建物取引業法第16条第3項)。これを宅地建物取引士資格試験の一部免除と呼んでいる。
一部免除を受けるために必要となる「登録講習」は(公財)不動産流通近代化センターをはじめとする複数の登録講習機関が実施している。「登録講習」を受講するためには、宅地建物取引業に従事していることが要件となっている(平成16年までの「指定講習」を受講するためには「通算して3年以上の宅地建物取引業務に関する実務経験を有すること」が必要だったが、平成17年からは宅地建物取引業に従事しているだけで受講できることになった)。
「登録講習」は通信講座およびスクーリングから成り立っている。スクーリングの最終日に登録講習修了試験が実施され、この試験に合格すると「登録講習修了者証明書」が交付される。この証明書によって、証明書の公布日から3年以内に実施される宅地建物取引士資格試験の一部免除の適用を受けることができる。
宅地建物取引士資格試験の試験内容
[読み:たくちたてものとりひきししかくしけんのしけんないよう]
宅地建物取引士資格試験は、4肢択一式の50問(50点満点)が出題される。実施年によって多少の変化があるが、おおむね次のような科目構成となっている。
宅地建物取引士証
[読み:たくちたてものとりひきししょう]
都道府県知事の行なう宅地建物取引士資格試験に合格し、都道府県知事の登録を受けた者は、登録をしている都道府県知事に対して申請することにより、宅地建物取引士証の交付を受けることができる(宅地建物取引業法第22条の2)。
宅地建物取引士証は顔写真付のカードであり、氏名、住所、生年月日、有効期間の満了する日等が記載されている。有効期間は5年であり、申請により更新することができる(宅地建物取引業法第22条の3)。取引士証の交付を受ける際に、取引士証の交付を申請する日が宅地建物取引士資格試験に合格した日から1年を超えている場合には、「法定講習」を受講する義務が生じるので注意が必要である(宅地建物取引業法第22条の2第2項)。
宅地建物取引士証の提示義務
[読み:たくちたてものとりひきししょうのていじぎむ]
宅地建物取引士は、不動産取引の当事者から請求があったときは、宅地建物取引士証を必ず提示しなければならない(宅地建物取引業法第22条の4)。また、宅地建物取引士は、不動産取引の当事者に重要事項説明を行なう際 には、不動産取引の相手方等に対して、宅地建物取引士証を必ず提示しなければならない(宅地建物取引業法第35条)。
宅地建物取引士の設置義務
[読み:たくちたてものとりひきしのせっちぎむ]
宅地建物取引業者が、その事務所等に、「成年の専任の宅地建物取引士」を置かなければならないという義務のこと。
宅地建物取引士の登録
[読み:たくちたてものとりひきしのとうろく]
宅地建物取引士資格試験に合格した者が、宅地建物取引士として業務に従事するのにふさわしい資格等を有していることを都道府県知事が確認する手続きのこと(宅地建物取引業法第18条、第19条)。具体的には次のとおりである。
宅地建物取引士の登録の移転
[読み:たくちたてものとりひきしのとうろくのいてん]
宅地建物取引士の登録を受けている者は、登録をしている都道府県以外の都道府県に所在する宅地建物取引業者の事務所において、業務に従事する(または業務に従事しようとする)ときは、登録を移転することができる。
宅地建物取引士の登録は、試験を行なった都道府県知事から登録を受けることとされている。しかし、宅地建物取引士の登録を終えた後に、他の都道府県内の事務所で勤務する(または勤務する予定の)場合には、登録を移転することが可能とされている(宅地建物取引業法第19条の2)。
宅地建物取引士の登録の基準
[読み:たくちたてものとりひきしのとうろくのきじゅん]
宅地建物取引士資格試験の合格者が、宅地建物取引士の登録を受けるにあたって満たすべき基準のこと。宅地建物取引士資格試験の合格者が、宅地建物取引士の登録を受けるためには、一定の不適格な事情(登録の欠格事由)に該当しないことが必要とされている(法第18条第1項各号)。
宅地建物取引士の登録の消除
[読み:たくちたてものとりひきしのとうろくのしょうじょ]
宅地建物取引士の登録を受けている者について一定の事情が発生した場合に、都道府県知事が宅地建物取引士の登録を消除すること。宅地建物取引士資格試験の合格者が、宅地建物取引士として業務に従事するためには、その前提条件として都道府県知事より宅地建物取引士の登録を受けることが必要である(宅地建物取引業法第22条の2第1項、第18条第1項)。この登録を受けた場合には、氏名、住所等の一定の事項が宅地建物取引士資格登録簿に登載される(法第18条第2項)。
このような宅地建物取引士の登録を受けた者について一定の事情が発生した場合には、届出により、または知事の職権により、宅地建物取引士の登録が消除される(法第22条、法第68条の2)。その場合には、再び登録を受けない限り、宅地建物取引士として業務に従事することはできない(法第22条の2により、登録がない者は宅地建物取引士証の交付を受けることができないため)。
宅地建物取引主任者
[読み:たくちたてものとりひきしゅにんしゃ]
「宅地建物取引士」の従前の名称。平成27(2015)年4月1日に改称された。
宅地建物取引士資格試験
[読み:たくちたてものとりひきしゅにんしゃしかくしけん]
宅地建物取引業法第16条第1項にもとづき、都道府県知事が実施する資格試験。宅地建物取引業に関して必要な知識について行なわれる試験である。年齢、学歴、宅地建物取引業に関する実務経験などによる受験資格の制限は一切ないので、誰でも受験することができる(ただし試験を受けようとする都道府県内に居住していることが条件となっている場合が多い)。なお、一定の実務経験を有し、登録講習機関が実施する講習(登録講習)を受けた者については、試験の一部を免除する制度が設けられている(宅地建物取引業法第16条第3項)。
宅地建物取引士資格登録簿
[読み:たくちたてものとりひししかくとうろくぼ]
宅地建物取引士の登録を受けた者に関して、都道府県知事が作成した登録簿のこと。宅地建物取引士となるためには、その前提として、宅地建物取引士の登録を受けることが必要とされている(宅地建物取引業法第18条第1項)。この宅地建物取引士の登録を受けた者について、都道府県知事が作成した登録簿が宅地建物取引士資格登録簿である(宅地建物取引士資格登録簿の様式は施行規則様式第4号に規定されている)。
ダクト
空気調和や換気された空気を所定の場所に導くための長方形や円形の管路をいう。風道とも(ductは送管、導管の意味で、ガスや電気等の管も含む)。また、空調や換気用の複数の管を内蔵するための空間(ダクトスペース)のことをいう。
多重債務者
[読み:たじゅうさいむしゃ]
複数の金融業者から借入れをして、返済困難に陥っている者をいう。借入れの目的はさまざまであり、借入先も、消費者金融、信販・クレジット会社、日賦貸金業者、ヤミ金融など多様であるが、返済能力を超える債務を負っていることに変わりはない。また、返済金を用意するために借入れするという悪循環に陥っている場合もある。
多重債務者が債務を整理する方法には、各債権者と任意に交渉のうえ和解合意する方法(任意整理)、調停委員の仲介により協議和解する方法(特定調停)、裁判所に申し立てて返済負担を圧縮し返済計画を立案する方法(個人民事再生)、裁判所に申し立てて生活最低必需基準資産以外の財産を放棄するのと引換えに免責を受けすべての債務の支払義務をなくする方法(自己破産)がある。
ダストシュート
ビルやアパートの各階廊下に設けられたゴミ投入口(ホッパー)にゴミを投棄すると、筒状の孔を経て最下部の収集口に集まるという塵芥投棄用設備。ゴミ・シュートとも。防災面、管理面から最近ではあまり採用されることはない。
たたき
「三和土」とも。建物内において、床を張らずに、地面のまま、もしくは叩き土、漆喰、コンクリートなどで叩き固めて仕上げられた土間のこと。最近では、コンクリート仕上げのものが多い。
畳
床の敷物で、わらを芯に藺(い)の茎を編んだ表をつけたものをいう。部屋の広さを示す単位(「◯畳の間」など)としても使われる。広さの単位として使われる場合には、地域によってその大きさに違いがあることに注意しなければならない。たとえば京間は6尺3寸×3尺1寸5分、江戸間・田舎間は6尺×3尺(いずれも内法)を単位にして畳数で表示される(1尺=0.30303m=10寸=100分)。
このような違いがあることなどから、不動産広告における面積の表示はメートル法によるのを原則とし、居室等の広さを畳数で示す場合には、各部屋の壁心面積を畳数で割った値が1.62平方メートル以上となるようにしなければならないとされている(不動産の表示に関する公正競争規約細則)。
立入禁止(土壌汚染対策法の~)
汚染土壌について、土壌の直接摂取による健康被害の恐れがある場合における土壌汚染の除去等の措置の一つ。汚染土地への一般人の立入りを禁止するために、柵や標識を設置し、汚染土壌の飛散や流出を防止するために土地にシートなどの覆いをかぶせることである。
立入の許可(土地収用法における~)
土地収用法において、事業認定申請書を提出する以前に、収用者(起業者)は、都道府県知事の許可にもとづいて、他人の占有する土地に立ち入ることができる。この都道府県知事の許可を「立入の許可」という。
起業者は、事業の準備のために他人の占有する土地に立ち入って測量・調査をする必要がある場合、当該区域を管轄する都道府県知事から立入の許可を受けなければならない。(起業者が国または地方公共団体であるときは、都道府県知事にあらかじめ通知すればよい)。都道府県知事は、この許可をしたときその旨を土地の占有者に通知し、または公告することとされている(土地収用法第11条)。
この許可を受けた起業者(またはその委任を受けた者)は、立ち入ろうとする日の5日前までに、その日時および場所を市町村長に通知しなければならない。市町村長は、この通知を受けたときは、直ちに、その旨を土地の占有者に通知し、または公告する。 具体的な立入の方法については、土地が、「さく等で囲まれた土地」である場合は、立ち入ろうとする者は、立入の際あらかじめその旨を占有者に告げなければならない。日出前または日没後においては、宅地またはかき、さく等で囲まれた土地に立ち入ってはならない。
立退料
[読み:たちのきりょう]
借地・借家の明渡しの際に、賃貸人から賃借人に支払われる金銭をいう。私法上の明確な支払い根拠はなく、その意味や金額は、慣習や事情に応じてさまざまである。なお、借地借家契約の更新拒絶や解除の際に必要となる「正当事由」の判断に当たっては、立退料の提供如何も考慮される。
宅建試験
[読み:たっけんしけん]
宅地建物取引業法第16条第1項にもとづき、都道府県知事が実施する資格試験のこと。正式名称は宅地建物取引士資格試験である。宅地建物取引業に関して必要な知識について行なわれる試験で、試験科目は宅建業法、民法、都市計画法、建築基準法、税法その他。配点は50点満点。試験は例年10月の第3日曜日に実施される。
宅建免許
[読み:たっけんめんきょ]
宅地建物取引業を営もうとする者は、都道府県知事または国土交通大臣に宅地建物取引業の免許を申請し、免許を受けることが必要である(宅地建物取引業法第3条)。不正の手段で宅地建物取引業の免許を受けた者や、無免許で宅地建物取引業を営んだ者には、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金という罰則が予定されている(法第79条第1号、第2号)。
免許を受けるには、宅地建物取引業を営もうとする者(個人または法人)が、一定の不適格な事情(欠格事由)に該当しないことが要件とされている(法第5条第1項)。この免許の欠格事由は、法律により詳細に規定されている(詳しくは免許の基準へ)。
また、宅地建物取引業の免許を受けるには、免許申請書および免許申請書の添付書類を都道府県知事または国土交通大臣に提出する必要があり、その記載事項等は詳細に法定されている(法第4条第1項、第2項、施行規則第1条の2)。なお、宅地建物取引業の免許の有効期間は5年とされている(法第3条第2項)。免許の有効期間の満了後、引き続き宅地建物取引業を営むためには、有効期間満了の日の90日前から30日前の期間内に免許の更新の申請書を提出する必要がある(法第3条第3項、施行規則第3条)。
建売住宅
[読み:たてうりじゅうたく]
分譲宅地に建築され、敷地と一緒に販売される住宅をいう。類似の用語として「売建住宅」があるが、建売住宅の建築主は不動産業者であるのに対して、売建住宅の建築主は宅地購入者である。
建替え決議
[読み:たてかえけつぎ]
区分所有建物を建て替えることを決める決議をいう。
分譲マンションのような区分所有建物について、建物が著しく老朽化した場合や地震による大きな被害を受けた場合などには、建物を元の状態に戻すことが難しいケースや、経済的に見て建物を元の状態に戻すよりも建物全部を建て替えるほうがメリットの大きいケースがある。このため、区分所有法の規定では、区分所有者数の5分の4以上の賛成と議決権の5分の4以上の賛成による決議がある場合には、建物を取り壊し、新しい建物を新築することを可能にしている。この決議が建替え決議である。
建替え決議については、区分所有者全員に建替え計画を周知し、理解を促すために、次のような手続きが必要である。
建替え決議の要件
[読み:たてかえけつぎのようけん]
区分所有建物について、建替え決議によって建物を建て替えるために満たさなければならない要件をいう。
建替え参加の催告
[読み:たてかえさんかのさいこく]
分譲マンションなどの区分所有建物について、区分所有者数の5分の4以上かつ議決権の5分の4以上の賛成により、建物を取り壊し、新たな建物を新築することを決議することができる。この決議がなされた場合に、決議に賛成しなかった区分所有者が、建替えに参加する意思があるかどうかを確認する手続きとして「建替え参加の催告」という手続きが用意されている。その概要は次のとおりである。
立看板
[読み:たてかんばん]
容易に移動させることができる状態で立てられ、または工作物等に立てかけられている看板のこと。またその看板を支える台なども立看板に含まれる。立看板は、店舗の宣伝や不動産物件の告知のために屋外に掲出されることが多いが、近年では立看板に対する法規制が強化されているので注意が必要である。
屋外広告物法に基づく都道府県・市町村の屋外広告物条例では、立看板の禁止区域や許可区域を設けている場合がある。また同じく屋外広告物条例では、立看板の大きさや設置方法を規制している場合がある。このような屋外広告物条例に違反し、しかも管理されずに放置されていると認められた場合、立看板は、予告なしに即時撤去できる扱いとなっている。
なお従来は、このような即時撤去の対象となる立看板は「木枠に紙張りもしくは布張りをし、またはベニヤ板、プラスチック板その他これに類するものに紙をはったもの」と定義されていた。つまり、木枠の立看板、ベニヤ板・プラスチック板に紙張りの立看板だけが簡易除却制度の適用対象だったのである。しかし、改正屋外広告物法の平成16年12月の施行により、「ベニヤ板・プラスチック板に直接塗装または印刷した立看板」も簡易除却制度の対象に含まれることになった。これにより、すべての立看板が簡易除却の対象となったことに注意したい。
建付地
[読み:たてつけち]
建物が存在している土地について、建物所有者と土地所有者が同一であるとき、この土地を「建付地」という。
建物
[読み:たてもの]
民法では、土地の上に定着した物(定着物)であって、建物として使用が可能な物のことを「建物」という。具体的には、建築中の建物は原則的に民法上の「建物」とは呼べないが、建物の使用目的から見て使用に適する構造部分を具備する程度になれば、建築途中であっても民法上の「建物」となり、不動産登記が可能になる。
建物明渡猶予制度
[読み:たてものあけわたしゆうよせいど]
抵当権に対抗することができない賃貸借について、抵当権の実行による競売がなされた場合に、賃借人は競落人の買受の日から6ヵ月間に限り、当該不動産を明け渡さなくてよいという制度のこと。民法の改正により、平成16年4月1日に創設された制度である。根拠条文は改正後の民法395条である。
建物買取請求権
[読み:たてものかいとりせいきゅうけん]
地主に借地上の建物を買い取らせることのできる権利をいう。借地権が更新されないとき、または、借地上の建物を譲渡した際に地主が借地権の譲渡または転貸を承諾しないときに、借地権者または建物譲受人に生じる権利で、一方的な意思表示によって法律上の効果が生まれる(形成権)。買取価格は、時価とされる。なお、定期借地権については、特約で定めない限り建物買取請求権は発生しない。
建物譲渡特約付き借地権
[読み:たてものじょうととくやくつきしゃくちけん]
新借地借家法(平成4年8月1日施行)により創設された定期借地権の一つ。「建物譲渡特約付き借地権」とは、次の契約内容を含む定期借地権である。
建物倒壊危険度
[読み:たてものとうかいきけんど]
地震による建物倒壊被害の危険性をいう。自治体単位で公表しているもので、東京都は定期的に町丁目ごとに建物倒壊危険度を測定し、公表している。東京都による建物倒壊危険度の測定は、地盤の揺れやすさと地震に対する建物耐力を考慮して行なわれ、例えば大規模造成地盛土地域や液状化による影響のある地域での危険性は高く評価される。東京都の評価結果は、町丁目ごとに5段階にランク分けして公表されている。測定された建物倒壊危険度は、木造住宅密集地域整備事業、防火規制、建物の耐震化助成等の地域の選定、に活用されている。
建物登記簿
[読み:たてものとうきぼ]
1個の建物ごとに作成される登記記録のこと。
建物の区分所有等に関する法律
[読み:たてもののくぶんしょゆうとうにかんするほうりつ]
分譲マンションなどの区分所有建物に関する権利関係や管理運営について定めた法律。「区分所有法」、「マンション法」と呼ばれることもあり、民法の特別法である。1962年に制定され、1983年に大幅に改正されている。区分所有建物とは、分譲マンションのように独立した各部分から構成されている建物のことであり、通常の建物に比べて所有関係が複雑であり、所有者相互の利害関係を調整する必要性が高い。そのため、民法の特例が必要となったのである。
建物評価指針(中古住宅に係る~)
[読み:たてものひょうかししん(ちゅうこじゅうたくにかかる~)]
住宅の機能に着目してその価値を評価するための指針で、中古戸建て住宅について公表されている(「中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針」(2014年、国土交通省))。
建物滅失登記
[読み:たてものめっしつとうき]
建物がなくなった場合に、当該建物に関する登記簿を閉鎖することをいう。滅失登記は建物所有者等の申請によって行なわれるが、申請は滅失の日から1ヵ月以内にしなければならないとされている。登録免許税は非課税である。なお、土地の売買や融資に当たって、建物滅失登記の確認を求められることがある。
他人効
[読み:たにんこう]
代理の本質は、他人の行為の効果が本人に帰属するということである(これを他人効という)。この他人効が成立する理論的根拠については、顕名説と代理権説が対立している。
他人物売買
[読み:たにんぶつばいばい]
他人の物を売買すること。民法では、他人の物を売買する契約も有効な契約であるとしている(民法第560条)。
他人物売買の制限
[読み:たにんぶつばいばいのせいげん]
宅地建物取引業者が、他人物を売ることを原則的に禁止するという規制のこと。これは、一般消費者を保護するための措置である(宅地建物取引業法第33条の2)。
垂れ壁
[読み:たれかべ]
天井から垂れ下がった形状の壁のこと。建築基準法では、こうした垂れ壁であって、天井面から50cm以上、下方向に突き出しているものを「防煙壁」と呼ぶ。この「防煙壁」は、火災により発生する煙の拡散を防ぎ、避難を容易にするための設備の一つである(建築基準法施行令第126条の2)。
短期取得時効
[読み:たんきしゅとくじこう]
所有の意思をもって物を一定期間占有したとき、その物の所有権を取得することができるという時効の制度である(民法第162条)。占有を開始した時点において自己の物であると信じ、そう信じるにつき無過失(善意かつ無過失)であれば、10年間の時効期間の経過により所有権を取得することができ、これを短期取得時効という(民法第162条第2項)。これに対して、占有を開始した時点において悪意または有過失であれば、20年間の時効期間の経過により所有権を取得することができ、これを長期取得時効という。
短期譲渡所得
[読み:たんきじょうとしょとく]
税務上の概念で、所有期間が5年以下の土地・建物の譲渡に係る所得のこと、所有期間は譲渡した年の1月1日現在で算定する。
短期賃貸借
[読み:たんきちんたいしゃく]
賃貸借契約のうち、その期間が限定されているものをいう。被保佐人もしくは被補助人(いずれも精神上の障害により事理弁識の能力が不十分(「被保佐人」は著しく不十分)であるとして家庭裁判所の審判を受けた者、「準禁治産者」を参照)であるため処分行為能力が制限されている者または権限の定めのない代理人等の処分権限を有しない者が賃貸借する場合には、賃貸借契約の目的物に応じてその期間が制限されている。例えば、山林以外の土地については5年、建物については3年である。従来、この期間を超えない賃貸借については、抵当権の登記後に登記したものでも抵当権者に損害を与えない限りこれに対抗できるとされていたが、この規定を悪用する例があるため、その特例は廃止された(「占有屋」参照)。
短期賃貸借保護制度
[読み:たんきちんたいしゃくほごせいど]
抵当権が設定された不動産において、抵当権が登記された後に賃借権が設定された場合であっても、その賃借権が短期賃借権であるならば、その賃借権は抵当権に対抗できるという制度のこと。
短期賃貸借保護制度の廃止
[読み:たんきちんたいしゃくほごせいどのはいし]
改正前の民法395条に定められていた短期賃貸借保護制度が法改正により廃止されたこと。その代わりとして、建物明渡猶予制度が創設されている。
単純承認
[読み:たんじゅんしょうにん]
相続において相続人が留保なく相続を承認することをいう。一方、留保をつけて相続することを「限定承認」という。単純承認によって、相続人は、被相続人の債務について無限責任を負うなど、権利義務を無限定に承継する。相続の開始があったことを知ったときから原則として3ヵ月以内に相続放棄や限定承認をしなければ単純承認をしたものとみなされるなど、実際の相続においては単純承認となるケースが多い。
団体信用生命保険
[読み:だんたいしんようせいめいほけん]
生命保険の類型の一つで、住宅ローン債務者を被保険者、債権者を契約者および保険金受取人とする生命保険契約をいう。住宅ローンの借入者が債務返済中に事故によって借入金の返済不能に陥ったときに、その弁済を保険によって行なうことにより、住宅ローンの担保となっている土地・住宅に対する担保権の実行(当該土地・住宅の売却等)を回避することができる。この契約は、ローンの貸出者と保険会社との間で締結されるもので、住宅ローン契約の際にその加入が必要条件とされることがあるほか、クーリングオフが適用されないこと、保険会社に対して告知が必要となることがあるなどの注意が必要である。
断定的判断の提供
[読み:だんていてきはんだんのていきょう]
宅地建物取引業について禁止されている行為の一つで、契約締結の勧誘の際に、相手方等に対して、利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断を提供することをいう。これに違反すれば、監督処分の対象となることがある。なお、消費者契約法では、契約の勧誘の際に将来における価額など将来における変動が不確実な事項について断定的判断を提供され、それが確実であると誤認したときは、契約等の意思表示を取り消すことができるとしている。また、金融商品取引法でも、金融商品取引業者等に対して、顧客に対し不確実な事項について断定的判断を提供するなどして契約締結を勧誘することを禁止している。
単独行為
[読み:たんどくこうい]
一人の1個の意思表示によって成立する法律行為のこと。具体的には、遺言(民法第960条)のように、相手方の承諾なくして、ある人の一方的な意思表示で成立する法律行為である。また債務免除、解除なども単独行為とされている。
断熱構造
[読み:だんねつこうぞう]
熱の伝わりを防ぐ仕組みをいう。断熱のためには、一般に断熱材を使用する。断熱材には、グラスウールなどの繊維系断熱材、フェノールフォームなどの発泡系断熱材、真空断熱材などがある。また、鉄筋コンクリート造における断熱方式として、断熱材を躯体の内側に設置する内断熱、外側に設置する外断熱の区別があるが、両者には、一長一短がある。さらには、複層ガラスの採用、直射日光の遮蔽などによっても建物の断熱効果を高めることができるなど、断熱によるエネルギー消費の削減の可能性は幅広い。
担保関係
[読み:たんぽかんけい]
人がある人に給付を要求できるという関係(債権・債務関係)において、その給付を確実なものとするために、担保によって債権を保全するという関係を「担保関係」という。
担保責任
[読み:たんぽせきにん]
特定物の売買契約において、特定物に何らかの問題があったときに、売主が負うべき責任を「担保責任」という(民法第561条、第563条、第565条、第566条、第567条、第570条)。特定物とは、取引当事者がその物の個性に着目して取引するような物のことであり、具体的には美術品、中古車、不動産(土地・新築建物・中古建物)などを指す。こうした特定物の売買では、買主はその物の個性(長所・欠点の両方を含む)に着目して購入を決定するため、仮にその物に何らかの欠点があったとしても、買主はその欠点があることを理由に、売主の責任を問うことはできないはずである。しかしこれでは買主の保護に欠けるし、売買取引の信頼性も損なわれる。 そこで法律(民法)では、担保責任の規定を設け、一定の場合には特定物の売主に責任を負わせることとしたのである。こうした売主の責任が「担保責任」である。
担保物権
[読み:たんぽぶっけん]
債権を保全するために設定される物権のこと。担保物権は約定担保物権と法定担保物権に分類することができる。約定担保物権は、債務者の信用を創出するために、当事者の合意によって設定される担保物権であり、抵当権、質権がある。法定担保物権は、政策的な必要性から、一定の事情がある場合に法律上当然に成立する担保物権であり、先取特権、留置権がある。またこのほかに、民法第二編には規定されていない約定担保物権があり、変則担保と呼ばれている。具体的には、譲渡担保、仮登記担保、買戻、再売買の予約、所有権留保である。
地域危険度
[読み:ちいききけんど]
災害が生じた場合の危険性について地域ごとに評価した結果をいう。ハザードマップ等に表示されているデータもこれに当たるが、広く知られているのは東京都が条例によって測定し公表している町丁目ごとの「地震に関する地域危険度」である。
東京都の地震に関する地域危険度は、建物倒壊、火災、避難のそれぞれについてその危険性を測定評価することによって、5段階にランク分けされている。その測定・公表は、都内都市計画区域の町丁目を単位に、1975(昭和50)年から5年ごとに行なわれていて(毎回まったく同一の手法が採用されているわけではない)、地震に強い都市づくりの指標、震災対策事業を実施する地域の選択、地震災害に対する認識と防災意識の向上のために活用されている。
地域継続計画(DCP)
[読み:ちいきけいぞくけいかく(でぃーしーぴー)]
大震災時に、業務地区等において被災者や帰宅困難者を支援するための計画をいう。DCP(District Continuity Planning)と略称される。
その主要な内容は、非常食の備蓄、避難場所の確保、交通情報等の伝達提供などで、JR東京駅の周辺地区、丸の内地区等において検討されている。DCPは、被災者や帰宅困難者を支援する役割を果たすだけでなく、救援活動や物資輸送などを円滑に実施することにも資すると考えられている。
なお、内閣府・中央防災会議の推計では、首都直下地震が発生した場合の帰宅困難者は最大で約650万人にのぼるとされる。
地域再生拠点区域
[読み:ちいきさいせいきょてんくいき]
集落生活圏において、地域における住民の生活および産業の振興の拠点を形成するために集落福利等施設(住民の共同の福祉・利便のため必要な施設または就業の機会の創出に資する施設)の立地を誘導すべき区域をいう。地域再生法の規定による区域で、地域再生土地利用計画において定められる。
地域再生拠点区域内における土地の区画形質の変更、建築物の建築等の行為を行なおうとする者は、着手する30日前までに市町村長に届けなければならないとされている。この届出義務は法令上の制限であり、宅地建物取引業法の重要事項説明の対象となっている。
地域再生法
[読み:ちいきさいせいほう]
地域経済の活性化、地域における雇用機会の創出など地域の活力の再生を総合的、効果的に推進するための法律をいう。2005(平成17)年に制定された。
地域地区
[読み:ちいきちく]
都市計画において、土地利用に関して一定の規制等を適用する区域として指定された、地域、地区または街区をいう。指定する地域地区の種類に応じて、その区域内における建築物の用途、容積率、高さなどについて一定の制限が課せられる。
地域包括ケア
[読み:ちいきほうかつけあ]
高齢者を地域単位で包括的に支援する仕組みをいう。要介護状態等になっても可能な限り住み慣れた地域や自宅で生活し続けるように、おおむね30分以内に駆けつけられる圏域で、個々人のニーズに応じて、医療・介護等のさまざまなサービスが適切に提供できるように地域の体制を構築するというものである。
地域防災計画
[読み:ちいきぼうさいけいかく]
地方自治体が策定する防災に関する基本的な計画で、災害対策基本法に基づいて作成されている。地域防災計画において定める事項は、災害の類型ごとに、予防・事前対策、応急対策、復旧・復興対策として行なうべき事項とその実施責任についてである。
地域密着型サービス(介護保険法における~)
[読み:ちいきみっちゃくがたさーびす]
住み慣れた自宅や地域で生活が続けられるように、訪問、通い、宿泊などを組み合わせて柔軟な介護サービスを提供する仕組み。市町村が地域を分けてサービス提供事業者を指定できるので、必要なサービスを偏りなく整備しやすい。
地役権
[読み:ちえきけん]
地役権とは、他人の土地を自分の土地の利便性を高めるために利用することができるという権利である(民法第280条)。
地階
[読み:ちかい]
次の2つの条件を満たす階をいう。1.床が地盤面下にあるような階であること 2.床から地盤面までの高さが、床から天井までの高さの3分の1以上であること。
地価公示
[読み:ちかこうじ]
代表的な土地評価である地価公示は、地価公示法にもとづき、国土交通省土地鑑定委員会が毎年3月下旬に公表する土地評価である。地価公示では全国で選定された3万数千地点の「標準地」について、毎年1月1日時点を基準日として各標準地につき2名以上の不動産鑑定士等の鑑定評価を求め、その正常な価格を土地鑑定委員会が判定し、毎年3月下旬に公示する。この公示された価格を「公示地価」という。地価公示によって評価された公示地価は、一般の土地取引価格の指標となるだけでなく、公共用地の取得価格の算定基準ともなっている。
地下室
[読み:ちかしつ]
地階に設けた室のことである。建築基準法では、床面から天井までの高さの3分の1以上が平均地盤面より下にある部屋を「地下室」と呼んでいる。
地下水汚染の無過失責任
[読み:ちかすいおせんのむかしつせきにん]
水質汚濁防止法では、特定の有害物質を含む水の排出や地下への浸透により、人の生命・身体に損害を与えた場合には、事業者に過失がない場合であっても、事業者に損害賠償の責任を負わせることとしている。
地下水の水質浄化の措置命令
[読み:ちかすいのすいしつじょうかのそちめいれい]
特定施設を設置する工場・事業場が、有害物質を含む水を地下へ浸透させたことにより、健康被害の恐れが生じたときは、都道府県知事は相当の期限を定めて、地下水の水質の浄化のための措置をとることを事業者に命令することができる(水質汚濁防止法第14条の3)。この命令を「地下水の水質浄化の措置命令」と呼ぶ。この地下水の水質浄化の措置命令は、平成8年の水質汚濁防止法の改正により新設された制度であり、平成9年4月1日から施行されている。
地下水モニタリング(水質汚濁防止法の~)
[読み:ちかすいもにたりんぐ]
水質汚濁防止法によって都道府県知事が毎年度実施している地下水質の測定調査をいう。全国の約1万2,000の井戸について実施されている。この地下水モニタリングは、土壌汚染対策法に定める土壌汚染状況調査を実施する対象となる土地を確定するうえで重要な役割を担っている(詳しくは「健康被害が生ずる恐れのある土地の調査」)。
地球温暖化対策地域推進計画
[読み:ちきゅうおんだんかたいさくちいきすいしんけいかく]
温室効果ガスの排出抑制のために地方公共団体が策定する計画で、地球温暖化対策の推進に関する法律に基づくものをいう。この計画によって、地域の自然的、社会的条件に応じた総合的、計画的な施策が展開されている。
地区計画
[読み:ちくけいかく]
都市計画において、それぞれの区域の特性にふさわしい良好な環境の街区を形成するために決定された計画をいう。
地区計画等
[読み:ちくけいかくとう]
特定の地区の特性を反映した市街地等を形成するするための計画で、都市計画において決定されたものをいう。
地区整備計画
[読み:ちくせいびけいかく]
地区計画の区域において定められる、道路・公園の整備、用途の制限などに関する具体的な計画。
蓄電池
[読み:ちくでんち]
放電と充電の両方が可能な電池をいう。
電池は極と電解質で構成され、化学反応によって電流を発生させる(放電する)装置であるが、特定の極と電解質が組み合わさった場合には、放電とは逆方向に電流を流すことによって放電力が回復する(充電する)性質がある。 この性質を利用したのが蓄電池で、放電のみ行なう使い切り電池を一次電池と呼ぶのに対して、蓄電池を二次電池と呼んで区別する。
蓄電池には、電極と電解液の組み合わせに応じて、鉛蓄電池、ニッケル水素蓄電池、リチウムイオン二次電池などの種類がある。例えば、自動車のバッテリーには鉛蓄電池、家庭用蓄電池にはニッケル水素蓄電池が主に使われている。家庭用蓄電池を利用すれば、住宅での太陽光発電や燃料電池による発電と、家電製品や電気自動車などの電力需要とを適切に調節する能力を高めることができると考えられている。
築年数
[読み:ちくねんすう]
建物完成後の経過年数をいう。通常、建物登記簿の表題部に記載された「登記原因及びその日付」をもとに判断できる。
一般に、築年数が古いほど、建物の老朽化や損傷、設備の陳腐化がより進行しているが、日常的な管理の状況や、リフォームの有無、マンションの大規模修繕の時期などによってその程度に大きな違いがある。なお、不動産広告では、建築年月が表示されている。
知事免許
[読み:ちじめんきょ]
宅地建物取引業者が、都道府県知事から免許を受けていること。宅地建物取引業を営もうとする者が、一つの都道府県内においてのみ事務所を設ける場合には、その都道府県の知事から免許を受けることが必要とされている(宅地建物取引業法第3条第1項)。この規定にもとづき、都道府県知事から免許を受けることを、一般に「知事免許」と呼んでいる。
地上権
[読み:ちじょうけん]
建物や工作物を所有する目的で、他人の土地を使用する権利のこと(民法第265条)。
地上権等がある場合等における売主の担保責任
[読み:ちじょうけんとうがあるばあいとうにおけるうりぬしのたんぽせきにん]
民法第566条の規定により売買契約における売主が負うべき無過失責任のこと。
地勢
[読み:ちせい]
比較的広域な視点で捉えた土地の概況のことで、自然環境だけでなく、人工的な改変を含めた総合的な土地の状態をいい、地形・水系・植生・交通網・集落などの要素によって構成される。また、洪水、地震、津波などの災害の歴史も地勢に反映されている。
不動産評価や不動産開発に当たっては、当該不動産と周辺環境との関係や当該不動産の特性を把握することが必要となるが、そのためには、地勢を読み取り、十分に理解することが不可欠である。なお、国土地理院が刊行している20万分の1の基本図は、比較的広域を対象とする土地および土地資源の利用開発、土地に関する調査・研究・計画等の広範囲な用途に供することができるように作成され、地勢図という名称が与えられている。
地積
[読み:ちせき]
土地登記簿に記載されている土地の面積をいう。この地積は、明治初期の測量に基づく場合がある等の事情により、不正確であるケースが少なくない。そのため、土地の売買にあたっては、土地登記簿の地積を信頼するのは危険であり、実際に測量をすることが望ましいといわれている。
地積測量図
[読み:ちせきそくりょうず]
土地の表示登記や分筆登記を申請する際に、土地家屋調査士が作成し、登記所へ提出する書面。正確な測量技術により土地の面積、土地の形状が記載されている。
地代
[読み:ちだい]
借地契約や土地賃貸借契約において、借主が地主に対して支払う賃料のこと。
地番
[読み:ちばん]
土地登記簿の表題部に記載されている土地の番号のこと(不動産登記法第79条)。民有地には地番が付されているが、公有地は無番地であることが多い。なお、分筆された土地の場合には、原則として分筆の旨を示す記録・記号が付けられている。
地方創生
[読み:ちほうそうせい]
明確な定義はないが、地域社会が持続するための政策をいう場合が多い。狭義には、「まち・ひと・しごと創生法」に基づいて推進されている政策をさすこともある。
地方創生が政策課題となっているのは、少子高齢化が急速に進行し、特に地方都市や過疎地域の市町村においてその影響が深刻になっているからである。例えば、人口急減による労働力人口の減少や消費市場の縮小が生じ、それが生活サービスの低下を招き、人口の流出を加速する。地域社会や地域経済が縮小のスパイラルに陥る恐れが大きい。
地方創生はこのような事態に対応する政策であり、その基本は、それぞれの地方が独自性を活かして、多様な地域社会を創り出していくことである。またその基盤として、地方の自主性・自立性を高めるべく、分権型社会を確立することも政策課題とされている。
地目
[読み:ちもく]
登記所の登記官が決定した土地の用途のこと。土地登記簿の最初の部分(表題部という)には、土地の所在、地番、地目、地積(土地面積)が記載されている。地目は、現況と利用状況によって決められることになっており、次の21種類に限定されている。
地目の変更
[読み:ちもくのへんこう]
土地登記簿上の「地目」が、実際のその土地の現況および利用状況と明らかに食い違う場合には、登記所に対して「地目の変更登記」を申請することができる。例えば、農業委員会から農地の転用許可を取得して、農地を宅地にした場合には、登記所に対して「地目の変更登記」を申請することとなる。また農地の転用許可を取得しない場合でも、20年以上の長期間にわたって農地が耕作されていない等の場合には、当該市町村の農業委員会から「非農地証明」を取得した後に「地目の変更登記」を申請することが可能とされる場合がある。
仲介
[読み:ちゅうかい]
不動産取引における宅地建物取引業者の立場(取引態様)の一つ。「媒介」と同意。
仲介手数料
[読み:ちゅうかいてすうりょう]
媒介報酬(仲介報酬)とも。宅地建物取引業者の媒介により、売買・交換・貸借が成立した場合に、宅地建物取引業者が媒介契約にもとづき、依頼者から受け取ることができる報酬のこと(詳しくは報酬額の制限へ)。
仲介報酬
[読み:ちゅうかいほうしゅう]
媒介報酬とも。宅地建物取引業者の媒介により、売買・交換・貸借が成立した場合に、宅地建物取引業者が媒介契約にもとづき、依頼者から受け取ることができる報酬のこと(詳しくは報酬額の制限へ)。
中間金
[読み:ちゅうかんきん]
中間金とは、売買契約が成立した後に、売買代金の一部として買主から売主へ交付される金銭のこと。契約成立から義務履行(財産移転)までの間に支払われるので、中間金と称する。また、手付は契約の義務が履行されれば代金に充当されるのに対して、中間金は交付される時点ですでに代金の一部である。
中間検査
[読み:ちゅうかんけんさ]
阪神・淡路大震災で倒壊した建物が多数存在したことに鑑み、建築物の安全性の向上のために平成11年に導入された新制度。この制度では、建築物を新築する際のある中間工程を「特定工程」とし、この特定工程の工事が済んだ時点で検査を義務付けるというものである。それと同時に、中間検査に合格しない限り、それより先の工程の工事が全面的にストップするという厳しい内容となっている。
具体的には、建築基準法の規定(7条の3)によれば、建築主は、特定行政庁が指定した特定工程の工事を完了した日から4日以内に、建築主事に「中間検査」を申し出る必要があるとしている。この申し出を受けた建築主事は申し出から4日以内に工事中の建築物を検査する必要がある。このように、中間検査の申し出から実際の中間検査まで8日間とされており、中間検査が迅速に行なわれるよう配慮されている。
この中間検査の結果、建築物が建築基準法に適合している場合は、建築主事は「中間検査合格証」を建築主に交付しなければならない。どのような建築物について中間検査を義務付けるかは、それぞれの特定行政庁(知事や市長)が自由に決定できることとされている(建築基準法7条の3)。従って、詳しくは自治体の窓口(建築確認の担当部署)に問い合わせる必要がある。
中間省略登記
[読み:ちゅうかんしょうりゃくとうき]
不動産の所有権が、A氏からB氏、B氏からC氏へと移転した場合、本来ならば不動産登記簿には「AからBへの所有権移転登記」と「BからCへの所有権移転登記」という2個の移転登記が記載されるべきである。
しかし当事者(A・B・C)が相談のうえ、「AからCへの所有権移転登記」という1個の移転登記のみを申請し、登記するケースがある。このような登記を「中間省略登記」と呼んでいる。中間省略登記は、権利が移転する実態を反映していない登記ではあるが、少なくとも現在の実態(Cが所有者であるという事実)には合致しているので、すでになされた中間省略登記は、当事者全員の合意があれば、有効であるものと解されている。
また不動産取引の実務上は、後日紛争になった場合に備えて、中間者(先ほどの例でいえば、登記簿上に現れないB氏を指す)から、中間省略登記をなすことについて異議がない旨の承諾書を徴収しておくのが望ましいといわれている。
中高層階住居専用地区
[読み:ちゅうこうそうかいじゅうきょせんようちく]
特別用途地区の一つ。中高層の階を「住宅以外」の用途に使用する場合に、建築物の規制を強化する地区である。市町村が指定する。
中高層共同住宅使用細則モデル
[読み:ちゅうこうそうきょうどうじゅうたくしようさいそくもでる]
分譲マンションのような区分所有建物において、管理規約にもとづいて設定される共同生活上の詳細なルールのことを「使用細則」という。
中高層共同住宅使用細則モデルとは、財団法人マンション管理センターが作成した使用細則のモデルのことである。この中高層共同住宅使用細則モデルは、分譲マンションの管理組合が使用細則を作成する際の有用な指針として、現在も幅広く活用されている。
中高層共同住宅標準管理委託契約書
[読み:ちゅうこうそうきょうどうじゅうたくひょうじゅんかんりいたくけいやくしょ]
マンションの管理委託契約を締結する際の指針となる標準的な契約書の様式をいう。昭和57(1982)年に、住宅宅地審議会(当時)の答申にもとづき建設省(現国土交通省)が策定した。
その後、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」が施行されるなどの情況の変化を踏まえて、平成15(2003)年に大きく改定され、現在は名称を変更して「マンション標準管理委託契約書」として活用されている。
中高層共同住宅標準管理規約
[読み:ちゅうこうそうきょうどうじゅうたくひょうじゅんかんりきやく]
譲マンションなどの区分所有建物における管理規約について一定のガイドラインを示すために、国土交通省(旧・建設省)が昭和57年に作成したマンション管理規約のモデルのこと。現在は名称が変更され、「マンション標準管理規約」となっている。
中古住宅流通の活性化
[読み:ちゅうこじゅうたくりゅうつうのかっせいか]
中古住宅の取引を活発にする政策が進められている。この政策によって、既存住宅の活用が進み、住宅の選択肢が広がり、ライフサイクルやライフスタイルに応じた住生活の確保が容易になると考えられている。
仲裁(土地収用法における~)
[読み:ちゅうさい]
土地収用法において、当事者の双方の申請により行なわれる土地等の対価に関する仲裁のこと。
土地収用では、収用者(起業者)は、事業認定申請書を提出する前に、できる限り多くの土地を土地所有者との合意により取得しておくのが普通である。このような任意の土地取得において、土地等の取得に関しては合意が形成されたものの、土地等の取得の対価について合意が形成されない場合に、土地所有者と起業者の双方が、都道府県知事に申請することにより、3人の仲裁委員によるあっせんを受けることができる(土地収用法第15条の7以下)。この手続きは、事業認定の告示前のものと、事業認定の告示後のものがある。
注視区域
[読み:ちゅうしくいき]
地価が一定の期間内に相当な程度を超えて上昇し、またはその恐れがある区域において、適正な土地利用の確保に支障を生ずる恐れがあるときは、知事は注視区域を指定することが可能となる(国土利用計画法第27条の3)。
注視区域に指定されると、注視区域が市街化区域である場合には、その注視区域内の2,000平方メートル以上の土地を取引しようとする者は、あらかじめ知事に届出を行なうことが必要となる(国土利用計画法27条の4)。知事は6週間以内に審査を終え、必要な場合には勧告を行なうことができる。取引をしようとする者がこの勧告に従わないときは、知事はその者の氏名・商号等を公表することができる(国土利用計画法第27条の5)。注視区域では監視区域よりも土地取引の規制の程度が緩やかであり、注視区域の指定でも効果がない場合について、監視区域への移行が予定されている。
駐車場整備地区
[読み:ちゅうしゃじょうせいびちく]
自動車交通の混雑解消のために都市計画で定められる地区。地域地区の一つで、地区内で駐車施設の付置が義務づけられる。「駐車場法」に基づく制度である。
駐車場整備地区は、商業地域、準商業地域などのうち、自動車交通が混雑する地域を対象に指定される。駐車場整備地区内では、条例の定めに従って、延べ面積2,000平方メートル以上の建築物または事務所等の特定用途に供する一定面積以上の建築物の新増築に当たっては、駐車施設を付置しなければならない。また、駐車場整備地区については駐車場整備計画が策定される。
なお、駐車場整備地区以外の地域においても、条例によって、駐車場整備地区内と同様に、駐車施設の付置義務が課せられる場合がある。
長期修繕計画
[読み:ちょうきしゅうぜんけいかく]
分譲マンションの性能を維持し老朽化を防止するために、管理組合が作成する分譲マンションの長期的な修繕計画のことである。
長期修繕計画は、一般的に10年から30年程度の期間を対象として、マンションの各箇所に関する鉄部等塗装工事・外壁塗装工事・屋上防水工事・給水管工事・排水管工事などの各種の大規模修繕をどの時期に、どの程度の費用で実施するかを予定するものである。
長期取得時効
[読み:ちょうきしゅとくじこう]
取得時効とは、所有の意思をもって物を一定期間占有したとき、その物の所有権を取得することができるという時効の制度である(民法第162条)。
長期譲渡所得
[読み:ちょうきじょうとしょとく]
税務上の概念で、所有期間が5年を超える土地・建物の譲渡に係る所得のこと、所有期間は譲渡した年の1月1日現在で算定する。
長期生活支援資金貸付制度
[読み:ちょうきせいかつしえんしきんかしつけせいど]
高齢者世帯の生活を支援するために、厚生労働省社会援護局が平成14年12月に創設した貸付制度のこと。日本初の全国的かつ公的なリバースモーゲージとして注目されている。
長期未着手都市計画
[読み:ちょうきみちゃくしゅとしけいかく]
都市計画決定されてから長期間経過したのに、事業化の目処が立っていない都市計画施設をいう。特に、都市計画道路について例が多い。都市計画決定された都市計画施設の区域については、その区域内で建築物を建築しようとする場合には許可を要し、移転が容易であるなどの条件満たさないと許可されない。そして、事業化の見通しがないままこのような私権に対する制限が長年継続している場合には、その制限の合理的な理由の前提を欠く事態となっている恐れがあり、制限によって生じた損失に対しての補償を拒むことは許されないのではないかという考えがある。
長期優良住宅
[読み:ちょうきゆうりょうじゅうたく]
長期にわたり使用可能な質の高い住宅をいう。その具体的な基準は明確には定まっていないが、単に物理的に長寿命であるだけでなく、ライフスタイルの変化などへの対応、住環境への配慮など、社会的に長寿命であることが必要であるとされる。「200年住宅」ともいわれる。
長期優良住宅に関する課税の特例
[読み:ちょうきゆうりょうじゅうたくにかんするかぜいのとくれい]
長期優良住宅として認定された住宅(認定長期優良住宅)を対象とした税制上の優遇措置をいう。
長期優良住宅普及促進法
[読み:ちょうきゆうりょうじゅうたくふきゅうそくしんほう]
長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた優良な住宅を普及するための法律。正式には、「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」といい、平成20(2008)年に制定された。この法律は、長期優良住宅を認定するための手続き、基準などを定めている。この制度によって認定された住宅が「認定長期優良住宅」である。
長尺塩ビシート
[読み:ちょうじゃくえんびしーと]
プラスチック系床材のうち、塩化ビニル系床材であって、発砲層を含んでいない、幅の広いロール状のプラスチックシートのことを「長尺塩化ビニルシート」または「長尺塩ビシート」と呼んでいる。「長尺塩ビシート」は、ロール状であるため大きな床面の仕上げに適しており、同時に硬質で耐久性・耐摩耗性に優れている。このため、学校、病院、オフィスなどでよく使用されている。
調停調書
[読み:ちょうていちょうしょ]
紛争を解決するために当事者が互いに譲歩して合意に達することを「和解」というが、これに対して、当事者以外の第三者が介入することにより当事者間の合意を形成することを「調停」という。民事調停法にもとづく民事調停手続きでは、当事者の一方が簡易裁判所(または地方裁判所)に調停を申し立て、裁判官と調停委員が調停案を作成し、当事者双方が調停案に合意すれば、調停調書が作成される。このようにして作成された調停調書は、債務者に給付義務を強制的に履行させる手続き(強制執行)を行なう際に、その前提として必要とされる「債務名義」の一つである。
張壁
[読み:ちょうへき]
構造耐力(自重、積載荷重、積雪、地震力、風圧力などを支えまたは対抗する力のこと)を負担しない壁である。具体的には、耐力壁ではない間仕切り壁が張壁である。また近年、高層ビルの外壁に使用されているカーテンウォールも張壁である。
聴聞
[読み:ちょうもん]
行政機関が処分に先立ち、相手方や関係人に意見を述べる機会を与える手続きをいう。行政手続法では、聴聞は、不利益処分のうち相手方に対する打撃の大きな許認可の取消しなどについては聴聞を義務付け、それ以外の場合には弁明の機会を付与するとしている。聴聞は口頭で審理が行なわれ、当事者には証拠書類等の提出、文書閲覧などが認められている(弁明は原則として書面の提出で行なう)。
宅地建物取引業法では、宅地建物取引業者に対する指示または業務の停止、および、宅地建物取引士に対する指示またはその事務の禁止の処分については、行政手続法の規定にかかわらず、すべての場合に聴聞を行なわなければならないとしている。そのほかの監督処分を行なう場合にも、行政手続法に従って聴聞が行なわれ、または弁明の機会が付与されるのは当然である。
直接還元法
[読み:ちょくせつかんげんほう]
不動産鑑定評価などに当たって用いられる不動産の収益価格を求める手法の一つをいい、不動産から得ることのできる一定期間(通常1年間)の純利益(収入から経費を減じた額)を一定の還元利回りで除して算出する手法である。
もう一つの手法はDCF法であり、両者の選択は対象不動産の性格や算出の目的に応じて決められる。ただし、不動産の証券化などにおける収益見込みの算出には、原則としてDCF法を用いることとされている。直接還元法は、DCF法に比べて簡便であるが、精度は劣るとされる。だが、純利益の把握や還元利回りの設定によって予測の精度が左右されることは、DCF法についても同様である。
直接基礎
[読み:ちょくせつきそ]
建物の荷重が、基礎を通じて直接的に地盤に伝達されるとき、この基礎を直接基礎という。直接基礎には「独立基礎」「布基礎」「べた基礎」の3種類がある。
貯水槽水道
[読み:ちょすいそうすいどう]
水道事業者から給水される水道水を一旦水槽に貯水し、そこから給水する方式をいう。マンションや事務所ビルでよく使われている給水方法で、貯水槽内の水及びそこから配水される水の水質等については、貯水槽の設置者が管理責任を負う。なお、貯水槽の有効容量が立方メートルを超える貯水槽水道を「簡易専用水道」という。
賃借権
[読み:ちんしゃくけん]
賃貸借契約によって得られる借主の権利をいう。借主は契約の範囲で目的物を使用し収益できる一方、貸主に賃料を支払わなければならない。民法上、債権とされる。
賃借権の取得時効
[読み:ちんしゃくけんのしゅとくじこう]
取得時効とは、物を一定期間占有したとき、その物の権利を取得することができるという時効の制度であるが、わが国の民法では、所有権の取得時効を定める(民法第162条)だけでなく、地上権・地役権などの所有権以外の財産権の取得時効も定めている(民法第163条)
賃貸借
[読み:ちんたいしゃく]
ある目的物を有償で使用収益させること、あるいはそれを約する契約をいう(賃貸借契約)。 賃貸借契約の締結によって、貸主(賃貸人)は目的物を使用収益させること、目的物を修繕すること等の債務を、借主(賃借人)は賃料を支払うこと、目的物を返還する際に原状回復すること等の債務をそれぞれ負うことになる。
賃貸住宅管理業者登録制度
[読み:ちんたいじゅうたくかんりぎょうしゃとうろくせいど]
賃貸住宅管理を業務として行なう者を登録する制度をいう。国土交通省の告示に基づくもので、業者に登録の義務はないが、登録によって、事業者情報が開示されるほか、業務ルールの徹底などの効果が期待できる。登録した賃貸住宅管理業者は、毎年、財産の分別管理等の状況を報告しなければならない。また、国土交通省が定めた賃貸管理業務に関するルール(賃貸住宅管理業務処理準則)を遵守する義務を負う。同準則には、重要事項の説明、業務の一括再委託の禁止、財産の分別管理、秘密の保持等が規定されている。
賃貸住宅管理業務処理準則
[読み:ちんたいじゅうたくかんりぎょうむしょりじゅんそく]
賃貸住宅管理を業務として行なう場合に基準となるルールをいう。国土交通省の告示に基づくもので、賃貸住宅管理業者として登録した事業者はこれを遵守する義務を負っている。
賃料
[読み:ちんりょう]
賃貸借契約によって賃借人が支払う対価をいう。特約がない限り後払いである。また、地代・家賃については、事情変更による増減請求権が認められている。なお、借主が実質的に負担するのは、賃料に保証金、預かり金等の運用益を加えた額(実質賃料)である。また、共益費など賃料以外の負担を求められることも多い。
2×4(ツーバイフォー)工法
[読み:つーばいふぉーこうほう]
北米で生まれた木造建築の工法。わが国における正式名称は「枠組壁工法」である。断面が2インチ×4インチの木材を使用することから、このような名称が付けられた。このツーバイフォー工法の最大の特徴は、木材で組んだ「枠組」に構造用合板を打ち付けることで、構造全体の強度を得ることである。
追認
[読み:ついにん]
効果のない法律行為について、その効果を生じさせる意思表示をいう。一定の場合にのみ認められる(通常は、新たな法律行為が必要である)。
通気筒
[読み:つうきつつ]
建物の室内と外気とをつないで気流を確保する太めの管をいう。換気、排煙、厨房排気、空調などのために多量の空気を円滑に流す役割を果たす。通気筒には、一般に、ダンパ、ファンなど風量をコントロールするための装置が取り付けられている。また、通気筒を外付けすることなく、躯体構造と一体化して設置する場合もある。
通行地役権
[読み:つうこうちえきけん]
通行地役権とは、通行という目的のために設定される地役権のことである(民法第280条)。
通謀虚偽表示
[読み:つうぼうきょぎひょうじ]
本人が相手方と通じて、虚偽の意思表示をすることをいう。
継手
[読み:つぎて]
部材の長さが確保できないときに、2つ以上の部材を継ぎ足すことがある。このときの接合部のことを「継手」という。しかし「継手」は強度が非常に小さくなるので、できるだけ「継手」は行なわないことが望ましい。また、やむを得ず行なうときは金物で補強する必要がある。
つくば方式
マンションの建設手法の一つで、定期借地権を活用してスケルトン・インフィル(SI住宅)を建設する方法をいう。スケルトン定借ともいわれる。
SI住宅は、構造・躯体(スケルトン)と内装・設備(インフィル)が分離され、耐用年数が長く、また居住形態の変化に柔軟に対応できる。そこでそのような特性を活かして、建物譲渡特約付き定期借地権(期間30年)を設定してSI住宅を建設し(入居者は地代を負担)、借地権期間終了後はスケルトン部分を地主に譲渡して賃借する方法(借家)に移行する。借家に移行後は、入居者は家賃を負担するが、スケルトンの譲渡代金を家賃と相殺することによって負担額を地代と同様の水準に押さえることができる。
なお、「つくば方式」という名称は、この方式が筑波研究学園都市において開発され、1996年に同地で初めて具体化したことに由来する。
つなぎ融資
住宅・宅地の取得資金や工事代金に充てるため、公的な融資が実行されたり、不動産の売却代金を得るまでの間、一時的に資金を借りることをいう。金融機関により融資条件はさまざまであるが、短期融資として取り扱われる。公的融資の実行は土地・建物の登記後とされ、登記は決済後でないとできないため、つなぎ融資が必要となるケースは多い。また、住宅の買い換えなどの際にも、購入の後に売却することが多く、同時決済などの便宜を得ない限りはつなぎ融資が必要である。
津波災害警戒区域
[読み:つなみさいがいけいかいくいき]
津波が発生した場合に住民等の生命又は身体に危害が生ずる恐れがあり、津波による人的災害を防止するために警戒避難体制を特に整備すべきとして指定された土地の区域をいう(津波防災地域づくりに関する法律)。指定は、国土交通大臣が定める基本指針に基づき、津波浸水想定を踏まえて、都道府県知事が行なう。津波警戒区域内では、津波の発生時における避難施設の指定など、警戒避難のために必要な措置が講じられる。
また宅地建物取引業者は、対象不動産が津波災害警戒区域内であるかどうかを重要事項として説明しなければならない。
津波災害特別警戒区域
[読み:つなみさいがいとくべつけいかいくいき]
津波災害警戒区域のうち、津波が発生した場合に建築物が損壊し、又は浸水し、住民等の生命又は身体に著しい危害が生ずる恐れがあると認められ、一定の開発行為および一定の建築物の建築又は用途の変更の制限をすべきとして指定された土地の区域をいう。指定は、国土交通大臣が定める基本指針に基づき、津波浸水想定を踏まえて、都道府県知事が行なう。
津波災害特別警戒区域内では、特に防災上の配慮を要する者が利用する一定の施設等を建築するための開発行為や同施設等の建築(用途変更を含む)について、都道府県知事等の許可を得なければならない。また宅地建物取引業者は、対象不動産が津波災害特別警戒区域内であるかどうかを重要事項として説明しなければならないほか、区域内であるときにはそれに伴う開発・建築行為の制限についても説明しなければならない。
坪
[読み:つぼ]
土地面積や部屋の広さを測るときの単位。1坪おおよそ3.3平方メートルに相当する。土地の売買契約においては、一般的に「1辺を6尺(約1.818m)とする正方形」が1坪であるという慣行が成立しているものと思われる。この慣行に従えば、1坪とは約3.3058平方メートルであるということができる。なお不動産の広告を規制する「不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)」によれば、土地の面積や建物の床面積を広告で表示する場合には、必ずメートル法によって表示することとされている(不動産の表示に関する公正競争規約第15条第19号)。
ただしメートル表示と同時に、坪表示も併せて表示することは可能である。
妻入り
[読み:つまいり]
二つの屋根面が山の形に合わさった側(「妻」という)に出入り口がある建物構造。これに対して、妻と直角をなす側(「平」という)に出入り口がある構造を「平入り」という。
定額補修分担金
[読み:ていがくほしゅうぶんたんきん]
建物の賃貸借契約において、退去後の回復費用等に充てるため一定の金額をあらかじめ負担することを特約する場合の当該負担金をいう。この負担金は敷金と違って返還されることはない。
なお、民法では自然損耗の回復費用は貸主が負担すべきとされていることから、定額補修分担金にその費用が含まれていると推定される場合(つまり負担金額が一般的に生じる軽過失損耗部分の回復費用を上回る場合)には、このような特約は消費者の利益を一方的に害するものとして無効であるとの判例(地方裁判所)がある。
定款
[読み:ていかん]
一般社団法人、一般財団法人、株式会社等の基本的な規則またはそれを記した記録をいう。それぞれの法人の設立の際に定められるのが通例である。定款で定められる事項は、法人の種類等によって異なるが、目的、事務所所在地、組織、会計などが規定されている。
定期借地権
[読み:ていきしゃくちけん]
平成4年8月1日に施行された新借地借家法では、借地権を普通借地権と定期借地権に区分した。普通借地権とは、借地権の存続期間が満了した際に、地主側に土地の返還を請求するだけの正当事由が存在しなければ、借地人が更新を望む限り自動的に借地契約が更新されるというものである。これに対して定期借地権とは、借地権の存続期間が満了した際に、地主側の正当事由の有無にかかわらず、借地人は借地を地主に返還しなければならないというものである。
定期借地権には「一般定期借地権」「建物譲渡特約付き借地権」「事業用借地権」の3種類がある。
定期借家制度
[読み:ていきしゃっかせいど・ていきしゃくやせいど]
新借地借家法(平成4年8月1日施行)の一部が改正されたことにより、平成12年3月1日に創設された制度。従来の新借地借家法では、一部の例外(期限付き建物賃貸借)を除いて、貸主側に建物の返還を求めるだけの正当事由がない限り、貸主は借家契約の更新を拒否することができないとされていた。しかし、平成12年3月1日の改正法施行により、借家契約時に貸主が「期間の満了により契約が終了する」ことを借家人に対して、公正証書などの書面を交付して説明する場合には、期間満了に伴い借家契約を終了させることができることとなった。
従って、平成12年3月1日以降の借家契約では「従来の借家契約」と「定期借家契約」のいずれかを当事者が選択できることとなった。
定期建物賃貸借
[読み:ていきたてものちんたいしゃく]
契約の更新がないことを特約した建物の賃貸借をいう。「定期借家」ともいう。
定期モニタリング調査
[読み:ていきもにたりんぐちょうさ]
水質汚濁防止法により、汚染井戸周辺地区調査によって水質汚染が確認された井戸に関して、水質汚染を継続的に監視するために行なう水質の調査をいう。この調査は、都道府県知事が毎年度実施している地下水モニタリングの一つである。
停止条件
[読み:ていしじょうけん]
法律行為の効果の発生が、将来の不確実な事実にかかっているときの、当該事実をいう。例えば、「宅建試験に合格したら給料を3割上げる」と約束した場合の「合格」が停止条件である。 逆に、法律効果が将来の不確実な事実によって消滅するとき、その事実を「解除条件」という。
ディスクシリンダー錠
シリンダーの内部にディスクを並べて、それらの組み合わせを制御する鍵によって解錠できるようにした錠をいう。鍵穴から錠を作動するシリンダーに比較的容易に接触できるため、ピッキング(鍵穴に器具を差し込んで解錠すること)に弱いとされているが、改良が進んでいる。
ディスポーザー
生ゴミを細断・破砕する装置。流しの排水口下部に取り付け、流れ落ちてくる生ゴミをカッターで破砕、水とともに下水道に流す。ガーベジ・クラッシャー(gabage crusher)ともいう。
低炭素化(都市の~)
[読み:ていたんそか]
都市活動に伴う温室効果ガス(主として二酸化炭素)の排出を抑制する取り組みをいう。住宅の環境性能向上などの単体対策のみでなく、都市に関する諸施策を総合的に推進することに特徴がある。
低炭素社会
[読み:ていたんそしゃかい]
温室効果ガスの排出量を自然が吸収できる範囲にとどめること(カーボンニュートラル)のできる社会をいう。ただしこれは究極的な目標であり、低炭素社会という言葉は、それに向けて取り組むことに重点を置いて使われることが多い。
低炭素まちづくり計画
[読み:ていたんそまちづくりけいかく]
都市における温室効果ガスの排出を抑制するための計画をいい、「都市の低炭素化の促進に関する法律」に基づき市町村が作成する。
定着物
[読み:ていちゃくぶつ]
定着物とは、土地の上に定着した物をいう。具体的には、建物、樹木、未分離の果実、移動困難な庭石などが定着物である。なお土砂は土地そのものであり、定着物ではない。定着物は、土地から分離することができないので、原則として定着物は土地の所有権に吸収され、土地の取引とともに取引され、土地と法律的運命をともにすることに最大の特徴がある。
抵当権
[読み:ていとうけん]
債権を保全するために、債務者(または物上保証人)が、その所有する不動産に設定する担保権のこと。債務者(または物上保証人)がその不動産の使用収益を継続できる点が不動産質と異なっている。債権が弁済されない場合には、債権者は抵当権に基づいて、担保である不動産を競売に付して、その競売の代金を自己の債権の弁済にあてることができる。
抵当権者
[読み:ていとうけんしゃ]
ある人(A)が他の人(B)に対して債権を有している場合に、Aが債権を保全する目的のために、Bの所有する財産に対してAが抵当権を設定したとき、Aのことを「抵当権者」という。 また、Bは「抵当権設定者」と呼ばれる。
抵当権者の同意により賃借権に対抗力を与える制度
[読み:ていとうけんしゃのどういによりちんしゃくけんにたいこうりょくをあたえるせいど]
抵当権設定登記以後に設定された賃借権について、抵当権者の同意のもとに、賃借権が抵当権に対抗できるものとする制度のこと。
抵当権消滅請求
[読み:ていとうけんしょうめつせいきゅう]
抵当権が付着している不動産を、抵当権が付着した状態のままで取得した者(第三取得者という)は、いつ債権者の意向により任意競売(抵当権の実行)にかけられるかわからないという不安定な状態に置かれてしまう。そこで民法第379条では、第三取得者からの請求により抵当権を消滅させることができるという仕組みを設けており、この仕組みを「抵当権消滅請求」と呼んでいる(民法改正により2004年4月1日以降は「抵当権消滅請求」という名称になった。旧名称は「滌除(てきじょ)」)。
抵当権設定者
[読み:ていとうけんせっていしゃ]
ある人(A)が他の人(B)に対して債権を有している場合に、Aが債権を保全する目的のために、Bの所有する財産に対してAが抵当権を設定したとき、Bを「抵当権設定者」という。 また、Aは「抵当権者」と呼ばれる。
抵当権等がある場合における売主の担保責任
[読み:ていとうけんとうがあるばあいにおけるうりぬしのたんぽせきにん]
私法上の概念で、売買契約における売主が負うべき無過失責任の一つである。
抵当権の及ぶ範囲
[読み:ていとうけんのおよぶはんい]
抵当権は担保に取った不動産に及ぶだけでなく、その不動産に付属している物や権利にも及ぶ(民法第370条)。従って、抵当権にもとづいて不動産を競売する場合には、付属している物や権利も一緒に競売されることとなる。
抵当権の実行
[読み:ていとうけんのじっこう]
ある不動産に抵当権が設定されているとき、債権が弁済されない場合には、債権者はその抵当権にもとづいて、担保である不動産を競売し、その代金を自己の債権の弁済に充てることができる。このように債権者によって抵当不動産が競売されることを「抵当権の実行」という。
ディンプルキー
シリンダーの作動によって制御される錠(シリンダー錠)の一つで、シリンダー内に並べられたピンの制御を、表面に多数の小さなくぼみ(ディンプル)が付いている鍵によって行なうものをいう。鍵のパターンが非常に多く、鍵の複製が難しいのでピッキング(鍵穴に器具を差し込んで解錠すること)対策に優れているとされる。
適格消費者団体
[読み:てきかくしょうひしゃだんたい]
不特定多数の消費者の利益のために、事業者に対して不当な行為の停止や予防を請求すること(差止請求権)が認められている団体をいう。一定の要件を満たした上で内閣総理大臣の認定を受ける必要がある(消費者契約法)。消費者契約等において不当な行為を理由に契約を取り消すことができるのは原則としてその当事者であるが、適格消費者団体は、そのような不当な行為に対する差止請求権を付与され、その行使等によって消費者被害の防止や消費者救済を図る役割を果たす。
適合高齢者専用賃貸住宅
[読み:てきごうこうれいしゃせんようちんたいじゅうたく]
高齢者専用賃貸住宅のうち、介護保険法で定める一定の居住水準等(各戸の床面積が25平方メートル以上、各戸に台所、水洗便所、浴室等を備えている、介護等のサービスが提供されるなど)を満たすものとして、都道府県知事に届出がなされたものをいう。
滌除
[読み:てきじょ]
第三取得者からの請求により抵当権を消滅させることができるという制度のこと(改正前の民法第378条)。滌とは洗うという意であり、滌除とは抵当権を洗い流すという意味合いである。滌除の制度は、2004年4月1日施行の民法改正により大幅に改正され、名称も「抵当権消滅請求」へと変更されている。
出口戦略
[読み:でぐちせんりゃく]
投資において、投資の区切りにおける対応方針をいう。いったん損益を確定し、その結果を受けてどのようにするかということであるが、投資商品の開発の際にそれを明確にしておくこともある。
手数料
[読み:てすうりょう]
法令上は、公的組織が特定の者に役務を提供するとき、その費用を賄うなどのために徴集する料金をいう。例えば、許認可、試験、検定などに関する手数料で、法令によって定められている。一方、私人間でも、役務の提供に対する報酬を手数料と呼ぶことがある。宅地建物の取引を媒介したときの報酬も手数料と呼ばれることが多い。
鉄筋コンクリート構造(鉄筋コンクリート造)
鉄筋とコンクリートによって、柱・小梁・大梁・スラブ・壁を造り、すべての部分を一体化した構造のこと。鉄筋コンクリートの部材は、引っ張る力にも、圧縮する力にも強いので、地震に対する安全性が高い構造となる。
また、すべての部材がコンクリートで一体化され、部材同士の接合部は剛であるので、建築学上の「ラーメン構造」となっている。この鉄筋コンクリート構造のデメリットは、自重が大きいため、原則的には大空間建築や高層建築に向かないということである。
手付
[読み:てつけ]
売買契約・請負契約・賃貸借契約などの有償契約において、契約締結の際に、当事者の一方から他方に対して交付する金銭などの有償物のこと(民法第557条・第559条)。手付には交付される目的により、解約手付、証約手付、違約手付の3種類がある。民法で手付とは、原則的に解約手付であるとしている。また一般に取引において交付される手付の大半は解約手付であると考えてよい。
宅地建物取引業法では、消費者保護の観点から、売主が宅地建物取引業者である場合にはその売買契約で交付される手付は解約手付とみなすという強行規定を設けている(宅地建物取引業法第39条第2項)。これを解約手付性の付与という。なお、契約に従って当事者が義務を履行したとき、手付は代金の一部に充当される。
手付金等
[読み:てつけきんとう]
売買契約の締結から宅地建物の引渡し前の間に支払われる手付金などの金銭で、最終的に代金の一部になる金銭のこと(宅地建物取引業法第41条第1項)。宅地建物取引業法(第41条・第41条の2)では、この手付金等を、第三者が保管するなどの方法で保全するように定めている。これは、売主が物件を引き渡せないなどの不測の事態が生じた場合に、手付金等が確実に買主に返還されるようにする目的で創設された制度である。
手付金等の保全
[読み:てつけきんとうのほぜん]
物件の引渡し前に買主が支払う金銭(手付金・内金・中間金)について、第三者に保管させる等の方法で保全することを「手付金等の保全」という(宅地建物取引業法第41条・第41条の2)。手付金・内金・中間金を合わせて「手付金等」と呼ぶ。この手付金等は、物件がまだ買主に引き渡されない時点で買主が売主に交付する金銭である。従って、売主が物件を引き渡せない等の不測の事態が生じた場合に、手付金等は、確実に買主に返還される必要がある。そこで、宅地建物取引業法(第41条・第41条の2)では、手付金等の保全について必要な措置を規定している。
手付貸与の禁止
[読み:てつけたいよのきんし]
宅地建物取引業に対する業務規制の一つで、契約の誘引に際して、手付金の貸付けなど信用の供与をしてはならないという規制をいう。これに反すると(契約に至らなくとも)監督処分の対象となる。
手付流し
[読み:てつけながし]
売買契約成立時に買主が売主に解約手付を交付している場合において、買主が手付を放棄することにより、契約を解除することを「手付流し」という。この手付流しによる契約解除では、買主は手付相当額以外の損害賠償を支払わなくてよいとされている(民法第557条第2項)。
手付の額の制限
[読み:てつけのがくのせいげん]
売主が宅地建物取引業者である宅地建物の売買契約を締結するとき、手付は、代金の額の10分の2を超えてはならないという制限のこと(宅地建物取引業法第39条第1項)。手付とは、売買契約・賃貸借契約・請負契約などが締結されるに際して、当事者の一方が相手方に交付する金銭等のことである。
この手付が高額であると、買主としては手付を放棄して売買契約を解除することが難しくなり、売買契約の拘束力が不当に高くなってしまう。そこで、宅地建物取引業法では、売主が宅地建物取引業者で、買主が宅地建物取引業者以外の者である場合には、手付は代金の2割を超えてはならないという制限を設けている(宅地建物取引業法第39条第1項)。ただし、この第39条は一般消費者保護の規定であるので、この制限は売主が宅地建物取引業者で、買主が宅地建物取引業者以外の者である場合にのみ適用される。
手付倍返し
[読み:てつけばいがえし]
売買契約成立時に買主が売主に解約手付を交付している場合において、売主が手付の倍額を買主に償還することにより、契約を解除することを「手付倍返し」という。この手付倍返しによる契約解除では、売主は手付相当額以外の損害賠償を支払わなくてよいとされている(民法第557条第2項)。
鉄骨構造(鉄骨造)
[読み:てっこつこうぞう(てっこつぞう)]
鉄骨造、S造とも。柱と梁を「鉄骨」で作り、壁・床に「木質系パネル」「軽量気泡コンクリートパネル」「窯業系パネル」など使用した構造のこと。主要な構造を形成する鉄骨の種類により「軽量鉄骨構造」と「重量鉄骨構造」に分けることができる。
鉄骨鉄筋コンクリート構造(鉄骨鉄筋コンクリート造)
鉄筋コンクリートに、鉄骨を内臓させた建築構造。比較的小さい断面で、強い骨組を作ることができ、粘り強さもあるため、高層建築に多用されている。
デットとエクイティ(Debt・Equity)
資本調達の区分をいい、デットは、社債発行や銀行借入などにより調達する他人資本、エクイティは、新株や新株予約権付社債の発行などにより調達する株主資本という違いがある。デットによる資金調達は、返済期間や金利が定められているのに対して、エクイティは、返済期限が定められていない資金の供与であり、通常、投資先の支配権を伴う(議決権なしの株式など、その例外もある)。
テトラクロロエチレン
揮発性有機化合物の一つで、不燃性があり、脱脂洗浄力が高いため、ドライクリーニング用の溶剤としてクリーニング店でよく使用されている。比重が1.6と水より重いため、土壌中に漏れ出した場合は、長く土壌中に残留する傾向がある。土壌汚染対策法では、このテトラクロロエチレンを特定有害物質に指定し、テトラクロロエチレンによる土壌汚染を規制している。
テナント
事務所ビルや商業スペースの賃借人をいう。大型商業ビルにおいて、集客の中心となるのが「キーテナント」である。テナントの業種構成や配置、賃料の設定などは、ビルの性格を決め、その収益性を左右する。
出窓
外壁から外部に突き出した窓のこと。建築基準法では、外壁から外側に突き出した長さが50cm未満であれば、この突き出し部分は床面積から除外することとしている。このため、出窓の突き出しは50cm以下であることが多い。
デュー・デリジェンス
「適正評価手続」または「物件精査」のこと。デュー(due)は「適正な」、デリジェンス(diligence)は「努力」という意味なので、直訳すれば「適正な努力」ということである。
米国においては、不動産の売買取引を行なう際に、売主は、物件情報の詳細な開示(ディスクロージャー)を行なう義務を負う。それと同時に、買主は、買主の費用負担において物件を独自に調査する権利が与えられるのが一般的である。買主はこのような物件調査権を十分に活用し、「建物および設備の劣化状況」、「建物および設備の機能」、「健康被害(鉛を含む塗料、地下水汚染など)」、「(賃貸不動産・商業不動産の)借主の信用力や周囲のマーケット環境」等々を詳細に調査することが多い。
そしてこれらの詳細な調査の結果、物件が買主の希望に沿わないと判明した場合には、買主は売買契約手続を打ち切り、もしくは希望に沿うような是正措置を講じるように売主に要求することが可能である。このような米国の不動産売買契約手続において、買主が物件内容を詳細に調査することを「デュー・デリジェンス」と呼んでいる。
テラス
庭の一部にコンクリートやレンガ等を敷き詰め、住宅から自由に出入できるようにした場所のこと。
テラスハウス
2階建ての連棟式住宅のこと。各住戸の敷地は、各住戸が単独で所有している。
テラゾ
白セメントに大理石の粒を入れて練り、板状にし、表面を研磨することにより、大理石に似た模様を作り出したものを「テラゾ」という。大理石に似せた人造石である。大理石以外の石の粒(花崗岩など)を入れたものも「テラゾ」と呼ぶ場合がある。
テレワーク
働き方のひとつで、情報通信機器等を活用して時間や場所の制約を受けずに柔軟に働く方法をいう。事業所に出勤せずに家で作業する在宅勤務、個人が委託・請負によって作業する在宅ワークなどがあるが、情報通信技術を幅広く活用することが特徴である。テレワークにおいては、住宅が職場ともなり得る。
電気温水器
[読み:でんきおんすいき]
割安な深夜電力を利用して夜間に高温の温水を沸かし、貯湯タンクに蓄えておいて、台所・洗面台・風呂・シャワーなどへの給湯を賄う電気機器のこと。深夜電力は通常の電灯料金の約3分の1と割安であり、また電気ヒーターで加熱するので二酸化炭素が発生せず、燃焼音がなく静かに湯を沸かすことができるというメリットがある。
近年では、湯を使用すると同時に必要な量の湯を自動的に追加して沸かすタイプや、給湯圧を高めて2階でも湯の出る勢いを高めたタイプなどさまざまな製品が普及している。また配管を電気温水器本体部に内蔵し、配管工事の手間を軽減した製品が主流となっている。標準的な貯湯タンクの容量は3人家族で300L程度が目安とされている。
浴槽への給湯については、給湯のみを行なうタイプ、自動的に風呂釜への湯はりを行なうタイプ(オートタイプ)、自動湯はりだけでなく自動追いだき・自動足し湯も行なうタイプ(フルオートタイプ)という3種類がある。
なお、電気温水器の「風呂追いだき機能」については昼間電力を使用するためコストが高いなどの課題があったが、近年は深夜電力の蓄熱を利用して熱交換方式で追いだきをすることにより、低コストかつスピーディな追いだきができる製品が平成12年に開発されており、ガス給湯器に劣らない性能となっている。
電気自動車
[読み:でんきじどうしゃ]
電気モーターを動力源とする自動車。電池を車載する方式(電池式)と走行中に電力を外部から供給する方式(架線式)に二分できる。また、車載する電池への充電は外部から行なうのが一般的であるが、発電装置(太陽電池、燃料電池など)を車載する方式もある。ハイブリッドカーは、電気モーターと内燃機関を組み合わせて動力源とする自動車である。
電気自動車は、内燃機関を動力源とする自動車に比べて、エネルギー効率が高い、アイドリングなどの無駄なエネルギー消費がない、一般家庭で充電が可能でガスステーションなどが不要、などの特徴がある。一方、充電に時間が掛かる、航続距離が短い(特に重量が大きい場合に)などの短所がある。
なお、電気自動車を利用する場合には、住宅で発電した電気を家庭用蓄電池に蓄電した上で充電するなど、自動車を住宅のエネルギー管理の一環に組み込むことができる。
電子商取引
[読み:でんししょうとりひき]
インターネット上で行なわれる商取引をいう。取引の内容は、商品購入、広告宣伝、契約締結、資金決済など幅広いものがあり、取引の当事者についても、企業間(B to B、Buisiness to Buisiness)、企業対消費者(B to C、Buisiness to Cosumer)、消費者間(C to C、Consumer to Consumer)の各タイプがある。
電子商取引を活用すれば広範囲の相手と低コストで取引することができるが、ネットという媒体の特性に即して取引の安全や消費者の保護を確保するための注意や工夫が必要である。
電子署名
[読み:でんししょめい]
電磁的な記録(電子文書)について、その作成者および作成された記録が改竄されていないことを保障する仕組みをいう。電子署名がなされた電子文書は、署名押印された文書と同様に、真正に成立したものとみなされる(電子署名及び認証業務に関する法律)。
電子署名の方式はいくつかある。いずれも暗号化技術の応用であるが、一般には公開鍵暗号方式を基本とした仕組みが利用されている)。なお、電子署名において公開鍵を公開する場合に、その信頼性を確保するため、公開鍵がその持ち主のものであることを第三者が証明すること(認証業務)が有効であると考えられており、一定の要件を満たす認証業務(特定認証業務)を行なう者を認定する制度が整備されている。
転貸借
[読み:てんたいしゃく]
所有者(A)から目的物を借りた賃借人(B)が、それを第三者(転借人、(C))に使用収益させることをいう。いわゆる「また貸し」であり、賃借権の譲渡は転貸借とはいわない。
転貸借されてもAB間の賃貸借関係は残る。CはAとの契約関係はないが、Aに対して直接に賃料の支払い等の義務を負う。転貸借には、Aの承諾が必要で、これに反して転貸借がなされた場合には、AはAB間の契約を解除できるし、Cに対して目的物の引渡しを請求できる。
天地返し
[読み:てんちがえし]
汚染土壌について、土壌の直接摂取による健康被害の恐れがある場合における土壌汚染の除去等の措置の一つ。土壌汚染の除去等の措置として土壌入れ換えを行なう場合に、指定区域内において汚染されている深さまでの汚染土壌をすべて掘削し、その下の汚染されていない土壌と上下をすべて入れ換えることである。
伝統工法
[読み:でんとうこうほう]
第二次大戦以前から行なわれてきた日本古来の工法のこと。現代では、この伝統工法による木造住宅は極めて少なくなりつつある。伝統工法は、布基礎を用いないこと、筋かいではなく貫で壁の強度をつくること、柱をあらわにする「真壁(しんかべ)」を採用することなど、現代の一般的な木造住宅とは大きく異なる特徴を有している。
伝統的建造物群
[読み:でんとうてきけんぞうぶつぐん]
周囲の環境と一体をなして歴史的風致を形成している建造物群で、価値の高いものを「伝統的建造物群」という(文化財保護法第2条)。伝統的建造物群とは、具体的には城下町・宿場町・門前町などの全国各地に残る歴史的な建造物群を指している。
伝統的建造物群保存地区
[読み:でんとうてきけんぞうぶつぶんほぞんちく]
伝統的建造物群とこれと一体をなしてその価値を形成している環境を保存するために、市町村が定める地区をいう。
天板
[読み:てんばん(てんいた)]
カウンターや机、棚(箱物家具)等の最上面の板。「甲板(こういた)」ともいう。
天袋
[読み:てんぶくろ]
2つの意味がある。1.天井面に接して、もしくは近い位置に造られる戸棚のこと。押入上部や天井から吊り下げて設置されることが多い。2.押入の上部にある、小さいふすまの付けられた収納部分のこと。
転付命令
[読み:てんぷめいれい]
債務者の預金などを債権者へ直接的に移すのと同じ効果を生じる手続きのこと。債務者の財産に対する強制執行の一つである。
天窓
[読み:てんまど]
トップライトともいう。屋根に設けられる窓のこと。天井からの採光のために作られる。壁面の窓に比べて、3倍の採光効果があるとされている。また、天井近くの高い位置に設ける窓も「天窓」と呼ばれることがある。
ドーマー
屋根から突き出した切妻の小屋根付き窓のこと。ドーマーウィンドウともいう。採光と換気のために用いるが、最近は、外観上のデザインアクセントとして付けることもある。屋根面に完全にのったルーフドーマーウィンドウ、軒部分から立ち上がるウォールドーマーウィンドウがある。
等価交換方式
[読み:とうかこうかんほうしき]
土地の上にマンションなどの建物をディベロッパーが建設し、土地と建物の評価額に応じて双方が土地と建物を取得する方法をいう。地主は自己資金を必要とせず、土地の一部を提供することにより、等価の建物の一部を取得することになるのが特長。
導管体
[読み:どうかんたい]
資産(不動産)の証券化に当たってSPEが満たすべきとされる要件の一つで、資産(不動産)から得られた利益をそのまま投資家に配分するための機能をいう。
通常、法人が事業利益を得るとその利益に対して法人税が課せられるが、税を支払えば投資家に配分できる利益は減少する。そこで、事業目的を投資家に利益を配分することに限定したSPEについては、一定の要件を満たせば法人税を課さないこととされている。その要件を満たすSPEは導管体としての機能を有することになる。導管体には二つの種類がある。
一つは、その性格からそもそも法人税が非課税のもので、任意組合、匿名組合、信託(特定目的信託等は除く)がこれに相当する(パス・スルー型)。
もう一つは、法人税は課税されるが投資家に配分する利益を損金として控除できるため結果として課税されないもので、資産流動化法による特定目的会社や特定目的信託、投資信託および投資法人法による投資法人がこれに相当する(ペイ・スルー型)。この場合、配当可能所得額の90%を超える部分を配当に当てなければならないとされている。
いずれの場合も、利益を配分された投資家に対して課税されるのは当然である。
動機
[読み:どうき]
内心的効果意思(具体的にある法律効果を意欲する意思)を形成するもととなった心意のこと。例を挙げれば、品物を家族にプレゼントしようという意図が「動機」であり、その動機にもとづいて店頭で品物を買おうと意欲する意思が「内心的効果意思」である。
登記官による本人確認
[読み:とうきかんによるほんにんかくにん]
不動産登記の申請において、登記官が申請人以外の者が申請していると疑うに足るだけの相当な理由があると認められる場合に、登記官は当該申請人の権限の有無を調査しなければならない。この制度のことを「登記官による本人確認」という。
特に、新しい不動産登記法(平成17年3月7日施行)においては、従来原則的に許されなかった郵送申請を解禁したために、申請人が本当に本人であるかどうかを調査することの重要性が高まり、不動産登記法24条において登記官による本人確認の制度が設けられている。
登記完了通知
[読み:とうきかんりょうつうち]
登記を申請した者に対して、登記手続きが完了したことを知らせるために通知される通知のこと。平成17年3月7日に施行された新しい不動産登記法では、オンライン庁を指定することとした。オンライン庁では、従来の登記済証の提出・交付の制度の代わりとして、登記識別情報の提出・交付の制度を導入している。このため、オンライン庁で登記が完了した場合には、登記申請者に対しては、登記済証が交付されるのではなくて、登記識別情報が通知されるだけである。そこでオンライン庁では、登記が完了した際、登記申請者に対して「登記完了通知」を交付することとした。つまり登記完了通知が、従来の登記済証が有していた登記完了を告知するという機能を担っている。
オンライン庁で登記完了通知が行なわれる場合、申請方法がオンライン申請であれば、登記完了通知はインターネットを通じたデータ送信で通知される。また書面申請であれば、登記完了通知は、書面で通知される。なお、未指定庁では従来どおり登記済証の提出・交付の制度が継続されているので、登記完了通知は行なわれない。
登記義務者
[読み:とうきぎむしゃ]
不動産の登記により形式的に不利益を受ける者のこと。売買による所有権移転登記の場合でいえば、移転登記により不利益を受けるのは従前の所有権名義人であるので、「登記義務者」は従前の所有権名義人(すなわち売り主)である。
また、所有者が住宅ローンを完済したことにより金融機関の抵当権を抹消する登記をする場合(抵当権抹消登記)でいえば、抵当権抹消登記により不利益を受けるのは金融機関であるので、「登記義務者」は金融機関となる。
登記記録
[読み:とうききろく]
一筆の土地または一個の建物ごとに作成される登記の記録のこと。従来は紙であったため「登記用紙」と呼ばれていたが、現在はほとんどの登記所でハードディスク上のデータとなっているため、現在の不動産登記法では「登記記録」という用語が使用されている(不動産登記法第2条第5号)。
登記権利者
[読み:とうきけんりしゃ]
不動産の登記により形式的に利益を受ける者のこと。売買による所有権移転登記の場合でいえば、移転登記により利益を受けるのは新たな所有権名義人であるので、「登記権利者」は新たな所有権名義人(すなわち買い主)である。また、所有者が住宅ローンを完済したことにより金融機関の抵当権を抹消する登記をする場合(抵当権抹消登記)でいえば、抵当権抹消登記により利益を受けるのは所有者であるので、「登記権利者」は所有者となる。
登記識別情報
[読み:とうきしきべつじょうほう]
権利の登記を終えた場合に、その登記名義人が真正な権利者であることを公的に証明するために、その登記名義人に対して通知される秘密の12桁の番号のこと。従来の登記済証に代わるものである。
平成17年3月7日に施行された新しい不動産登記法では、オンライン庁を指定することとした。オンライン庁では、従来の登記済証の代わりとして、登記識別情報の提出・交付の制度を導入している。オンライン庁では、不動産登記をオンライン申請または書面申請する際には、登記申請者(登記義務者)は、自分が真正な権利者であることを証明するために、登記識別情報を添付しなければらない。また、オンライン庁で登記が完了した場合には、登記申請者に対しては、登記済証が交付されるのではなくて、登記識別情報が通知されるだけである。
登記識別情報通知書
[読み:とうきしきべつじょうほうつうちしょ]
登記完了後に、登記名義人に対して登記識別情報を通知するために交付される書面のこと。オンライン庁では、従来の登記済証に代わるものとして、登記識別情報(12桁の秘密の番号)を、登記完了時に登記名義人に交付することとなっている。オンライン庁で書面申請をする場合には、登記申請者は、この登記識別情報を「書面」の形で受け取ることとなり、この書面を「登記識別情報通知書」と呼んでいる。
登記事項証明書
[読み:とうきじこうしょうめいしょ]
一筆の土地、一個の建物ごとに記録されている登記記録の全部または一部を、登記官が公的に証明した書面のこと。従来は登記記録(登記用紙)が紙で調製されていたため、その写しを交付しており、これを登記簿謄本と呼んでいた。しかし、現在は登記事務が電子化されたため、登記記録は磁気ディスク上に調製されている。この電磁的な登記記録の記載事項を公的に証明したものが、登記事項証明書である。
登記事項要約書
[読み:とうきじこうようやくしょ]
一筆の土地、一個の建物ごとに記録されている登記記録を要約した書面のこと。従来は、登記記録(登記用紙)が紙で調製され、バインダー式の帳簿に閉じられており、これを登記所内の所定の場所で閲覧することができたが、現在では大半の登記所がコンピュータ化されたため閲覧ができない。そこで閲覧に代わるものとして、磁気ディスク上の登記記録の要約を、希望者が入手できるようにしたものが登記事項要約書である。
登記所
[読み:とうきしょ]
登記事務を担当する機関のこと。一般名称として「登記所」と呼んでいるが、正式名称は「法務局」、「地方法務局」、「支局」、「出張所」である。
登記情報交換システム
[読み:とうきじょうほうこうかんしすてむ]
法務省が平成12年以降、各地の登記所をコンピュータ・オンラインで結び、ある登記所において別の登記所の管轄する不動産登記を閲覧できるというシステムを導入した。このシステムのことを「登記情報交換システム」という。現在全国各地で順次稼動を開始している。
登記済証
[読み:とうきずみしょう]
不動産登記事務が電子化される以前は、権利登記において、登記手続きの完了後に、登記をした者(登記名義人)に対して、登記申請書の写し(副本)に登記官が「登記済」と押印したものが返還されていた。この登記名義人となった者に返還される押印された申請書副本が「登記済証」である。
しかしながら、不動産登記法が改正され(施行日は平成17(2005)年3月7日)、本人確認は登記識別情報によることとされたため、登記済証の発行制度は廃止された。ただし、制度廃止後の初回の書面申請においては、申請人は未だ登記識別情報を保有していないため、その場合には登記済証の提出によって本人確認を行うこととされている。
登記の欠缺
[読み:とうきのけんけつ]
すべき登記がされていないことをいう。登記の欠缺があると、原則として登記による法律効果を享受できない。たとえば、不動産の権利変動に関する登記が欠缺していると、その変動について第三者に対抗することができない。なお、詐欺や脅迫によって登記を妨げた第三者は登記の欠缺を主張できないとされているほか、登記の欠缺を主張することが信義則に反する場合にはその援用は認められないと解されている。
動機の錯誤
[読み:どうきのさくご]
錯誤とは、内心的効果意思と表示行為が対応せず、しかも表意者(=意思表示をした本人)がその不一致を知らないことである。従って、動機そのものが思い違いにもとづくものである場合には「錯誤」の範囲に含めることができないので表意者を保護することは本来できないはずである。しかし、実際にはこうした動機に関する思い違いが「錯誤」の問題として争われることが非常に多いため、判例ではこうした動機に関する思い違いも次の3つの要件を同時に満たすとき「錯誤」として取り扱い、表意者の保護を図っている。
1.法律行為の要素の錯誤であること
法律行為の要素とは「意思表示の内容の主要な部分であり、社会通念上この点について錯誤がなければ表意者はそのような意思表示をしなかっただろうと認められるような部分」のことである。このような重要な部分について、動機の思い違いがあれば、表意者を保護しようという趣旨である。
2.動機が明示または黙示に表示されたこと
動機が何らかの形で表示され、相手方がその動機を知ることができたことである。これにより相手方が不測の損害を受けることを回避しようとする趣旨である。
3.表意者に重大な過失がないこと
これは通常の錯誤と同じ要件である。表意者が少し注意すれば、要素に該当する動機の思い違いを回避できた場合には、その表意者は保護しないという意味である。
登記簿
[読み:とうきぼ]
登記記録が記録される帳簿のこと。従来は、登記簿とはバインダーに閉じられた登記用紙の帳簿を指していたが、新しい不動産登記法(平成17年3月7日施行)では、磁気ディスクなどをもって調製される帳簿を、登記簿と呼ぶことが原則になった。
登記簿謄本
[読み:とうきぼとうほん]
ある不動産に関する1組の登記用紙のすべての写しのこと。登記簿謄本の末尾に登記官が押印することにより、その内容が正しいことを証明している。土地の場合、登記簿謄本はその土地に関する「表題部」「権利部」(甲区・乙区)の写しである。また建物の場合、登記簿謄本はその建物に関する「表題部」「権利部」(甲区・乙区)の写しである。
登記名義人
[読み:とうきめいぎにん]
一筆の土地または一個の建物に関する登記記録において、不動産に関して所有権・賃借権・抵当権などの権利を有する者として記載されている者のことを「登記名義人」という。
東京都自然保護条例
[読み:とうきょうとしぜんほごじょうれい]
正式名称は「東京における自然の保護と回復に関する条例」。自然保護指導者の育成、里山の保護などを内容としている。特に注目を集めているのは屋上緑化の規定である。平成13年4月より改正・施行された東京都自然保護条例では、屋上緑化について次のように定めている。
1.1,000平方メートル以上の敷地面積の民有地において、建築物・駐車場等を新築・増築する者はすべて緑地化の義務を負う。
2.地上部では、原則的に空地部分の20%以上で、樹木・芝等の緑化を行なう必要がある。
3.屋上・壁面・ベランダでは、原則的に屋上の利用可能部分の20%に相当する面積以上で樹木・芝等の緑化を行なう必要がある。
4.地上部と屋上等の緑地化に関する届出を義務付けた。この届出の義務に違反した場合20万円以下の罰金を科すことができる。
登記料
[読み:とうきりょう]
一般的には、不動産の所有権などを登記する場合に、登記印紙によって納税する「登録免許税」のことを「登記料」と呼んでいる。不動産登記手続を代行する司法書士に支払う報酬と、登録免許税との合計額を「登記料」と呼ぶこともある。
動産
[読み:どうさん]
動産とは「不動産以外の物」のことである(民法第86条第2項)。そして不動産とは「土地及び定着物」とされているので、動産とは「土地及び定着物ではない物」ということができる。特に重要なのは、不動産に付属させられている動産(例えば家屋に取り付けられているエアコンなど)である。このような動産は「従物(じゅうぶつ)」に該当し、不動産実務でよく問題となる(詳しくは従物、付加一体物へ)。
倒産隔離
[読み:とうさんかくり]
資産(不動産)の証券化に当たってSPEが満たすべきとされる要件の一つで、その保有・運用する資産(不動産)を関係者の倒産等のリスクから切り離すことをいう。企業が倒産すると、債権者や管財人は倒産企業が保有する資産や株主議決権などを活用して債権回収を図るが、SPEの保有・運用する資産に対してそのような追及が及べば投資家の利益を損なうことになる。倒産隔離は、そのような追及を防いで、保有・運用資産を法的に保護する仕組みである。
投資口
[読み:とうしぐち]
不動産投資信託において、投資家が投資法人に出資する単位のこと。通常の会社における「株式」に相当する。投資法人は、投資家からの出資を集めて設立される法人であり、投資家が投資法人に出資する単位のことを「投資口」と呼んでいる。また、投資口を保有する投資家は「投資主」と呼ばれる。
投資口価格
[読み:とうしぐちかかく]
不動産投資信託における投資口が証券取引所において日々売買される価格のこと。
投資証券
[読み:とうししょうけん]
不動産投資信託における投資法人において、投資主であることを表す証券のこと。普通の株式会社でいえば「株券」に相当する。
投資不動産
[読み:とうしふどうさん]
「賃貸収益獲得を目的として、または価格の上昇を目的として保有する土地・建物」のこと。英語ではInvestment Propertyという。
塔屋
[読み:とうや]
ビルの屋上に造られた建物をいう。一般に、エレベーターの機械室、階段室、空調・給水設備室などとして利用されている。なお、塔屋を「ペントハウス」と称する場合があるが、そのときには、機械・設備室ではなく、建物の最上階に設けられた高級な居室を意味することもある。
道路位置指定
[読み:どうろいちしてい]
特定行政庁が、私道の位置を指定することを「道路位置指定」と呼んでいる(建築基準法第42条第1項第5号)。この「道路位置指定」を受けることによって、私道は「建築基準法上の道路」となることができる。従って、私道のみに接する土地で建築をしようとする際には、まず私道について「道路位置指定」を受けることが必要である。「道路位置指定」を受けるためには、その私道が建築基準法施行令第144条の4の基準を満たすことが必要である。この基準によれば、私道の幅は少なくとも4m(袋地の場合には6m)であることが必要とされている。
登録講習
[読み:とうろくこうしゅう]
宅地建物取引士資格試験では一定の講習を受けた者については、宅地建物取引士資格試験の一部免除の制度(50問中の5問の免除)が設けられている(宅地建物取引業法第16条第3項)。 この宅地建物取引業法第16条第3項に定められた一部免除を受けるために受講しなければならない講習のことを「登録講習」と呼んでいる。
登録実務講習
[読み:とうろくじつむこうしゅう]
宅地建物取引士資格試験に合格した者が宅地建物取引士の登録を申請しようとする場合には、宅地建物の取引に関して2年以上の実務経験を有する必要がある。しかし、この実務経験がなくても、登録実務講習実施機関が実施する一定の講習を受講し修了証明書を交付された場合には、登録を受けることができるとされている。この一定の講習が「登録実務講習」である。
登録住宅性能評価機関
[読み:とうろくじゅうたくせいのうひょうかきかん]
住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)にもとづき住宅性能評価の業務を行なう機関であって、国土交通大臣の登録を受けた機関のこと。住宅品質確保促進法第5条第1項では「登録住宅性能評価機関は住宅性能評価を行ない、住宅性能評価書を交付することができる」と定めている。この規定により、正式な住宅性能評価書の交付を行なうことができる機関は、登録住宅性能評価機関だけに限定されているということができる。
登録免許税
[読み:とうろくめんきょぜい]
不動産の所有権を登記する場合や、抵当権を登記する場合に、登記所で納付する国税のことである。登録免許税は一般には「登記料」などと呼ばれることも多い。
道路斜線制限
[読み:どうろしゃせんせいげん]
道路高さ制限のこと。建築基準法によれば、建物の各部分の高さは、その部分から前面道路までの距離が長いほど高くすることができる。これを道路高さ制限と呼んでいる(建築基準法56条)。中層以上の建築物で道路に面した壁の一部が、垂直でなく、斜面になっていることがあるのは、道路高さ制限を守るために、そのような形に設計したものである。
道路高さ制限
[読み:どうろたかさせいげん]
建築基準法によれば、建物の各部分の高さは、その部分から前面道路までの距離が長いほど高くすることができる。これを道路高さ制限と呼んでいる(建築基準法56条)。
通し柱
[読み:おしばしら]
2階建て以上の木造建築物で、土台から軒桁まで1本の材で通された柱のこと。一般に建物の隅部などの要所に使われる。途中で桁・胴差などで中断されている短柱は管柱という。
特殊建築物
[読み:とくしゅけんちくぶつ]
特殊な用途を持つ建築物のことで、例えば多数の人が集う建築物(映画館など)や衛生上・防火上特に規制すべき建築物 (汚物処理場など)などがこれに当たる。
特定空家等
[読み:とくていあきやとう]
空家のうち、放置することが不適切な状態にある建物(その敷地を含む)をいう。倒壊等著しく保安上危険となる恐れ、著しく衛生上有害となる恐れ、著しく景観を損なっている状態などがこれに当たる。
特定街区
[読み:とくていがいく]
都市計画において、市街地の整備改善を図るために街区の整備を行なう区域として指定された地区をいう。
特定行政庁
[読み:とくていぎょうせいちょう]
建築基準行政において、建築主事を置く市町村の区域については当該市町村の長を、その他の市町村の区域については都道府県知事をいう。
特定施設
[読み:とくていしせつ]
有害物質を排出しまたは生活環境に被害を生ずる恐れがあるような汚水等を排出する施設であって、水質汚濁防止法施行令第1条で指定された施設のこと。全部で101種類の施設が特定施設とされている。
特定承継人
[読み:とくていしょうけいにん]
他人から個別の権利を承継する者をいい、例えば売買によって所有権を取得する者などがこれに当たる。他人の権利義務を一括して継承する者(包括継承人)に対する概念である。
特定地下浸透水
[読み:とくていちかしんとうすい]
水質汚濁防止法では、有害物質や生活環境に被害を生ずる恐れがあるような汚水等を排出する施設であって、水質汚濁防止法施行令第1条で指定された101種類の施設のことを「特定施設」と定義している。こうした特定施設のうちで有害物質を使用する特定施設を含む工場・事業場から地下に浸透する水のことを「特定地下浸透水」と呼んでいる。
特定道路
[読み:とくていどうろ]
建築基準法の容積率に関する規定では、幅15m以上の道路のことを「特定道路」という。
特定都市河川浸水被害対策法
[読み:とくていとしかせんしんすいひがいたいさくほう]
都市河川の流域における浸水被害対策を定めた法律。2004(平成15)年に公布された。治水を、流域対策を含めて実施するための仕組みを定めていることが特徴である。
特定農地貸付け
[読み:とくていのうちかしつけ]
農地を農業者以外の者に貸付けることをいう。一定の要件を満たす場合に認められ、市民農園などを開設・運営する場合に活用されている。
独立基礎
[読み:どくりつきそ]
独立フーチング基礎ともいう。主要な柱の底部に、それぞれ独立したフーチングを置いた基礎である。
都市計画基準
[読み:としけいかくきじゅん]
都市計画を定める際の基準で、都市計画法に定められている。その主な内容は次の通りである。
都市計画事業
[読み:としけいかくじぎょう]
都道府県知事等の認可・承認を受けて行なわれる、都市計画施設の整備に関する事業および市街地開発事業をいう。
都市計画の決定主体
[読み:としけいかくのけっていしゅたい]
都市計画を決定するのは、都道府県又は市町村である。次の都市計画については都道府県が、それ以外の都市計画については市町村が決定することとされている。
都市計画の告示
[読み:としけいかくのこくじ]
都市計画の効力を発生させるための告示のこと。都市計画法第20条第1項の規定に基づく告示である。「都市計画決定の告示」とも呼ばれる。
都市再生整備計画事業
[読み:としさいせいせいびけいかくじぎょう]
地域の歴史・文化・自然環境等の特性を活かしたまちづくりのために実施される事業で、社会資本整備総合交付金の交付対象となるものをいう。市町村が作成した都市再生整備計画に基づいて実施される。
都市農業振興基本計画
[読み:としのうぎょうしんこうきほんけいかく]
都市農業の多様な機能を発揮するための計画。都市農業振興基本法に基づいて策定された。
土壌入換え
[読み:どじょういれかえ]
汚染土壌について、土壌の直接摂取による健康被害の恐れがある場合における土壌汚染の除去等の措置の一つ。
土壌汚染状況調査
[読み:どじょうおせんちょうさ]
土壌汚染対策法第3条および第4条によって土地所有者等に義務付けられている土壌汚染状況の調査のこと。
土壌ガス調査
[読み:どじょうがすちょうさ]
土壌汚染対策法第3条および第4条に定める「土壌汚染状況調査」の方法の一つ。
土壌含有量調査
[読み:どじょうがんゆうりょうちょうさ]
土壌汚染対策法第3条および第4条に定める「土壌汚染状況調査」の方法の一つ。
土地開発公社
[読み:とちかいはつこうしゃ]
公有地の取得、造成、管理等を行なうために、地方公共団体が出資し設立した公法人。「公有地の拡大の推進に関する法律」に基づいて設立、運営される。
土地区画整理事業
[読み:とちくかくせいりじぎょう]
市街地を面的に整備するために、土地の区画形質の変更や公共施設の整備を行なう事業の一つで、土地区画整理法に従って実施されるものをいう。
土地区画整理法
[読み:とちくかくせいりほう]
土地区画整理事業を実施するために必要な事項を定めた法律で、1954(昭和29)年に制定された。この法律制定以前は、土地区画整理事業は、旧都市計画法または特別都市計画法の規定によって実施されていた。
土地台帳付属地図
[読み:とちだいちょうふぞくちず]
登記所に備え付けられている「公図」の正式名称。
土地賃借権
[読み:とちちんしゃくけん]
土地賃貸借契約にもとづいて、土地を賃借する権利のこと。
土地の区画形質の変更
[読み:とちのくかくけいしつのへんこう]
都市計画法における開発許可の対象となる宅地造成等のこと。
土地の先買い
[読み:とちのさきがい]
土地が譲渡されるときに、当該土地について優先的に買取の協議を行なうしくみ。「公有地の拡大の推進に関する法律」に基づいて定められている。
土地利用基本計画
[読み:とちりようきほんけいかく]
都道府県が定める土地利用に関する計画。土地利用基本計画では、都市地域、農業地域、森林地域、自然公園地域、自然保全地域の5種類の地域区域が行なわれる。
土地利用審査会
[読み:とちりようしんさかい]
国土利用計画法第39条に従って都道府県に設置される有識者7名からなる委員会。
トップライト
[読み:とっぷらいと]
天窓ともいう。
都道府県立自然公園
[読み:とどうふけんりつしぜんこうえん]
都道府県は、傑出した自然の風景地(海中を含む)を「都道府県立自然公園」に指定することができる。
戸袋
[読み:とぶくろ]
雨戸を開けた際、収納するための造作物のこと。
土間
[読み:どま]
一般に屋内の玄関部分を地面のまま、あるいは粘土に漆喰を混ぜて叩き込んだ三和土(たたき)で仕上げた土足空間をいう。コンクリートやタイル貼りした床面のケースなども土間と称するようになった。
留置権
[読み:とめおきけん・りゅうちけん]
ある人が他人の物を占有していて、しかもその物に関係する債権を有しているときは、その人はその物を、債権の担保とするために、占有しつづけることができる。
ドライエリア
地下室がある建物において、建物の周囲の地面を深く掘り下げて作った「からぼり」のこと。
トラス構造
[読み:とらすこうぞう]
部材を三角形を基本としてピンで結合した構造をいう。ピン結合であるため部材を曲げる力(モーメント)が発生せず、三角形を基本とするため形が安定するという特徴がある。
トラップ
水により管路中の空気の流通を遮断することを水封というが、この水封により汚染物質の流入を阻止するための器具をトラップという。
取締規定
[読み:とりしまりきてい]
行政上の目的から、一定の行為を禁止し、または制限する規定のこと。
取次
[読み:とりつぎ]
私法上の概念で、自己の名をもって、他人のために(経済的な効果が他人に帰属するように)法律行為をなすことを引き受ける行為をいう。商行為の一つで、問屋(物品の売買を行なう)や運送取扱人(物品の運搬を行なう)はこれに該当する。また、取次契約は役務提供型契約である。
取引一任代理等
[読み:とりひきいちにんだいりとう]
宅地建物の取引の代理・媒介において、取引の判断を一任され、それにもとづき取引の代理・媒介を行なうことをいう。宅地建物取引業者が取引を代理・媒介する場合には、原則として取引案件ごとに代理・媒介契約を締結しなければならないため、取引一任代理等をなすことはできない。
取引時確認
[読み:とりひきじかくにん]
マネー・ロンダリングを防止するために、犯罪収益移転防止法に基づき、特定の事業者が取引する場合に実施が義務づけられている確認行為をいう。宅地建物取引業者も、宅地・建物の売買契約の締結またはその代理若しくは媒介をする場合には、取引時確認を実施しなければならない。
取引士証
[読み:とりひきししょう]
「宅地建物取引士証」の略称。
取引態様
[読み:とりひきたいよう]
不動産広告における宅地建物取引業者の立場(取引態様)のこと。
取引態様の明示
[読み:とりひきたいようのめいじ]
宅地建物取引業者が、取引の広告および取引の受注において、その取引態様を明示することをいう。
どろ揚地
[読み:どろあげち]
公図の上で地番が付されていない国有地であって、水路に沿って細長い形状をしているものをいう。これは本来、水路のどろを揚げておくための場所だったものである。