GLOSSARY
不動産用語集
基本的な用語から専門的な用語まで、不動産に関する用語を幅広く集めました。
不動産には、難しく分かりづらい不動産用語がたくさんあります。もちろん、スタッフが分かりやすい対応をいたしますが
不安に思ったり、どうしても意味が分からない用語があった場合は、この不動産用語辞典で解決しましょう。
サーキュレーター
室内の暖房の空気等を循環させる装置。天井などに取り付け、冷暖房と併用する。暖房時には上部に溜まりやすい暖かい空気を下方へ、冷房時には下部に溜まる冷たい空気を循環させる。すなわち、室内の空気の質・温度を均一にする道具である。
サービサー(Servicer)
金銭債権の回収・管理業務を営業する者のこと。金融機関や一般会社から、金銭債権を譲り受けたり、委託を受けて回収・管理する。債権回収会社ともいう。金銭債権の回収・管理業務を営業するためには、法務大臣の許可を受けなければならない(弁護士は、委託を受けて回収・管理に当たることのみを行なう場合には許可を要しない)。その許可を受けた会社(株式会社に限られている)がサービサーである。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
規模や設備面で高齢者が生活しやすいバリアフリーな住宅(ハード)に、介護・医療などのサービス(ソフト)が付いた住まいをいう。
サービスヤード
いわゆる裏庭、側庭、勝手庭のこと。台所と直結した庭園の一部分で、洗濯、物干し、ゴミ置き、通路等に使用される。
サービスルーム
採光が不足して居室として認められない部屋をいう。建築基準法では、居室は、住宅の場合、窓の大きさは床面積の7分の1以上なければならないとされているが、その基準を満たさない部屋を「サービスルーム」と称する。例えば、間取りが「○LDK+S」と表示されている場合の「S」がこれに当たる。「納戸」もこれと同じ意味で使われることが多い。
サーモスタット
thermoは熱、statは安定装置、反射装置の意。自動制御で室温を一定に保つ温度調節器のこと。
災害危険区域
[読み:さいがいきけんくいき]
津波、高潮、出水等による危険の著しい区域として指定された区域。地方公共団体が条例によって指定し、その区域内では、災害を防止・軽減するため、条例の定めるところにより建物の用途、地盤高・床高、構造等が規制される。建築基準法に基づく制度である。
再開発等促進区
[読み:さいかいはつとうそくしんく]
地区計画の区域の内部において定められる、市街地の再開発・開発整備を実施すべき区域。
債権
[読み:さいけん]
私法上の概念で、ある人(債権者)が、別のある人(債務者)に対して一定の給付を請求し、それを受領・保持することができる権利をいう。財産権の一つであり、物権とともにその主要部分を構成する。
債権・債務関係
[読み:さいけん・さいむかんけい]
人がある人に対して給付を要求するという関係を「債権・債務関係」という。この関係に適用される最も基本的な法律が、民法第三編「債権」(民法第399条から第724条まで)であり、一般的に債権法と呼ばれている。
債権・債務関係が発生する原因のうち、最も一般的なものは契約である。例えば土地売買契約では、買主が土地の引渡しを売主に要求するという関係が成立している。また不法行為も債権債務関係の発生原因の一つである。交通事故の被害者は加害者に対して、金銭の給付を要求するという関係が成立している。
債権差押
[読み:さいけんさしおさえ]
債務者が有する金銭債権から、債権者が満足を得る手続きのこと。債務者の財産に対する強制執行の一つである。債権差押では、債務者が保有する金銭債権が対象になる。例えば、債務者が銀行に預けている預金(預金債権)、債務者が取引先に請求できる売掛金(売掛金債権)、債務者が勤務先に請求できる給与(給与債権)など、いろいろな金銭債権が差押え可能である。
債権者代位権
[読み:さいけんしゃだいいけん]
私法上の概念で、債権者がその債権を保全するため、債務者が持つ第三者に対する権利を債務者に代わって行使する権利をいう。
債権者取消権
[読み:さいけんしゃとりけしけん]
債権者がその債権の弁済を確保するため、債務者が成した財産を減少させる行為を取り消す権利をいう。「詐害行為取消権」ともいわれる。
債権譲渡
[読み:さいけんじょうと]
契約により債権を第三者に譲り渡すことをいう。これにより、もとの債権者(A)の債務者(B)に対する債権は、そのままの内容で、債権を譲り受けた第三者(C)のBに対する債権に転換する。
再建築不可
[読み:さいけんちくふか]
建替えや増改築ができない状態であることをいう。例えば、接道義務を満たしていない敷地、既存不適格建築物はいずれも再建築不可である。宅地建物取引業務においては、不動産広告および重要事項説明書に必ず「再建築不可」である旨の記載をしなければならない。
債権の目的
[読み:さいけんのもくてき]
人がある人に対して給付を要求することができるという権利を「債権」という。この債権の対象となっている給付のことを「債権の目的」と呼んでいる。例えば、土地売買契約において買主は売主に対して土地の引渡しを要求する権利(債権)を持っているが、この場合の債権の目的は「土地を引き渡す」という給付である。
債権法
[読み:さいけんほう]
私法体系のなかで、債権債務関係を律する法体系を指す。その中心をなす法律は、民法第3編「債権」(総則、契約、事務管理、不当利得、不法行為の各章によって構成されている)であるが、民法第1編(総則)の関係部分のほか、契約や不法行為に関する多数の特別法も債権法を構成する。財産権は大きく物権と債権とに分かれるが、物権法は人が財貨を直接に支配する関係を律する法規範であるのに対して、債権法は人と人との間の給付請求・給付行為関係(不作為を含む)を律する法規範である。
採光
[読み:さいこう]
建築基準法によれば、住宅の居室においては、採光のために、窓その他の開口部を設けなければならない(建築基準法28条1項)。この住宅の採光のための開口部の面積は、居室の床面積の7分の1以上でなければならないとされている。ふすま、障子などの常時開放できるもので仕切られた2つ以上の居室は、1つの居室とみなすこととされている(建築基準法28条4項)。従って、1つの居室には必ず1つの窓が必要というわけではなく、障子で仕切られた2つの居室について1つの窓でもよいということになる。ところで、住宅の販売広告等では、窓のない部屋はこの採光の規定(建築基準法28条)を満たしていないため、「居室」と表示することはできない。その代わりに、「納戸(なんど)」「サービスルーム」などと表示することは可能とされている。
催告
[読み:さいこく]
相手に対して一定の行為を要求することをいう。催告をして相手方が応じない場合に、一定の法律効果が生じるという意味がある。大きく、債務者に対して債務の履行を請求すること、無権代理者等の行為を追認するかどうか確答を求めることの2つの場合がある。例えば、債務の履行を催告すれば、時効の中断、履行遅滞、解除権の発生などの、追認の催告は、場合に応じて、追認、取消しまたは追認の拒絶とみなされるなどの法律効果に結びつく。口頭による催告も法律上有効であるが、確実を期すためには証拠力の強い方法によるのが望ましい。
催告の抗弁権
[読み:さいこくのこうべんけん]
債権者が保証人に保証債務の履行を請求してきた場合には、保証人は「先に主債務者に対して債務の履行を催告せよ」と債権者に主張することができる。これを催告の抗弁権という(民法第452条)。例えば、AがBから100万円の借金をし、Aの友人であるCがその借金の保証人になったとしよう。このとき債権者Bが、保証人Cに対して100万円の債務を支払うように請求したとする。その際保証人Cは「まず主債務者Aに対して借金返済の督促をせよ」と債権者Bに主張できることになる。
しかしながら、単に督促をするだけでよいのであるから、債権者にとってはこの催告の抗弁権は実際上ほとんど問題とならない。ただし、保証人にはより強力な抗弁権として、検索の抗弁権が与えられている(民法第453条)。
財産刑
[読み:ざいさんけい]
刑罰のうち、犯人の財産を剥奪する刑罰のこと。「罰金」「科料」「没収」がある。罰金と科料はともに、一定額の金銭を国庫に納付させるという刑罰であり、金額の違いがあるに過ぎない。 罰金は、犯罪ごとに金額が異なるが、「1万円以上」と法定されている(刑法第15条)。科料は「1,000円以上1万円未満」である(刑法第17条)。また没収は、主刑(死刑、懲役、禁固、罰金、拘留、科料)の言い渡しに伴って、犯人の物の所有権を剥奪して国庫に帰属させる刑罰であり、犯罪によって得た財物や証拠品を没収するものである。
再生可能エネルギー
[読み:さいせいかのうえねるぎー]
短期間に再生し、あるいは消滅しない燃料源から取り出されるエネルギーをいう。そのような燃料源として、太陽光、風、流水、植物・バイオマス、地熱などがある。一般に、再生可能エネルギーは資源としての持続性に優れ、また、その発生に伴う環境への影響も小さいと考えられている。そのため、気候変動への対応や安定的なエネルギー資源の確保のために、再生可能エネルギーの開発・活用が推進されている。なお、再生エネルギーの燃料源はさまざまであるが、通常は、電力の形で取り出されている。
最多価格帯
[読み:さいたかかくたい]
複数の宅地建物が同時に販売されるときに、最も販売物件の多い価格帯をいう。価格帯は100万円刻みで設定する。宅地建物の販売広告に当たっては、原則として、1区画または1戸当たりの販売価格を表示しなければならない。しかしながら、販売物件数が10件以上ある場合で、すべての価格を示すことが難しい場合は、最低価格、最高価格および最多価格帯とその価格帯の販売物件数を示せばよいとされている。
在宅医療
[読み:ざいたくいりょう]
疾病や障害を抱えていても、自宅等の住み慣れたところで医療を受けつつ生活できる仕組み、あるいはその仕組みによって提供される医療サービスをいう。この場合には、住宅が、治療、療養の場としての役割を果たすこととなる。
在宅福祉
[読み:ざいたくふくし]
高齢者が地域社会で生活し続けること、またはそのために支援することをいう。在宅福祉のためのサービスは、地方公共団体の他、社会福祉法人、ボランティア団体等が提供している。また、地域社会の住民が会員制で支援する方法(住民参加型在宅福祉)も活用されている。在宅福祉サービスの内容は、配食、寝具類の洗濯、ホームヘルプ、緊急通報、外出支援、家族介護用品の支給、ショートステイ、車椅子移送車両の貸出など、多様である。費用については、一部を自己負担する場合が多い。また、介護保険の対象となる場合もある
サイディング
建物の外壁に使用する仕上材のこと。木材、セメント板、金属、セラミック等が用いられる。
再売買の予約
[読み:さいばいばいのよやく]
いったんAからBへ売却された物を、再びBからAへ売却することを予約すること。具体的には、ある物をAからBへ売却する時点(第1売買の時点)において、「将来その物をBからAへ売却すること(第2売買)を事前に合意する」という予約を結んでおくのである。こうすることによって第1売買の売主であるAは、将来その物を取り返すことが可能となる。
債務
[読み:さいむ]
私法上の概念で、ある人(債権者)に対して一定の給付をなすべき義務をいう。債務を負っているのが債務者である。
財務諸表
[読み:ざいむしょひょう]
企業の財務状態や経営成果およびその変化を明らかにするために作成される報告書類をいう。一般に決算書といわれているものがこれに相当し、毎会計年度ごと、あるいは半期、四半期ごとに作成、公表される。また、報告の対象とする企業の捉え方に応じて、個々の企業ごとに作成される「個別財務諸表」と、支配従属関係にある企業グループ全体について作成される「連結財務諸表」とに分けることができる。
債務不履行
[読み:さいむふりこう]
債権と債務との関係において、債務が履行されない状態のことを「債務不履行」という。例えば、売買契約において、代金を支払ったにもかかわらず、売主が物件を引き渡さないとき、売主は引渡し義務を怠っているので、売主に「債務不履行」があると言うことができる。このような債務不履行に対しては、法律(民法)により、債権者が債務者に対して損害賠償を請求することが可能とされている(民法第415条)。
債務名義
[読み:さいむめいぎ]
債務者に給付義務を強制的に履行させる手続き(強制執行)を行なう際に、その前提として必要となる公的機関が作成した文書のことを「債務名義」という。債務名義には「確定判決」「仮執行宣言付判決」「和解調書」「調停調書」「執行認諾文言付公正証書」「仮執行宣言付支払督促」がある。
在来工法
[読み:ざいらいこうほう]
木造建築物の工法の一つ。「在来工法」とは、「伝統工法」を母胎としながら、第二次大戦後の技術革新で新たに生まれた木造建築物の工法である。この「在来工法」は、「木造軸組工法」「在来軸組工法」「在来木造」「木造軸組」などのさまざまな呼び方がされるが、その内容は基本的に同じである。
サウンディング
建設技術における地盤調査の方法をいう。これによって地盤の性質(土質)を把握することができる。建築基礎の設計や基礎工事は、サウンディングの結果に基づいて行なう必要がある。サウンディングの種類には、ドリルの貫入によるスウェーデン式
下がり天井
[読み:さがりてんじょう]
パイプスペースや梁の出っ張りにより、天井より下に下がった部分(低くなっている部分)を指す。図面上では点線で表示することが多い。
詐欺
[読み:さぎ]
詐欺とは、他人を騙すことにより、その者に誤った動機を抱かせることである。いい換えれば、詐欺とは他人を動機の錯誤に陥れることであるということができる。詐欺により動機の錯誤に陥れられた者が、その錯誤にもとづいて意思表示を行なった場合には、その意思表示は取り消すことができる(民法第96条第1項)。
先取特権
[読み:さきどりとっけん]
法律で定められた特殊な債権について、債務者の財産または特定の動産・不動産から優先的に弁済を受けることのできる権利をいう。この権利は、担保物権として強い保護を受ける。例えば、雇人の最後の6ヵ月分の給料は、雇主の総財産に対して、不動産の賃貸借関係から生じた賃借人の債務は、賃借地、建物の動産、土地の果実に対して、請負人等がした不動産工事の費用や不動産売買の対価およびその利息は、その不動産に対して、それぞれ優先弁済の権利があるとされている。ただし、他の先取特権との競合関係の際の順位が法律で定められているので、注意が必要である。
詐欺における第三者保護
[読み:さぎにおけるだいさんしゃほご]
欺による意思表示は、本人が取り消すことができる(民法第96条第1項)。例えば、AがBの詐欺により土地の売却を行ない、土地を取得したBがその土地をCに転売した場合には、AB間の土地売買は詐欺を理由として取り消すことが可能である。しかし、Aが土地売買を取り消した場合、その売買は初めから無効であったものとして扱われる(民法第121条本文)ので、Cは権利のないBから土地を購入したこととなり、CはAに対して土地を返還する義務を負うこととなってしまう。
詐欺による意思表示
[読み:さぎによるいしひょうじ]
詐欺とは、他人を騙すことにより、その者に誤った動機を抱かせることである。いい換えれば、詐欺とは他人を動機の錯誤に陥れることであるということができる。詐欺により動機の錯誤に陥れられた者が、その錯誤にもとづいて意思表示を行なった場合には、その意思表示は取り消すことができる(民法第96条第1項)。
先物(先物取引)
[読み:さきもの(さきものとりひき)]
将来の一定時期に現実の受渡しをする条件のもとで売買し、受渡しまでの間に反対売買(転売または買い戻し)をしたときには差金の授受で決済することができる取引が「先物取引」であり、そのような取引の対象となる商品等を「先物」という。反意語は「現物取引」「現物」。
[読み:さくご]
錯誤とは、内心的効果意思と表示行為が対応せず、しかも表意者(=意思表示をした本人)がその不一致を知らないことである。錯誤は本来、内心的効果意思を欠く意思表示であるため、錯誤にもとづいて法律行為を行なった本人を保護し、錯誤にもとづく法律行為を無効とするのが原則である。しかし、それでは表意者の意思表示を信頼した相手方の保護に欠ける結果となるので問題である。そこで、民法第95条では次の方法により表意者保護と相手方保護の調整を図っている。
錯誤における第三者保護
[読み:さくごにおけるだいさんしゃほご]
錯誤により法律行為が無効とされた場合、それにより不測の損害を被る善意の(錯誤があったことを知らない)第三者を保護する規定は民法には存在しない。例えばAに錯誤があり、AB間で土地の売買が成立し、Bが土地を善意のCに転売したというケースでは、Aが錯誤を主張すれば、AB間の売買が無効となるので、Cは無権利者から土地を購入したこととなり、Cは土地を返還しなければならない。しかし、これでは取引の安全を著しく害する結果となる。
そこで、民法学の有力説では民法第96条第3項を類推適用して、善意の第三者(上記の例ではC)を保護することを主張している。民法第96条第3項は詐欺により表意者が法律行為を取り消した場合であっても、善意の第三者に対してはその取消しの効果を主張できないとする規定である。
差押
[読み:さしおさえ]
競売(または公売)の前提として、あらかじめ債務者の財産の売却等を禁止するような裁判所の命令のこと。仮差押が、債務者の財産を一時的に凍結する命令であるのに対して、差押は競売(または公売)の手続きが開始すると同時に行なわれるものである。
差押の登記
[読み:さしおさえのとうき]
不動産に対する差押が行なわれた際に、不動産登記簿に記載される登記のこと。競売または公売の手続きが正式に開始されたことを公示する登記である。
指値
[読み:さしね]
売買の注文を委託する場合に指定する取引希望価格、または価格の範囲をいう。取引所での売買、委託販売など、客の注文を受託して取引する場合に用いられる。指値は拘束価格の指示であり、委託者は指値に従わない売買についてその結果の引受けを否認できる。不動産売買の仲介は売買受託ではないため、客が示す希望価格は指値ではない。一方、代理等による取引における希望価格は、一般的に指値に当たる。
雑種地
[読み:ざっしゅち]
不動産登記における地目の一つ。地目は、土地の表示に関する登記の登記事項で、法務省令で定められた土地の用途に即して指定されるが、雑種地は、田、畑、宅地、山林、原野など法務省令で特定された他の22種類の用途のいずれにも該当しない土地をいう。露天の駐車場、資材置き場などがこれに当たる。地目の変更は申請によって行なう。また、地目は筆を単位として主な用途によって定められるため、例えば一筆の土地が住宅の敷地と駐車場に使われていれば、その土地の地目は通常は宅地とされる。
サブプライムローン
アメリカで実施されているローンのうち、比較的信用力の低い人に対する住宅ローンをいう。
通常の住宅ローンに較べて、貸出しの審査基準は緩いが、金利は高いことが多い。アメリカの住宅ローンの約15%はこれに該当するといわれている。このようなローンが成り立つ背景には、ローンの担保となる住宅の価格上昇が期待できるからであるとされる。そして、住宅価格の上昇を見込んで、ローンの多くは、借入当初は金利を低めに設定し、一定期間後に金利を上げるような仕組みを採用している。
従って、住宅価格が上昇しない場合には、ローンの返済が困難となり、不良債権化する恐れがある。そして、2007年夏に、その恐れが実際に顕在化したのである。
さらには、アメリカでは、住宅ローン債権の大部分は証券化され、金融商品として市場で取引されている。サブプライムローンが不良債権化する恐れが強くなれば、それを証券化し、組み入れた金融商品のリスクが高まり、価格は下落する。そしてその下落が、ほかの金融商品の取引価格や評価にも波及し、市場全体のリスクを高め、金融機関等が保有する債権や金融商品の価値を毀損するなどの影響を惹起する。
サブリース
賃借人が第三者にさらに賃貸することであるが、特に、住宅の管理を手がける事業者が賃貸住宅の所有者から住宅を一括して賃借し、それを入居者にさらに賃貸するという賃貸住宅経営の方法をいうことが多い。この場合、一括して賃借する事業者を、サブリース事業者という。
賃貸住宅の所有者は、賃借人の募集、家賃の設定や改定、住宅の管理などの業務に責任を負うことなく賃貸料を得ることができるが、サブリース事業者とのリスク分担や空室の取扱いなどについて明確にしておく必要がある。
サムターン
扉を閉めた状態で、指でつまんで回すと施錠される捻り金具。外側からは鍵を用いないと開け閉めできないが、室内側からはサムターンを回せば戸締まりができる。
さや管ヘッダー工法
[読み:さやかんへっだーこうほう]
給水・給湯設備の施工方法の一つ。ヘッダーと呼ばれる分岐管を、あらかじめコンクリートスラブや梁などにさや(鞘)管として埋め込み、給水・給湯による腐食、不安定な水圧、施工の煩雑さ、メンテナンスの困難さを解消する工法・システム。
更地
[読み:さらち]
建物等が存在しない土地のこと。
3階建て建築物の技術的基準
[読み:さんかいだてけんちくぶつのぎじゅつきじゅん]
準防火地域は、火災を防止するために比較的厳しい建築制限が行なわれる地域である(建築基準法第62条)。この準防火地域では、地上3階建ての建築物であって、延べ面積が500平方メートル以下のものを建築するときには、その建築物は少なくとも「3階建て建築物の技術的基準」に適合する建築物としなければならない(建築基準法第62条第1項)。
この「3階建て建築物の技術的基準」は建築基準法施行令第136条の2に規定されている。この基準によれば、地上3階建て建築物の外壁と軒裏は必ず防火構造とし、屋根は不燃材料でふき、外壁の開口部に防火戸を付ける必要がある。また、木造の柱・梁は一定以上の太さとするか、または石膏ボードなどで覆うことが必要となっている。
従って、この基準に適合した地上3階建て建築物は、準耐火建築物そのものではないが、準耐火建築物に近い準耐火性能を有しているということができる。
35条書面
[読み:さんじゅうごじょうしょめん]
「重要事項説明書」と同じ。それを参照。なお、重要事項説明に当たって35条書面を交付するのは宅地建物取引士である。一方、37条書面は宅地建物取引業者が交付する。
37条書面
[読み:さんじゅうななじょうしょめん]
宅地建物取引業者が不動産取引に関与して契約が成立した場合に、当該業者が取引当事者に交付しなければならない書面。この書面の交付は、宅地建物取引業法第37条の規定に基づく義務である。交付する書面には、代金または借賃の額、その支払方法、引き渡しの時期など法律に定める主要な契約内容(売買・交換の場合と賃貸借の場合とで異なる)を記載するとともに、宅地建物取引士が記名押印しなければならない。なおこの書面の交付は、契約書(宅地建物取引士の記名押印があるもの)の交付によって満たすことができる。
36答申(都市河川に関する~)
[読み:さんじゅうろくとうしん(としかせんにかんする~)]
都市河川を下水道幹線(暗渠)として利用する旨の答申。1961(昭和36)年、東京都市計画河川下水道調査特別部会が報告した。この答申には、市街地における河川汚濁の現況に対応するとともに、下水道整備を促進するために、源頭水源を有しない東京都内の14河川について、次の方針で対応すべきと述べている。
3,000万円特別控除
[読み:さんぜんまんえんとくべつこうじょ]
譲渡所得の課税において、譲渡益から3,000万円を控除して課税する制度をいう。例えば、個人が居住用財産(自ら居住している土地・建物)を他に譲渡した場合にはこれが適用される。なお、譲渡所得の控除額は、原則として50万円とされている。
残地補償
[読み:ざんちほしょう]
同一の土地所有者に属する一団の土地の一部を収用し、または使用することによって、残地の価格が減少、その他残地に関して損失が生ずるときは、起業者はその損失補償を行なわなければならない。これを「残地補償」という(土地収用法第74条)。
サンルーム
日光を室内に多量に取り込めるよう工夫した部屋をいう。屋根や壁をガラス張りにしたり、大きな窓を設けることが多い。
シーリング
建物の継ぎ目や隙間を埋める工事をいう。これによって、継ぎ目や隙間からの雨水の侵入を防ぎ、構造物が振動し変位した際の伸縮性を確保することができる。建物の大規模修繕に当たっては、一般的にシーリングをやり直す。シーリングに使う充填材は、充填後に硬化し、防水性、伸縮性を発揮する必要があるが、成分の違いによって多くの種類がある。
シーリングファン(天井扇)
天井に取り付ける回転羽根をいう。室内の空気を循環させて、上下の温度差を少なくする機能を発揮する。天井扇ともいわれる。風量を調節したり、羽根の回転にゆらぎを加えたりできるものもある。また、実用性だけでなく、室内装飾としての効果もあるとされる。
地上げ
[読み:じあげ]
事業用地を確保するために、不動産会社が土地などを購入することをいう。自らの事業のための購入のほか、依頼を受けて土地等を買収することも含まれる。買収を依頼されたときの方法には自ら買収した後依頼者に転売する場合と、依頼者の買収を媒介する場合とがある。地上げの目的は土地を事業の用に供することであり、そのために必要となる、地上権の解消、家屋の撤去、借家人の立ち退きの実現などもその業務に含まれる。また、権利関係が複雑な市街地の開発などにあたっては、その調整等のため専門的な能力が要請されることもある。
公共事業のための用地買収も地上げと類似するところがあるが、買収価格は用地補償基準従って決められた価格でなければならず、最終的には土地収用に至ることなど、その性質は異なる。
シェアハウス
複数の居住者・家族が一定の生活空間を共用する住宅をいう。一般に、台所、浴室、居間などを共用し、居住者同士のコミュニケーションが生まれることとなる。賃貸住宅として供給されているが、居住スタイルの選択肢の拡大に応える住宅形態のひとつである。
ジェットバス
浴槽の中の穴から気泡を含んだ湯を勢いよく噴出し、マッサージ効果を発揮する風呂のこと。
市街化区域
[読み:しがいかくいき]
都市計画によって定められた、すでに市街地を形成している区域およびおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域をいう。一定の都市計画区域について、都道府県知事が区域区分を決定することによって定まる。市街化区域内では、必ず用途地域が指定されている。
市街化調整区域
[読み:しがいかちょうせいくいき]
都市計画によって定められた、市街化を抑制すべき区域をいう。一定の都市計画区域について、都道府県知事が区域区分を決定することによって定まる。市街化調整区域内で土地の区画形質の変更をする場合には、原則として許可を要する(開発許可)。そして開発許可に当たっては特別な事情にある場合を除いて住宅のための宅地造成等は許可されないなど、市街化調整区域内での開発・建築行為を抑制する規制が適用される。
市街地開発事業
[読み:しがいちかいはつじぎょう]
市街地を開発または整備する事業のこと。
市街地開発事業等予定区域
[読み:しがいちかいはつじぎょうとうよていくいき]
市街地開発事業や都市施設に関する都市計画が将来的に策定されることが予定されている区域のこと。
市街地開発事業等予定区域の区域内の制限
[読み:しがいちかいはつじぎょうとうよていくいきのくいきないのせいげん]
都市計画の告示があった日から、市街地開発事業等予定区域において適用される制限のこと。なお、「施行予定者」が定められている都市施設、「施行予定者」が定められている市街地開発事業についても同一の制限が適用される。
市街地開発事業の施行区域内の制限
[読み:しがいちかいはつじぎょうのせこうくいきないのせいげん]
都市計画の告示があった日から、都市計画で定められた市街地開発事業の施行区域(※1)において適用される建築制限のこと。
市街地再開発事業
[読み:しがいちさいかいはつじぎょう]
都市計画で定められた市街地開発事業の一つで、市街地の合理的で高度な利用と都市機能の更新を目的として実施される事業をいう。
既成市街地において、細分化されていた敷地の統合・共同化、共同建築物の建設、公共施設の整備などを行なうことにより、都市空間の高度な利用を実現する役割を担う。事業の方法は、第一種市街地再開発事業と第二種市街地再開発事業の2つがある。
第一種市街地再開発事業は、従前の権利を、原則として事業により新たに建設された共同建築物に対する相応の権利に変換する方法(権利変換方式)で行なわれる。このようにして与えられた建物に対する権利を「権利床」という。一方、第二種市街地再開発事業は、第一種市街地再開発事業よりも緊急性が大きいと認められる場合に実施される。施行区域内の土地・建物等を事業施行者がいったんすべて買収し(最終的には収用できる)、買収によって権利を失う者は、希望により、事業によって新たに建設される建物に対する相応の権利を得る方法(管理処分方式)で行なわれる。
いずれの方法によっても、既成市街地における輻輳(ふくそう)したさまざまな権利を建物に対する権利へと変えるという権利調整が必要となる。また、事業に要する資金は、原則として新たに建設する建物の処分によって賄うことになる。なお、事業の仕組みは、「都市再開発法」に規定されている。
資格証明書
[読み:しかくしょうめいしょ] 会社の代表取締役などが商業登記簿に登記されていることを、登記所が証明する書面のこと。正式名称は「登記事項に変更及びある事項の登記がないことの証明書」という。
地形
[読み:じがた]
土地の平面的な形状をいうが、傾斜、起伏などの状態を含めていうのが普通である。「じぎょう」と呼ばれることもある。平坦で正方形に近ければ「整形」、いびつな形であれば「不整形」であるとされ、同じ面積でも価格が異なる。
直床工法
[読み:じかゆかこうほう]
鉄筋コンクリートの床スラブにカーペットやフローリングを直張りすること。歩行性や遮音性向上、また転倒時の安全性確保のために、クッション性のある材料を採用した方がよい。床面が均一であることが絶対条件であることはいうまでもないが、フロア全体を均一に仕上げる(バリアフリー)ためには、スラブと床の間に収蔵する配管類のスペース分スラブを下げることも必要となる。
敷居
[読み:しきい]
開口部の下部に設けられる水平材。門の内外を仕切ったり、部屋を区切るために敷く横材で、同時に建具を受ける役目もする。建具の受け方は、戸の開閉形式によって異なり、レールを上に設けたり、溝を彫る等の手法がある。略して「敷き」とも。
敷金
[読み:しききん]
建物の賃貸借契約を新規に締結する際に、借主から貸主に対して、次のような目的のために預けられる金銭。1.賃料の不払い・未払いに対する担保、2.契約により借主が負担すべき修繕費用や原状回復費用の前払い、将来契約が終了した場合には、上記1.や2.の金額を控除した残額が、借主に対して退去後に返還される。なお、関西等では「敷引」の慣行がある。
敷地
[読み:しきち]
建築物のある土地のことを「敷地」という。なお、同一の敷地の上に2つの建築物がある場合には、建築基準法では、2つの建築物が用途上分けられないときは、同一敷地にあるものとみなすことになっている(建築基準法施行令1条)。例えば、ある人の所有地の上に「住宅」と「物置」が別々に建っている場合は、この2つは用途上不可分であるので、別々の敷地上に建てたと主張することはできない、ということである。
敷地延長
[読み:しきちえんちょう]
ある土地が、狭い通路を通じて道路に出ることができるような形状になっているとき、その通路の部分を「敷地延長」と呼ぶ。また、こうした狭い通路を持つ土地全体のことを「敷地延長」と呼ぶこともある。一方、その形状が旗に竿を付けた形に似ていることから、こうした土地のことを「旗竿地」と呼ぶこともある。
敷地権
[読み:しきちけん]
一棟の区分所有建物の敷地に関する権利をいい、登記によって確定する。分譲マンションなどの区分所有建物を所有するには、建物自体の所有権(区分所有権)と建物の敷地を利用する権利(所有権や借地権であり、敷地利用権といわれる)とを必要とするが、この区分所有権と敷地利用権は原則として分離して処分できないとされており、そのような分離不能な敷地利用権として登記された権利が敷地権である。
敷地権が登記されれば、建物の専用部分の権利変動等の登記に当たっては、敷地利用権に関する登記は省略される。両方の権利が一体化されている効果であり、区分所有建物の取引に伴う手続きが簡略なものとなる。
敷地権である旨の登記
[読み:きちけんであるむねのとうき]
一棟の建物を区分した各部分のことを、不動産登記法では区分建物と呼ぶ。また、区分建物がその敷地を利用するための法律上の権利(例えば所有権の共有持分)のことを、敷地利用権と呼ぶ。
区分建物と敷地利用権は、別々に処分することが可能であるとすると、権利関係がいたずらに錯綜する可能性があるので、法律(建物の区分所有等に関する法律第22条)では、区分建物と敷地利用権を常に一体で処分することを原則的に義務付けている。
そこで不動産登記法では、区分建物の敷地である土地については、「敷地権である旨の登記」という特殊な登記を記載することとしている。土地の登記記録において、「敷地権である旨の登記」がなされて以降は、区分建物と敷地利用権が常に一体で処分されることを明確にしている。
敷地権の表示の登記
[読み:しきちけんのひょうじのとうき]
不動産登記法では、区分建物の敷地である土地には、「敷地権である旨の登記」という特殊な登記を記載することとしている。この「敷地権である旨の登記」がなされるとき、その敷地上に存在する区分建物(および区分建物が属する一棟の建物)について、次の事項が表示される。これを「敷地権の表示の登記」という。
敷地面積の制限
[読み:しきちのめんせきのせいげん]
第一種・第二種低層住居専用地域では、建築物の敷地面積を一定以上としなければならない場合がある。この「敷地面積の制限」は都市計画で 規定される。
敷地面積
[読み:しきちめんせき]
敷地の水平投影面積のこと。従って、傾斜地・崖地等では敷地面積はあくまで水平面に投影して測定した面積である。また、いわゆる2項道路に接している土地では、土地の一部を「敷地面積」に算入することができない。従って、2項道路に面した土地では、建築物を建てる際には、見た目よりも敷地が狭いものとして取り扱われることになるので注意したい。
敷地利用権
[読み:しきちりようけん]
分譲マンションのような区分所有建物において、区分所有者が持っている土地に関する権利のことを「敷地利用権」という(区分所有法第2条)。区分所有建物では、その敷地は区分所有者全員の共有とされている。従って、敷地利用権とは、区分所有者が持っている「土地の共有持分」といい換えることができる。
敷地利用権と専有部分の一体化
[読み:しきちりようけんとせんゆうぶぶんのいったいか]
分譲マンションなどの区分所有建物において、区分所有者が土地に関する権利と建物に関する権利を切り離して売却すること等が禁止されていることを指す。
敷引
[読み:しきびき]
借主から貸主に対して交付された敷金のうち、契約時点で一定の部分を借主に返還しないことを特約する慣行がある場合の、この返還しない部分をいう。関西地方の慣行であるとされる。
事業継続計画(BCP)
[読み:じぎょうけいぞくけいかく(びーしーぴー)]
事業組織が脅威にさらされた場合に、その影響を予防・軽減し、事態の回復を図るための計画をいう。危機管理手法の一つで、BCP(Business Continuity Planning)と略称される。想定する脅威としては、震災、水害などのほか、情報通信網の故障、取引先の事故・喪失、破壊的攻撃なども含まれる。
事業税
[読み:じぎょうぜい]
地方税の一つで、法人の行なう事業および個人の行なう一定の事業に対して課税するものをいう。課税対象事業とその税率は地方税法によって定められており、個人が営む事業については、3種類に分けられている。例えば個人が事業として不動産を貸すと不動産貸付業を営むこととなり、その収入に対して事業税が課せられる。
事業認定の告示
[読み:じぎょうにんていのこくじ]
収用手続が公益上必要やむを得ないものであることを大臣・知事が認定する手続を「事業認定」という(土地収用法第16条)。事業認定庁は、事業認定をしたときは、遅滞なく収用者(起業者)に文書で通知し、官報(知事の場合は知事が定める方法)で告示する。このような告示を「事業認定の告示」という(土地収用法第26条)。この事業認定の告示があった日を起点として、法律上さまざまな効力が発生するとされている。
事業認定の手続
[読み:じぎょうにんていのてつづき]
収用手続が公益上必要やむを得ないものであることを大臣・知事が認定する手続を「事業認定」という(土地収用法第16条)。この事業認定にあたっては、認定を行なう大臣または知事(事業認定庁)は、さまざまな機関や利害関係人から意見を聴取すること等の手続を行なう必要がある。
事業用定期借地権(事業用借地権)
[読み:じぎょうようていきしゃくちけん(じぎょうようしゃくちけん)]
定期借地権の一つで、専ら事業の用に供する建物の所有を目的とするものをいう。当初、契約期間が10年以上20年以下とされていたが、借地借家法の改正により、2008年1月1日以降は、10年以上50年未満に改められた。
事業用不動産
[読み:じぎょうようふどうさん]
収益を得ることを目的に所有・利用される不動産をいう。店舗、事務所ビルなど事業のための設備として利用される不動産のほか、投資の対象とされるマンションなどもこれに該当する。一方、自己居住のために所有される住宅等は事業用不動産ではない。事業用不動産の価格や賃料は、原理的には、得られるであろう収益に基づいて市場競争によって形成される。一方、自己居住用不動産等についてはそのようなメカニズムが働きにくい。また、事業用不動産については収益最大化を目指して利用形態や管理手法が競争的に変化する傾向があるのに対して、自己居住用不動産等については安定性が強い。さらには、事業用不動産のうち居住用途のものは住生活の基盤としての性格があるため、市場において区分して取り扱う必要がある。
事業予定地内の制限
[読み:じぎょうよていちないのせいげん]
知事の指定等により定められた事業予定地において適用される制限のこと。
軸組
[読み:じくぐみ]
垂直材(柱)と水平材(梁など)を組み合わせたもの。木造の建築物の「骨組」のことである。
仕口
[読み:しぐち]
水平材・垂直材・斜材をさまざまに組み合わせて使用するとき、それらの材同士の接合部を「仕口」という。「仕口」は軸組全体の強度を大きく左右するものであるので、一般に金物で補強することとされている。
時効
[読み:じこう]
ある事実状態が一定期間継続した場合に、そのことを尊重して、その事実状態に即した法律関係を確定するという制度を「時効」という。時効は「取得時効」と「消滅時効」に分かれる。取得時効は所有権、賃借権その他の権利を取得する制度であり、消滅時効は債権、用益物権、担保物件が消滅するという制度である。
時効は時間の経過により完成するものであるが、当事者が時効の完成により利益を受ける旨を主張すること(これを援用という)によって初めて、時効の効果が発生する。また、時効の利益(時効の完成によって当事者が受ける利益)は、時効が完成した後で放棄することができる。これを時効利益の放棄という。また時効は、時効の完成によって不利益を受ける者が一定の行為を行なうことにより、時効の完成を妨げることができる。これを時効の中断という。
時効完成後の債務の承認
[読み:じこうかんせいごのさいむのしょうにん]
債務が消滅時効により消滅した後に、債務者が、消滅時効が完成したことを知らないまま、債務の存在を承認することを「時効完成後の債務の承認」という。
時効の援用
[読み:じこうのえんよう]
時効の援用とは、時効の完成によって利益を受ける者が、時効の完成を主張することである。時効の援用とは、時効の効果を確定的に発生させる意思表示であるということもできる。当事者が時効を援用しない限り、時効の効果は発生しないものとされている(民法第145条)。時効の援用は、裁判において主張することもできるが、裁判外で主張することもできる。なお、時効の援用は「相対効」とされており、援用した者だけが時効の完成を主張することができ、援用しない者についてまで時効が完成するわけではない。時効の援用をすることができる者の範囲は、「時効の完成により直接的に利益を受ける者」に限定されている(判例)。ただし「直接的に利益を受ける者」の範囲は、判例上次第に緩やかに解釈されるようになってきており、また判例も多数あるので注意したい。
時効の中断
[読み:じこうのちゅうだん]
時効とは、ある事実状態が一定期間継続した場合に、その事実状態を尊重して、その事実状態に即した法律関係を確定するという法制度である。 この事実状態が継続する必要があるとされる一定の期間を「時効期間」といい、時効の種類により時効期間が設けられている(例えば所有権の短期取得時効の時効期間は10年、所有権の長期取得時効の時効期間は20年、普通の金銭債権の消滅時効の時効期間は10年である)。
このような時効期間が進行している途中において、それまで継続してきた事実状態を妨げるような事実や行為が発生した場合には、もはや事実状態の継続が失われたことになるので、それまで進行してきた時効期間はすべて効力を失うことになる。このように、一定の事実や行為によって、それまで進行してきた時効期間が効力を失うことを「時効の中断」と呼んでいる(時効の進行が「ふりだしに戻る」ということである)。なお、時効を中断させるような事実や行為は「時効の中断事由」と呼ばれている。
時効の中断事由
[読み:じこうのちゅうだんじゆう]
それまで進行してきた時効期間の効力を失わせるような事実や行為のことを「時効の中断事由」と呼ぶ。時効の中断事由が発生することにより、時効の中断が生じ、時効の進行はふりだしに戻る。このような時効の中断事由には次の3種類がある。
時効利益の放棄
[読み:じこうりえきのほうき]
時効の完成によって利益を受ける者が、時効の完成による利益を放棄することである。時効利益の放棄は、時効が完成する前に放棄することができない(民法第146条)。これは特に、債権の消滅時効において、債権者が債務者の窮状に乗じて、債務者に時効利益の放棄を事前に強いることを防止するための規定である。 ただし、時効完成後に放棄することは自由である。なお、時効利益の放棄と類似した問題として「時効完成後の債務の承認」がある。
自己の財産におけるのと同一の注意義務
[読み:じこのざいさんにおけるのとどういつのちゅういぎむ]
善管注意義務よりも軽い注意義務のこと。民法では、一定の場合に「取引上、一般的・客観的に要求される程度の注意義務」を取引関係者に要求しており、この注意義務を「善管注意義務」という。
自己の所有に属しない宅地又は建物の売買契約締結の制限
[読み:じこのしょゆうにぞくしないたくちまたはたてもののばいばいけいやくていけつのせいげん]
宅地建物取引業者が、他人物や未完成物件を売ることを原則的に禁止するという規制のこと。これは、一般消費者を保護するための措置である(宅地建物取引業法第33条の2)。
事故物件
[読み:じこぶっけん]
権利について争いがあったり、浸水、自殺、倒産などの事故の場所となったりした宅地建物をいう。取引価格は、事情を反映して低くなることが多い。
資産運用型(不動産の証券化における)
[読み:しさんうんようがた(ふどうさんのしょうけんかにおける)]
不動産の証券化における類型の一つで、複数の不動産を売買・運用して、その利益を投資家に配分する仕組みをいう。金融商品を開発して投資家に販売することを主な目的とした不動産の証券化に用いられることが多く、JREITも資産運用型の仕組みを活用している。不動産の運用収益を高めることに焦点がある。
資産担保金融
[読み:しさんたんぽきんゆう]
資金調達の方法の一つで、特定の資産の価値や収益力を裏付けに資金を調達することをいう。不動産や債権などの資産をもとの所有者から分離し、その資産から生じるキャッシュフローを原資として証券を発行する方法が主流であり、その発行される証券はABS(Asset Backed Security、資産担保証券)といわれる。これによって、もとの所有者は、責任が遡及しない形(ノンリコース)で資金を調達することができる。
資産の流動化に関する法律(資産流動化法)
[読み:しさんのりゅうどうかにかんするほうりつ(しさんりゅうどうかほう]
特定目的会社または特定目的信託を用いて資産を流動化するための仕組みを定めた法律(平成10(1998)年6月公布)。SPC法ともいわれる。特定目的会社(SPC)や特定目的信託が、不動産などの資産を保有・運用し、その収益を裏付けとして証券や信託受益権を発行する(これにより資産が流動化される)場合の手続きやルールを決めている。
資産流動化型(不動産の証券化における)
[読み:しさんりゅうどうかがた(ふどうさんのしょうけんかにおける)]
不動産の証券化における類型の一つで、特定の不動産を流動化して資金を調達することを主な目的とした仕組みをいう。保有する資産を特定目的会社に譲渡し、または特定目的信託に供して、その資産を裏付けとした証券等を発行することによって資産を資金化する手法である。これに対して、不動産を売買・運用してその利益を投資家に配分することを主な目的とする仕組みを「資産運用型」という。
指示(宅地建物取引業法による指示)
[読み:しじ(たくちたてものとりひきぎょうほうによるしじ)]
監督処分の一つで、宅地建物取引業者や宅地建物取引士に対して、一定の作為または不作為(ある行為をすること、または行為をしてはならないこと)を命令することをいう。指導と異なり、法的な強制力を伴い、指示に違反すると、罰則が課せられることがあるほか、原則的に、営業停止、免許取消などの新たな監督処分を受けることとなる。
事情変更の原則
[読み:じじょうへんこうのげんそく]
私法上の概念で、契約の内容は、社会的事情の変化があればそれに応じて変更されなければならないという原則のこと。明文の規定はないが、契約締結後、急激なインフレなどの契約当時まったく予見できなかった社会的事情の変動があり、それが当事者にとって重大である場合には、「信義誠実の原則」を適用して、当事者に契約の解除、または契約内容の改定を請求することを認めようという考え方である。
地震保険
[読み:じしんほけん]
地震による被災損失に対して補償する損害保険。火災保険契約等に付帯する形で付保され、「地震保険に関する法律」によって保険会社等が負う地震保険責任を政府が再保険している。
保険の対象は住宅および生活用動産に限られ、保険事故は地震・噴火・津波を原因とする火災・損壊・埋没・流出による全損・半損・一部損である。保険補償の範囲は、主契約の保険金額の30~50%の範囲内で、建物5,000万円、家財1,000万円を上限とする。保険料は、建物の構造と所在地に応じて決定される。建物の構造は木造と非木造に区分され、所在地は都道府県別に区分されている。
システムキッチン
[読み:しすてむきっちん]
調理のための設備・器具を一体化した台所をいう。調理台、流し台、コンロ、収納スペースなどの部材を組み合わせたうえで、天板をのせることによって全体が一つにまとめられている。これによってデザインの統合や空間の有効利用を図ることができるとされる。なお、システムキッチンという言葉は、和製英語である。
史跡
[読み:しせき]
記念物であって「貝塚・古墳・都城跡・城跡・旧宅等の遺跡で、わが国にとって歴史上・学術上価値の高いもの」に該当し、文部科学大臣が官報に告示することによって指定したものを「史跡」という(文化財保護法第109条)。史跡等に関して、その現状を変更し、またはその保存に影響を及ぼすような行為をしようとするものは文化庁長官の許可を受けなければならない(文化財保護法第125条)。ただし、現状変更については維持の措置・非常災害のために必要な応急措置については許可を要しない。また、保存に影響を及ぼすような行為については影響が軽微であるときは許可を要しない。
自然環境保全地域
[読み:しぜんかんきょうほぜんちいき]
環境大臣が指定する、自然環境を保全する必要性が特に高い地域(自然環境保全法第22条)。なお、「自然環境保全地域」は自然公園の区域を含まない。「自然環境保全地域」に指定されると、建築物の建築、工作物の建築、宅地造成、海底の形状変更、土石採取、特別地区内の河川湖沼の水位・水量に影響を及ぼすような行為をする場合には、30日以上前に環境大臣へ届出をすることが必要となる(自然環境保全法第28条)。
また「自然環境保全地域」の中に特別地区が設けられることがある。この「特別地区」では建築物の建築、工作物の建築、宅地造成、海底の形状変更、土石採取、大臣の指定する湖沼・湿原の周囲1km以内で排水設備を設けての汚水や廃水の排出、大臣の指定する原野山林等での車・馬・動力船の使用と航空機の着陸などについては環境大臣の許可が必要である(自然環境保全法第25条)。
自然人
[読み:しぜんじん]
私法上の概念で、権利義務の主体となる個人のこと。法人に対する用語である。すべての自然人は、出生によって権利義務の主体となるとされる。
自然堤防
[読み:しぜんていぼう]
河川の氾濫によって形成された微高地。水はけが良く、古い集落が立地し、畑に利用されていることが多い。自然堤防の表層部は周辺に比べて地盤が良好であるが、土地利用に当たっては、その下部に軟弱層があることに注意しなければならない。
持続可能性
[読み:じぞくかのうせい]
人間活動が将来にわたって持続できるかどうかという概念であるが、特に、地球環境問題に対応する上での目標として用いられることが多い。
下地補修
[読み:したじほしゅう]
建物の大規模修繕等において壁の素材(下地)を修理する工事をいう。まず下地の不具合を調査し、ひび割れ、破裂、浮きなど不具合の状態と下地の材質に応じて最適な修理方法を選択しなければならない。修繕工事において最も重要な工程のひとつである。
質権
[読み:しちけん]
債権を保全するために、債権者が債務者(または物上保証人)から物を受け取って占有し、債務が弁済されなかったときにはその物を売却して、その売却価額から債権の弁済を受けることができるという担保物権のこと(民法第342条)。なお、債権者が債務の弁済としてその物の所有権を取得するという方法を取ること(これを流質契約「りゅうしちけいやく」という)は民法第349条により原則的に禁止されている。ただし質屋営業法ではこの流質契約を認めている。質権は質権が設定される対象により、動産質、不動産質、権利質に分類される。しかし動産を質に取ることは現在でも質屋で広く行なわれているが、不動産を質に取ることは現代ではほとんどあり得ない。従って不動産の実務上で重要なのは、権利に対する質権である。
例えば、金融機関が不動産所有者に融資をする場合には、不動産所有者が火災保険に加入し、その火災保険金の請求権について金融機関が質権を設定するのが一般的な慣行である。 つまり、万一不動産が火災にあった場合には、金融機関はこの質権を実行し、火災保険金から融資の優先返済を受けるということである。
市町村の建設に関する基本構想
[読み:しちょうそんのけんせつにかんするきほんこうそう]
地方自治法・国土利用計画法の規定にもとづく市町村の構想・計画のこと。具体的には、地方自治法第2条第4項に基づく「市町村の基本構想」および国土利用計画法第8条に基づく「市町村計画」を指している(※建設省(現・国土交通省)通知にもとづく「市町村の都市計画に関する基本的な方針の策定等について」平成5年6月25日建設省都計発第95号各都道府県知事・各政令指定都市都市計画担当部局長宛建設省都市局都市計画課長通知)。
市町村の都市計画に関する基本的な方針
[読み:しちょうそんのとしけいかくにかんするきほんてきなほうしん]
市町村が都市計画を決定するにあたって指針となる市町村の都市計画の総合的なプランのこと。「都市計画マスタープラン」、「都市マスタープラン」、「マスタープラン」、「基本方針」とも呼ばれる。「市町村の都市計画に関する基本的な方針」は、平成4年の都市計画法の改正により導入された制度である。
地鎮祭
[読み:じちんさい]
建物の建設に着手する前に、敷地の地主神を鎮め、工事の無事を祈願するために行なう儀式。神道に基づくものが一般的だが、仏教式やキリスト教式などもある。工事の無事を祈願する目的のため、祭主は棟梁となる。
実印
[読み:じついん]
個人の印鑑であって、市区町村長に対してあらかじめ印鑑登録を行なった印鑑のこと。印鑑証明の発行を受けることができる印鑑である。
漆喰
[読み:しっくい]
消石灰に糊剤を混ぜたもの。日本古来の左官材料として使用される。
シックハウス症候群
[読み:しっくはうすしょうこうぐん]
住宅に起因する、倦怠感、めまい、頭痛、湿疹、のどの痛み、呼吸器疾患などの症状を総称していう。汚染された住宅内の空気を吸引することによって発症する場合が多いとされ、建材や家具に含まれる有機溶剤や防腐剤、それらに類する揮発性有機化合物(VOC、Volatile Organic Compounds)が汚染源とされるほか、カビや微生物による空気汚染も原因となるといわれている。
シックハウス対策
シックハウス症候群(住宅の内部に居ることによって起きる、原因がはっきりしない体調不良)を防ぐために化学物質の室内濃度を抑制することをいう。
湿式壁
[読み:しつしきかべ]
水を用いて施工した建物の壁をいう。鉄筋コンクリートや壁土、モルタルなど、伝統的な建築材料によって施工されるものは湿式壁である。堅牢性、遮音性等に優れるとされるが軽量化が難しい。一方、石膏ボード使ったものを乾式壁という。
実質賃料
[読み:じっしつちんりょう]
不動産鑑定評価における概念で、貸主に支払われるすべての経済的対価をいう。
実質投資主名簿
[読み:じっしつとうしぬしめいぼ]
不動産投資信託の投資法人において、投資主が保管振替制度を利用している場合に、証券保管振替機構からの通知にもとづいて投資法人が作成する名簿のこと。保管振替制度とは、上場株券の保管・受渡しを合理化するために、平成3年から実施されている制度である。すべての上場株式がこの制度の適用を受けており、投資証券もこの制度の適用を受ける。
投資主がこの保管振替制度を利用している場合、投資証券の券面上の名義人は便宜的に「証券保管振替機構」とされている。そのため、投資法人が作成する投資主名簿上では、保管振替制度適用分については、「証券保管振替機構」が便宜上の投資主とされる。従って、実際に投資口の権利を持つ個々の投資主の住所氏名等を、投資法人が管理するには、別の名簿を作成する必要性が生じることになる。このような管理目的で作成される名簿が「実質投資主名簿」である。
失踪宣告
[読み:しっそうせんこく]
人が居所を去った後、長期間にわたって生死が不明である場合には、残された関係者はその後の生活を営むうえでさまざまな制約を強いられる結果となる。そこで民法は、法律上その人が死亡したものとみなす制度を設けており、これを「失踪宣告」と呼ぶ(民法第30条)。
失踪宣告には、居所を去った後7年間生死不明であることを要件とする「普通失踪」と死亡の原因となるべき危難(戦争や船舶の沈没など)に遭遇したことを要件とする「特別失踪」という2種類がある。失踪宣告を受けた場合、普通失踪については7年間の生死不明の期間が経過した時点で、特別失踪については危難の去った時点において、その人が死亡したものとみなされる(民法第31条)。
その結果、失踪宣告を受けた人について、死亡とみなされた時点から相続が開始することになる(民法882条)。また死亡とみなされた時点において、婚姻(結婚)は当然に消滅する。
ただし姻族の関係(結婚によって生じた親戚関係)は当然に消滅するのではなく、配偶者が姻族関係の消滅の意思を表示する必要がある(民法728条)。なお失踪宣告を受けるには、配偶者・相続人・保険金受取人などの利害関係者が家庭裁判所に請求する必要がある。要件を満たす請求があったとき、家庭裁判所は失踪の宣告をしなければならない(民法第30条)。
失踪宣告の取消し
[読み:しっそうせんこくのとりけし]
失踪宣告を受けた者が生存している場合(または失踪宣告によって死亡したとみなされる時期とは異なる時期に死亡していたことが判明した場合)には、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪宣告を取り消さなければならない(民法第32条第1項本文)。
この失踪宣告の取消しは、失踪宣告を受けた者が死亡したとみなされた時点にまで遡って、その効果を生ずる。具体的には、失踪宣告による死亡により発生した相続は無効となり、相続人は失踪者が生存していれば、相続財産を失踪者に返還する必要が生じる。ただしこの点については、取消しの効果の制限という制度が設けられており、善意の相続人等が保護されている。
実測売買
[読み:じっそくばいばい]
土地の売買契約において、取引価額を実測面積によって確定する場合をいう。面積を確定するための測量が必要で、隣地との境界が確定していないと実測面積そのものを測ることができない。境界を確定するには労力を要することも多いが、その分、契約後の憂いは少ない。また、売買契約後に実測面積を確定して取引価額を精算することがあるが、これも実測売買である。なお、実測売買とは別の簡便な方法として、公簿売買がある。
実務経験(宅地建物取引士の登録における~)
[読み:じつむけいけん(たくちたてものとりひきしのとうろくにおける~)]
宅地建物取引士として登録する際に必要とされる、宅地建物取引業に従事した経験をいう。宅地建物取引士資格試験に合格した者が取引士として登録を申請しようとする場合には、原則として宅地建物の取引に関し2年以上の実務の経験を有することが必要とされている。この経験は、免許を受けた宅地建物取引業者としての経験、または宅地建物取引業者のもとで勤務していた経験でなければならず、また、経験として認められる実務は、顧客への説明、物件の調査等の具体的な取引に関する業務であるとされている。
なお、実務経験がない場合でも、国土交通大臣が実務の経験を有する者と同等以上の能力を有すると認めた者は、取引士として登録を申請できることとされている。例えば、宅地または建物の取引に関する実務についての講習であって国土交通大臣の登録を受けたもの(登録実務講習)を修了した者が、これに該当する。
指定管理者制度
[読み:していかんりしゃせいど]
地方公共団体が設置する公の施設の管理を、民間事業者が担う仕組みをいう。平成15(2003)年に地方自治法の改正によって導入された制度であり、施設の管理権限そのものを地方公共団体が指定する団体(指定管理者)に委任できることとした。委任の対象となる施設や管理者の指定手続きは条例で定められるが、指定管理者を公募したのち、あらかじめ定める基準に従って選定し、期間を定めて指定するのが一般的である。また、指定に当たっては、議会の議決を経なければならないとされている。
指定緊急避難場所
[読み:していきんきゅうひなんばしょ]
災害が発生し、または発生する恐れがある場合にその危険から逃れるための避難場所をいい、災害の原因となる異常現象(洪水、津波など)の種類ごとに市町村長が指定し、公示される。指定された避難場所の管理者は、場所の廃止や重要な変更について届けなければならないとされ、この制限は、宅地建物取引の営業における重要事項説明の対象とされている。
指定区域外土壌入換え
[読み:していくいきがいどじょういれかえ]
汚染土壌について、土壌の直接摂取による健康被害の恐れがある場合における土壌汚染の除去等の措置の一つ。原則として地表から50cm以上の汚染土壌の層の掘削除去を行ない、指定区域外より持ち込んだ汚染されていない他の土壌により埋め戻すものである。
指定区域内土壌入換え
[読み:していくいきないどじょういれかえ]
汚染土壌について、土壌の直接摂取による健康被害の恐れがある場合における土壌汚染の除去等の措置の一つ。地表から50cmの範囲にある汚染土壌を掘削し、当該指定区域内のいずれかの場所において地表から50cm以上の深部に当該汚染土壌を埋め戻し、その上を指定区域内の汚染されていない土壌により50cm覆うことである。
指定住宅紛争処理機関
[読み:ていじゅうたくふんそうしょりきかん]
建設住宅性能評価書が交付された住宅について、建設工事の請負契約または売買契約に関する紛争が発生した場合に、紛争の当事者の双方または一方からの申請により、紛争のあっせん・調停・仲裁の業務を行なう機関を「指定住宅紛争処理機関」という(住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)第63条)。
指定住宅紛争処理機関になることができるのは、各都道府県の弁護士会または民法上の社団法人・財団法人に限定されている(同法第62条)。平成15年4月現在では、各都道府県の弁護士会の内部に設置されている「住宅紛争審査会」(全国で51機関)が、この指定住宅紛争処理機関として国土交通大臣により指定されている。ただし、現時点では紛争当事者からの紛争処理の申請件数は年間数件程度という低水準にとどまっている。
指定調査機関(土壌汚染対策法の~)
[読み:していちょうさきかん(どじょうおせんたいさくほうの~)]
土壌汚染対策法第3条および第4条に定める土壌汚染状況調査では、土地所有者等は環境大臣が指定する者に調査をさせなければならない。このように環境大臣が指定する調査機関のことを「指定調査機関」という。
指定避難所
[読み:していひなんじょ]
災害の危険性があり避難した住民等を災害の危険性がなくなるまでの間滞在させ、または災害により住居に戻れなくなった住民等を一時的に滞在させるために市町村長が指定した施設をいう。指定避難所は災害の種類を問わず指定することとされ、公示される。指定された避難所の管理者は、施設の廃止や重要な変更について届け出なければならないとされ、この制限は、宅地建物取引の営業における重要事項説明の対象とされている。
指定流通機構
[読み:していりゅうつうきこう]
指定流通機構とは、宅地建物取引業者間で不動産情報を交換するために、宅地建物取引業法第50条の2の4第1項の規定により、国土交通大臣が指定した公益法人のことである。
私道
[読み:しどう]
民間の個人や法人が所有している道路を「私道」という。「私道」には、特定の個人のために築造されたものもあれば、不特定多数の人が通行するために築造されたものもある。「私道」は一定の手続きを経ることによって「建築基準法上の道路」になることができる。この手続きは「道路位置指定」と呼ばれている。
指導・助言・勧告
[読み:しどう・じょげん・かんこく]
行政指導のことをいう。行政機関が特定の者に対して一定の作為または不作為を求めることで、法律上の強制力はない。
私道負担
[読み:しどうふたん]
不動産の売買において、対象となる土地の一部が「私道の敷地」となっているとき、その私道の敷地の部分を「私道負担」と呼んでいる。私道負担に関する事項は、重要事項として説明しなければならない。また、不動産広告では、区画面積と私道負担面積とを分けて表示しなければならないとされている。例えば、「土地面積100平方メートル、別に、私道負担面積5平方メートル」のように、わかりやすく表示する必要がある。
支払督促
[読み:しはらいとくそく]
民事訴訟法第382条から第396条に規定されている、金銭債権を回収するための簡易な請求手続きのことである。支払命令・督促命令と呼ばれることもある。支払督促を行なうには、債権者は、債務者の住所地を管轄する簡易裁判所に対して、請求する金額や請求の原因などをごく簡単に記載した支払督促申立書を提出し、通常の裁判費用の半額に相当する印紙を納付する必要がある。
簡易裁判所ではこの申立書にもとづき、支払督促を発令し、債務者に支払督促正本が郵送される。債務者が正本送達の翌日から2週間以内に異議申立てを行なえば、正式な裁判に移行することになるが、異議申立てを行なわなければ、債権者は2週間が経過した日の翌日から30日以内に、仮執行宣言の申立てをすることができる。債権者が仮執行宣言の申立てをすると、簡易裁判所は、仮執行宣言付支払督促を発令し、仮執行宣言付支払督促正本が債務者に送達される。これに対して、2週間以内に債務者からの異議申立てがなければ、支払督促は確定判決と同一の効力を得ることとなる。
このように、早ければ申立書提出から1ヵ月程度で確定判決と同一の効力が発生し、しかも費用が通常裁判の半分であるので、支払督促は、主に少額の融資を迅速に回収する手段として多用されている。
支払命令
[読み:しはらいめいれい]
簡易裁判所において行なう金銭債権を回収するための簡易な請求手続きのこと。
地盤沈下
[読み:じばんちんか]
地盤が圧縮され、沈んでいく現象をいう。単に地盤が低下するだけでなく、沈下量が場所によって異なることによる不同沈下、支持層に支えられた構造物が相対的に高くなる抜け上がりなどの現象を伴うことが多い。その原因は、主として地下水の過剰な汲み揚げである。ときには、埋め立て地や盛り土が荷重により圧縮されて沈下することもある。
地袋
[読み:じぶくろ]
床面に接して設けられた高さの低い袋戸棚のこと。床の間の違い棚の下部、あるいは和室の窓の下部等に設置される。
私募
[読み:しぼ]
有価証券を新規に発行するときの方法の区別で、50名以上の者を申込みの勧誘の相手方とするものを公募、50名未満の者を相手方とするものを私募という。発行価額に応じて有価証券通知書や届出書が必要になるが、公募か私募かの違いによってその取扱いが異なる。私募は、機関投資家を相手に行なわれることが多い。一般に、公募すれば広い範囲から投資家を集めることができて証券の流通性を高めることができる一方、私募であれば発行コストが低く、あらかじめ保有者を確定しやすい。
私法
[読み:しほう]
法のうち市民相互の関係を規律付けるものをいう。国民と国家との関係を規律付けるのが「公法」であり、法の体系は、私法と公法の大きな2つの類型に分けることができる。私法は、市民の相互関係を対象とする規律であるから、自由平等の関係を基盤に、私益を調整することを目的とする。一方、公法は、支配服従の関係を定めて公益の実現をめざすことに特徴があるとされる。
司法書士
[読み:しほうしょし]
不動産の権利に関する登記の専門家。
死亡等の届出(宅地建物取引士における)
[読み:しぼうとうのとどけで(たくちたてものとりひきしにおける)]
宅地建物取引士の登録を受けている者について、死亡等の一定の事情が発生した場合に、相続人等の一定の者が知事に対して行なうべき届出のこと。
私募ファンド
[読み:しぼふぁんど]
投資家から資金を募って運用する事業のなかで、資金を募る対象者が狭く限定されているものをいう。また「プライベートファンド」ということもある。通常、募集対象が50人未満のものを指すが、特に対象を適格機関投資家に限った「プロ私募」による事業も私募ファンドの一つである。また、募集対象者を選別するような私募ファンドもある。
一般的に、ハイリスク・ハイリターンの運用をめざすことが多く、通常、不動産投資が組み込まれる。オポチュニティファンドと似た性格を帯び、運用者の裁量の範囲が大きい。
私募リート(私募REIT)
[読み:しぼりーと]
非上場のREIT。JREITと同様のしくみで組成される不動産投資ファンドであるが、取引所に上場せず、オープンエンドで運用される。非上場であることから、金融市場の動向に強く影響されることなく不動産評価を直接に反映した価格形成がなされ、投資リスクの分散効果が期待できる一方、換金性に乏しいこと、取引所等の規制が働かないことなどJREITとは異なる性質がある。
リスクを分散しつつ長期安定的に資金を運用するニーズに応えることができるとされ、主要な投資者は機関投資家である。
市民農園
[読み:しみんのうえん]
主として都市の住民のレクリエーション等の用に供するための農地及びその保全・利用のための施設をいう。農地は、農地法の規定によって原則として農業のために利用しなければならないとされているが、市民農園の農地はその例外となる。その開設・運営に当たっては、農地関係法令等への適合が求められる。
事務禁止処分
[読み:じむきんししょぶん]
宅地建物取引士に対して、期間を定めてその事務を行なうことを禁止する命令をいう。通常は、名義貸し、不正・不当な行為などによって指示処分を受けたにもかかわらずそれに違反した場合に処せられるが、行為等が悪質な場合には指示処分を経ずに事務禁止処分となることもある。
事務禁止処分に違反したときには過料に処せられる。また、事務禁止処分に処せられたときはすみやかに宅地建物取引士証を交付を受けた知事に提出しなければならない。なお、事務禁止処分に違反した場合や行為が特に悪質な場合などは、登録抹消処分に処せられることもある。
事務所以外で専任の宅地建物取引士を置くべき場所
宅地建物取引業法では、法第3条第1項の「事務所」には専任の宅地建物取引士を一定割合以上設置することを義務付けている(詳しくは宅地建物取引士の設置義務)。
社印
[読み:しゃいん]
会社の印鑑であって、代表者印でも、銀行印でもない印鑑のこと。印影が正方形であることが一般的なので、「角印」とも呼ぶ。見積書・請求書などに押印する。
社会保険料控除
[読み:しゃかいほけんりょうこうじょ]
ある個人が自分自身の社会保険を支払った場合や、配偶者や扶養親族の社会保険を支払った場合には、その支払金額の全額を、所得から控除することができる。これを社会保険料控除という。ここでいう社会保険とは、健康保険、介護保険、厚生年金、厚生年金基金、国民年金、国民年金基金などである。
借地権
[読み:しゃくちけん]
借地権とは次の2つの権利のどちらかのことである。
借地権割合
[読み:しゃくちけんわりあい]
土地の更地評価額に対する借地権価額の割合をいう。
借地借家法
[読み:しゃくちしゃっかほう・しゃくちしゃくやほう]
借地権および建物の賃貸借契約などに関して特別の定めをする法律で、民法の特別法である。1991年公布、92年8月1日から施行されている。従前の借地法、借家法を統合したほか、定期借地権等の規定が創設された。借地借家法では、借地権の存続期間や効力等、建物の賃貸借契約の更新や効力等について、借地権者や建物の賃借人に不利にならないよう一定の制限が定められている。
借家権
[読み:しゃくやけん・しゃっかけん]
建物の賃借権をいう。建物の賃借権は、通常の賃借権と異なって、借家人を保護するために特別の取扱いを受ける。
借家人に対する補償
[読み:しゃくやにんにたいするほしょう]
土地収用法第88条の通常損失の補償の一つ。政令(土地収用法第八十八条の二の細目等を定める政令)の第25条に規定されている。
遮水工封じ込め
[読み:しゃすいこうふうじこめ]
汚染土壌について、地下水汚染を経由した健康被害の恐れがある場合における土壌汚染の除去等の措置の一つ。汚染土壌を当該土地から掘削し、当該土地に地下水の浸出を防止するための構造物を設置し、さらにその構造物の内部に掘削した汚染土壌を埋め戻すことである。
斜線制限
[読み:しゃせんせいげん]
建築物の各部分の高さに関する制限をいう。通風、採光等を確保し、良好な環境を保つことを目的とした制限で、建築物を横から見たとき、空間を斜線で切り取ったように制限されることから斜線制限と呼ばれる。
遮断工封じ込め
[読み:しゃだんこうふうじこめ]
汚染土壌について、地下水汚染を経由した健康被害の恐れがある場合における土壌汚染の除去等の措置の一つ。汚染土壌を当該土地から掘削し、当該土地に必要な水密性および耐久性を有する構造物を設置し、さらにその構造物の内部に掘削した汚染土壌を埋め戻すことである。
ジャロジー
細長い羽根を上下に並べ、羽根を回転させることで開閉ができる窓のこと。外部からの視線を遮る効果があること、狭い空間でも開閉がしやすいことから、浴室・トイレなどの窓によく使用される。
シャンプードレッサー
洗髪や化粧にも使える洗面台をいう。例えば、大きめの洗面ボウル、シャワー機能付きの水栓、三面鏡、収納スペースなどを備えた多機能型の洗面台がこれに当たる。
受遺者
[読み:じゅいしゃ]
遺言によって遺産の譲与を受ける者。受遺者が法人の場合もある。遺言による遺産の譲与を「遺贈」といい、相続人は原則として受遺者に対して遺贈を履行する義務を負う。なお遺贈には、遺産の全体についてのもの(包括遺贈)と特定の財産についてのもの(特定遺贈)とがあり、その違いに応じて受遺者の法律的な取扱いが異なる。すなわち、包括遺贈の場合には受遺者に対して遺産分割など相続人と同様の法律規定が適用される一方、特定遺贈の場合には直ちに受遺者に権利が移転すると解されている。
収益還元法
[読み:しゅうえきかんげんほう]
不動産鑑定評価において、対象不動産が将来生み出すであろうと期待される収益をベースとして対象不動産の価格を求める手法のこと。この収益還元法による試算価格を「収益価格」という。収益還元法は、さらに直接還元法とDCF法に分けることができる。直接還元法とは、ある一期間の純収益(総収益から総費用を控除した残額)をある一定の利回り(これを「還元利回り」という)で割ることで、収益価格を求める方法である。またDCF法とは、連続する複数の期間におけるそれぞれの期間の純収益を、各期間に対応した割引率で割ることにより現在価値へと換算し、それらの現在価値の合計値を収益価格とする方法である。
収益事業
[読み:しゅうえきじぎょう]
公益社団法人等の非営利法人、マンション管理組合等の人格のない社団などが行なう事業のうち、法人税の課税対象とされるものをいう。34種類の事業が指定されている。従って、収益事業に該当しない事業については非課税である。
集会(区分所有法における~)
[読み:しゅうかい(くぶんしょゆうほうにおける~)]
分譲マンションのような区分所有建物において、建物および敷地の管理に関する事項を決定するために、少なくとも年に1回以上開催される区分所有者の集会のこと。
従業者(宅地建物取引業法における~)
[読み:じゅうぎょうしゃ(たくちたてものとりひきぎょうほうにおける~)]
宅地建物取引業法第48条の規定により、従業者証明書を携帯させるべき者のことを「従業者」という。この従業者の定義は、国土交通省のガイドラインである宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方に規定されている。
従業者証明書
[読み:じゅうぎょうしゃしょうめいしょ]
宅地建物取引業者は、その「従業者」に対して、その従業者であることを証する証明書を携帯させなければ、その者をその業務に従事させてはならない(宅地建物取引業法第48条)。この証明書を「従業者証明書」と呼んでいる。この「従業者証明書」は、宅地建物取引業者が作成してその従業者に交付するものであり、従業者の顔写真が付いたカード型のものである。
従業者名簿
[読み:じゅうぎょうしゃめいぼ]
宅地建物取引業法第48条の規定により、従業者証明書を携帯させるべき者のことを「従業者」という。
住居番号
[読み:じゅうきょばんごう]
「住居表示に関する法律」により、各建物に付された番号のこと。
住居表示
[読み:じゅうきょひょうじ]
昭和37年以前は、土地登記簿に記載されている地番に基づいて、各建物を表示していたため、郵便の集配等で混乱が生じていた。
自由刑
[読み:じゆうけい]
刑罰のうち、犯人の自由を剥奪する刑罰のこと。自由刑としては、重い順に「懲役、禁固、拘留」がある。
従事者(宅地建物取引業法における~)
[読み:じゅうじしゃ(たくちたてものとりひきぎょうほうにおける~)]
宅地建物取引業法の規定により、宅地建物取引業者はその事務所において「従事者」の数の5分の1以上の割合で、成年の専任の宅地建物取引士を置く義務を負う。
終身建物賃貸借
[読み:しゅうしんたてものちんたいしゃく]
借主の死亡のときまで存続し、借り主が死亡したときに終了する建物の賃貸借契約をいう。
集成材
[読み:しゅうせいざい]
厚さ1~3cm程度の挽板またはラミナといわれる小角材を、繊維方向が互いにほぼ平行になるように重ね、合成樹脂接着剤で接着合成し1つの材としたもの。天然材と比較して、強度性能が高く欠陥が少ない、均一な材を造ることが可能である。
重説
[読み:じゅうせつ]
「重要事項説明」の略で、宅地建物取引業者が、売買契約・賃貸借契約の締結に先立って、買主・借主に対して契約上の重要な事項を宅地建物取引業法第35条にもとづき説明すること。
重説IT化
[読み:じゅうせつあいてぃか]
不動産取引における重要事項説明を、インターネット等を活用して対面以外の方法で行なうこと、またはその方法を導入すること。
修繕義務
[読み:しゅうぜんぎむ]
建物賃貸借契約においては、貸主は建物の汚損・破損(借主の故意や過失によって発生した汚損・破損を除く)について、必要な修繕を行なう義務を負うものとされている(民法第606条)。
従前地
[読み:じゅうぜんち]
土地区画整理事業によって換地される場合の、換地前の土地(従前の宅地)をいう。
修繕積立金
[読み:しゅうぜんつみたてきん]
管理組合が長期修繕計画に従って修繕を実施するために、区分所有者から毎月徴収した金銭を積み立てたものである。区分所有者は、管理組合に対して、通常、管理費と特別修繕費を納入するが、この特別修繕費を毎月積み立てたものが「修繕積立金」である。
重大な不履行(契約の)
[読み:じゅうだいなふりこう(けいやくの)]
債務の履行について合理的な期待を持てない状態にあることをいう。このような場合には、債務者に故意・過失がない場合にも契約解除を認めるべきであるという私法上の考え方がある。
住宅インスペクション・インスペクション
[読み:じゅうたくいんすぺくしょん・いんすぺくしょん]
既存住宅を対象に、構造の安全性や劣化の状況を把握するために行う検査・調査をいう。住宅インスペクションは、目視等を中心とした現況把握のための検査、耐震診断等の破壊調査を含めた詳細な調査、性能向上等のための調査など、目的に応じて異なった内容で実施される。
住宅街区整備事業
[読み:じゅうたくがいくせいびじぎょう]
都市計画で定められた市街地開発事業の一つで、大都市地域で住宅や住宅地を供給するために実施される事業をいう。
住宅瑕疵担保責任
[読み:じゅうたくかしたんぽせきにん]
新築住宅に瑕疵があった場合に負うべき損害賠償等の責任をいい、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」において消費者保護のための特別の定めがされ、民法にもとづく一般的な瑕疵担保責任とは異なる扱いがされる。
住宅瑕疵担保履行法
[読み:じゅうたくかしたんぽりこうほう]
新築住宅に係る瑕疵担保責任の履行を確保することを目的とした法律で、正式には「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」という。
住宅供給公社
[読み:じゅうたくきょうきゅうこうしゃ]
勤労者に対する良好な集合住宅の供給等を行なうために、都道府県等が出資し設立した公法人。「地方住宅供給公社法」に基づいて設立、運営される。
住宅金融公庫
[読み:じゅうたくきんゆうこうこ]
特殊法人(政府の機能の一部を担う特別の法律による法人)の一つで、政府の保証を背景とした住宅金融業務を実施することを目的に昭和25(1950)年に設立された。その中心的な業務は、個人住宅向けの資金融資、賃貸住宅建設のための融資、住宅融資保険などであった。だが、民間金融機関の個人向け住宅ローンの拡大等を受けて、平成15年(2003)年10月からは、従来の融資業務を縮小し、新たに始めた証券化支援業務を中心とした民間金融機関による住宅金融の支援・補完機能を担う組織へと転換した。
住宅金融支援機構
[読み:じゅうたくきんゆうしえんきこう]
政府の保証を背景とした住宅金融業務を実施することを目的に設立された「住宅金融公庫」の権利義務を引き継ぐ形で平成19(2007)年に設立された。
住宅セーフティネット
住宅を確保するのが困難な者に対してその居住を支援する仕組みをいう。
住宅性能評価書
[読み:じゅうたくせいのうひょうかしょ]
住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)にもとづき、住宅性能の評価結果を表示した書面のこと。品確法では、住宅性能評価書を作成することができる機関を登録住宅性能評価機関だけに限定しており、評価の方法に関して日本住宅性能表示基準と評価方法基準という2種類の基準を法定している(住宅品質確保法第5条)。
住宅性能評価書と請負契約・売買契約の関係
[読み:じゅうたくせいのうひょうかしょとうけおいけいやく・ばいばいけいやくのかんけい]
住宅の品質確保の促進等に関する法律 (品確法)第6条では、住宅性能評価書を交付された新築住宅については、住宅性能評価書に記載された住宅の性能が、そのまま請負契約や売買契約の契約内容になる場合があると規定している。この規定により注文者保護・買主保護が図られている。
住宅性能表示基準
[読み:じゅうたくせいのうひょうじきじゅん]
住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)にもとづき、国土交通大臣が定めた住宅性能の表示に関する基準のこと。法律上の正式名称は「日本住宅性能表示基準」である。
住宅性能表示制度
[読み:じゅうたくせいのうひょうじせいど]
住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)により導入された、住宅の性能を表示するための制度のこと。
住宅性能保証制度
[読み:じゅうたくせいのうほしょうせいど]
住宅の基本的な性能を保証する仕組みをいう。新築住宅について、構造耐力上主要な部分や雨水の浸入を防止する部分に関して性能の評価を行ない、その性能を、施工現場の検査、保険により保証する。
住宅着工統計
[読み:じゅうたくちゃっこうとうけい]
住宅の新改築の動向に関する統計で、国土交通省が実施し、その結果は毎月公表されている。住宅の着工状況(戸数、床面積の合計)を、構造(木造、鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造、鉄骨造、コンクリートブロック造、その他)、建て方(一戸建て、長屋建て、共同住宅)、利用関係(持家、貸家、給与住宅、分譲住宅)、資金(民間、公的)、建築工法(在来工法、プレハブ工法、枠組壁工法)等に分類して把握できる。統計のための原資料は、建築確認申請である。
住宅手当(離職者に対する~)
[読み:じゅうたくてあて(りしょくしゃにたいする~)]
住宅を喪失または喪失する恐れのある離職者であって、就労意欲のある者に対し、賃貸住宅の家賃を給付する制度をいう。
住宅の品質確保の促進等に関する法律
[読み:じゅうたくのひんしつかくほのそくしんとうにかんするほうりつ]
住宅の性能の表示基準を定めるとともに、住宅新築工事の請負人および新築住宅の売主に10年間の瑕疵担保責任を義務付けることにより、住宅の品質確保をめざす法律。「品確法」とも。
住宅販売瑕疵担保責任保険
[読み:じゅうたくはんばいかしたんぽせきにんほけん]
宅地建物取引業者が新築住宅を販売した場合に、特定住宅瑕疵担保責任(構造耐力上主要な部分及び雨水の浸入を防止する部分の瑕疵に対する10年間の担保責任)を確実に履行するために当該宅地建物取引業者が締結する保険をいう。
住宅販売瑕疵担保保証金
[読み:じゅうたくはんばいかしたんぽほしょうきん]
宅地建物取引業者が新築住宅を販売した場合に、特定住宅瑕疵担保責任(構造耐力上主要な部分及び雨水の浸入を防止する部分の瑕疵に対する10年間の担保責任)を確実に履行するために、当該宅地建物取引業者が供託しなければならない金銭をいう。この供託は義務であるが(住宅瑕疵担保履行法の規定)、住宅販売瑕疵担保責任保険契約を締結した住宅は供託の対象とされない。また、供託金額は、販売戸数(住宅販売瑕疵担保責任保険に係る住宅戸数を除く)に応じて決められている。
住宅紛争処理支援センター
[読み:じゅうたくふんそうしょりしえんせんたー]
住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)第78条にもとづき、国土交通大臣が指定する公益法人のこと。住宅品質確保法では、指定住宅紛争処理機関の業務の支援などを目的とする公益法人を国土交通大臣が指定できると定めている(同法第78条)。
住宅保証機構
[読み:じゅうたくほしょうきこう]
住宅の性能等を保証するための制度を運営することを目的とした財団法人(現在は株式会社)で、昭和57(1983)年に設立された。
住宅用火災警報器
[読み:じゅうたくようかさいけいほうき]
火災の発生をキャッチしてブザーや音声で知らせる装置をいい、すべての寝室と寝室のある階の階段には必ず設置しなければならない(スプリンクラーや自動火災警報設備が設置されているときは免除)。また、市町村の火災予防条例で台所等への設置を義務付けている場合もある。
住宅リフォーム減税
特定の目的で住宅の改修をした場合に、課税が軽減される制度をいう。
住宅履歴情報
[読み:じゅうたくりれきじょうほう]
住宅の構造・設備、改修工事、維持保全、権利関係など、住宅の情況を示す情報をいう。
住宅ローン
個人に対する住宅資金の融資をいう。
住宅ローン減税
所得税の課税に当たって、住宅ローンの残高の一部を税額から控除する制度をいう。一定の要件に該当する住宅を居住の用に供した年以降10年間にわたって、当該住宅に係るローン残高の一部を各年分の所得税額から控除できる。住宅借入金等特別控除制度ともいわれ、これにより住宅取得等のための借入金に係る負担が軽減される。
従たる権利
[読み:じゅうたるけんり]
民法第87条第2項は「従物は主物の処分にしたがう」と定めている。これは、主物の効用を高めるために主物に結合させられた物(これを従物という)は、原則として主物と法律的運命を共にするという趣旨である。
周知の埋蔵文化財包蔵地
[読み:しゅうちのまいぞうぶんかざいほうぞうち]
埋蔵文化財を包蔵する土地として周知されている土地をいう(文化財保護法第93条第1項)。 石器・土器などの遺物が出土したり、貝塚・古墳・住居跡などの遺跡が土中に埋もれている土地であって、そのことが地域社会で認識されている土地がこれに該当する。
収納口座(マンション管理における~)
[読み:しゅうのうこうざ]
マンション管理業者が管理組合等から受領した管理費用等を分別して管理するための口座の種類をいう。管理の目的に応じて収納口座、保管口座の二つに分類される。 収納口座は、受領した管理費用等を預入して、一時的に預貯金として管理するための口座で、毎月の管理事務費以外の残高は、翌月内に保管口座に移し換えられる。
修復(建築物の)
[読み:しゅうふく(けんちくぶつの)]
建物等をその保護保全と機能回復のために改造すること。保護保全すべきものとして歴史的、芸術的な価値や環境的機能などがあり、回復すべき機能として利便性や利用可能性などがある。この両方を目指すところが「保存」や「復元」との違いであるとされる。
従物
[読み:じゅうぶつ]
主物に附属せしめられた物のことを「従物」という(民法第87条第1項)。例えば、建物が主物、建物に取り付けられたエアコンは従物である。判例に現れた従物の例としては、建物に対する畳・建具、宅地に対する石灯籠・取り外し可能な庭石などがある。
修補請求
[読み:しゅうほせいきゅう]
給付を受けた目的物に瑕疵がある場合に、その瑕疵の修理・補修を請求することをいう。目的物に瑕疵があるなど債務が完全に履行されていないときに完全履行を求める私法上の方法の一つであると考えることができる。
住民税
居住する個人に課せられる地方税で、道府県民税と市町村民税を合わせたものをいう。
集約型都市構造化
[読み:しゅうやくがたとしこうぞうか]
都市圏を高密度な拠点のネットワーク構造に転換する政策またはビジョン。具体的な姿は都市の特性に応じて異なるが、次の施策を組み合わせることによって実現していくとされている。
集約都市開発事業
[読み:しゅうやくとしかいはつじぎょう]
医療.福祉施設、業務・商業施設、共同住宅などを集約する事業で、都市の低炭素化に資するとして認定されたものをいう。
収用委員会
[読み:しゅうよういいんかい]
土地収用の裁決等を行なう組織をいう。
重要事項説明
[読み:じゅうようじこうせつめい]
宅地建物の取引において、宅地建物取引業者が取引当事者に対して契約上重要な事項を説明することをいう。また、その際に、説明の内容を記載して当事者に交付する書面を重要事項説明書という。
重要事項説明書
[読み:じゅうようじこうせつめいしょ]
宅地建物取引業務における重要事項説明に当たって、取引の相手となる当事者に対して交付して説明しなけばならない書面をいう。
収用適格事業
[読み:しゅうようてきかくじぎょう]
土地収用ができる事業のこと。土地収用ができる事業は、一定の公益性のある事業に限定されている。
重要伝統的建造物群保存地区
[読み:じゅうようでんとうてきけんぞうぶつぐんほぞんちく]
市町村が定めた伝統的建造物群保存地区であってわが国にとって特に価値の高いものについては、文部科学大臣は市町村からの申し出にもとづき、その全部または一部を「重要伝統的建造物群保存地区」として選定することができる(文化財保護法第144条)。重要伝統的建造物群保存地区の数、伝統的建造物が保存すべき建造物の数については、文化庁ホームページを参照のこと。
収用の対象
[読み:しゅうようのたいしょう]
土地収用法において収用の対象になるものは、原則として土地であるが、土地以外の権利なども、その権利を消滅させる等の目的により、収用の対象になることがある。
重要文化財
[読み:じゅうようぶんかざい]
有形文化財のうち重要なものとして文部科学大臣に指定され、官報に告示されたものを「重要文化財」という(文化財保護法第27条第1項、第28条)。
重要無形文化財
[読み:じゅうようむけいぶんかざい]
無形文化財のうち重要なものとして、文部科学大臣が官報に告示することによって指定したものを「重要無形文化財」という(文化財保護法第71条)。また、これらの重要無形文化財に指定される芸能を高度に体現しているものや、重要無形文化財に指定される工芸技術を高度に体得しているものは「重要無形文化財保持者」または「重要無形文化財保持団体」として認定され、国が助成を行なっている。
重要無形民俗文化財
[読み:じゅうようむけいみんぞくぶんかざい]
無形の民俗文化財であって、特に重要なものとして文部科学大臣に指定され、官報に告示されたものを「重要無形民俗文化財」という(文化財保護法第78条)。
重要有形民俗文化財
[読み:じゅうようゆうけいみんぞくぶんかざい]
有形の民俗文化財であって、特に重要なものとして文部科学大臣に指定され、官報に告示されたものを「重要有形民俗文化財」という(文化財保護法第78条)。
集落生活圏
[読み:しゅうらくせいかつけん]
自然的社会的諸条件からみて一体的な日常生活圏を構成していると認められる集落およびその周辺の農用地等を含む一定の地域をいう。地域再生法の規定による地域で、その区域は地域再生土地利用計画において定められる。
集落地区計画
[読み:しゅうらくちくけいかく]
都市計画法第12条の4に規定する「地区計画等」の一つ。集落地域整備法に従い、都市計画によって定められる。
重量鉄骨
[読み:じゅうりょうてっこつ]
「重量鉄骨」とは、厚さが6mmを超える鋼材のことである。その反対に、厚さが6mm以下の鋼材は「軽量鉄骨」という。重量鉄骨は、重量鉄骨構造の建物において柱・梁として使用される。
重量鉄骨構造
[読み:じゅうりょうてっこつこうぞう]
鉄骨構造の一つ。重量鉄骨構造とは、次のような特徴を持つ鉄骨構造である。
授権行為
[読み:じゅけんこうい]
本人が代理人に対して、代理権を授与する行為のこと。
受贈者
[読み:じゅぞうしゃ]
贈与契約において財産等の贈与を受ける者。贈与が成立するためには、与える者(贈与者)の贈与する旨の意思表示だけでなく、受贈者の受諾が必要である。
主たる債務
[読み:しゅたるさいむ]
ある人の債務を他の者が保証するとき、保証を受ける債務を「主たる債務」という。また保証人が負う債務を「保証債務」という。
取得時効
[読み:しゅとくじこう]
一定期間、所有の意思をもって他人の物を占有したとき、その物の所有権などの権利を、取得することができる(民法第162条)。このように占有という事実状態が継続することにより、権利を取得できる時効を取得時効という。
樹木等管理協定
[読み:じゅもくとうかんりきょうてい]
樹木や樹林地の保全・管理に関する協定で、都市の低炭素化を促進するために、市町村又は緑地管理機構が、樹木の所有者等に代わって一定の樹木等を保全・管理することなどを定めたものをいう。樹木等管理協定は公告され、新たに樹木の所有者等になった者に対しても有効である。また、このことは、宅地建物取引の営業における重要事項説明の対象とされている。
主要構造部
[読み:しゅようこうぞうぶ]
建築物の構造上、重要な役割を果たしている部分のこと。建築基準法2条5号では、主要構造部とは「壁・柱・床・梁・屋根・階段」であると定義している。ただし、構造上重要でない最下階の床、間仕切り用の壁、間柱、つけ柱、局所的な小階段などは主要構造部から除外されている。
準委任契約
[読み:じゅんいにんけいやく]
法律行為以外の事務の実施を委託する契約をいう。民法上委任契約の規定が全面的に適用されるため(民法656条)、委任契約と区別する実益はない。
順位番号(不動産登記における~)
[読み:じゅんいばんごう(ふどうさんとうきにおける)]
登記記録の甲区、乙区のそれぞれにおいて、登記の時間的順序に従って、各個の登記に付される番号のこと。甲区にされた登記は甲区の中で順位番号が付けられ、乙区にされた登記は乙区の中で順位番号が付けられる。つまり、区の中における登記の先後は、順位番号によって判明する。なお、区を越えて登記の先後を見るためには、受付番号で判断する。
循環型社会
[読み:じゅんかんがたしゃかい]
資源を効率的に循環させながら利用することによって、資源消費の抑制と環境負荷の低減を図ることのできる社会をいう。「循環型社会形成推進基本法」では、これを「製品等が廃棄物等となることが抑制され、並びに製品等が循環資源となった場合においてはこれについて適正に循環的な利用が行われることが促進され、及び循環的な利用が行われない循環資源については適正な処分が確保され、もって天然資源の消費を抑制し、環境への負荷ができる限り低減される社会」であると定義している。
準関係人(土地収用における~)
[読み:じゅんかんけいにん(とちしゅうようにおける~)]
収用について、利害関係を有する者であって、土地所有者以外であって、関係人以外の者のこと。具体的には、収用の対象となる土地(または賃借権などの土地に関する権利)について、仮処分をした者や、権利を害される恐れのある者を指す。例えば、収用対象の土地について、他へ転売してはならないという処分禁止の仮処分を行なった者や、登記されていない買戻し権を有する者が準関係人に該当する。
準禁治産者
[読み:じゅんきんちさんしゃ]
心神耗弱者(こうじゃくしゃ)や浪費者であって、準禁治産の宣告を受けた者のこと(旧民法第11条)。
準景観地区
[読み:じゅんけいかんちく]
都市計画区域および準都市計画区域外の景観計画区域において、景観の保全を図るために指定される区域をいう。指定は、相当数の建築物の建築が行なわれて現に良好な景観が形成されている一定の区域について、市町村が行なう。また、準景観地区内においては、条例で、建築物または工作物や開発行為等について、一定の規制がなされる。指定や規制の手続き、基準などは、景観法に規定されている。
準工業地域
[読み:じゅんこうぎょうちいき]
都市計画法(9条)で「主として環境の悪化をもたらす恐れのない工業の利便を増進するため定める地域」と定義されている。
準住居地域
[読み:じゅんじゅうきょちいき]
都市計画法(9条)で「道路の沿道としての地域の特性にふさわしい業務の利便の増進を図りつつ、これと調和した住居の環境を保護するため定める地域」と定義されている。
準耐火建築物
[読み:じゅんたいかけんちくぶつ]
建築基準において、耐火建築物以外の建築物のうち、その主要構造部(壁、柱、床、梁、屋根、階段)が準耐火性能を満たし、かつ、延焼の恐れのある開口部(窓やドア)に防火戸など、火災を遮る設備を有する建築物をいう。
準耐火構造
[読み:じゅんたいかこうぞう]
建築基準において、壁、柱、床その他の建築物の部分の構造が、準耐火性能に適合する建築物の構造をいう。この場合の準耐火性能とは、通常の火災による延焼を抑制するために、当該建築物の部分に必要とされる性能のことである。その技術的な基準としては、加熱開始後各構造に応じて定められる一定の時間(おおむね45分間)、構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものであることなどの要件が定められている。準耐火構造は、火災中の延焼を抑制する性能が求められるにとどまり、耐火構造のように、鎮火後に建物を再使用できるような性能までは要求されていないと理解されている。
準都市計画区域
[読み:じゅんとしけいかくくいき]
都市計画区域外の区域において、市街化が進行すると見込まれる場合に、土地利用を規制するために設ける区域。都道府県が指定する。
準都市計画区域の指定
[読み:じゅんとしけいかくくいきのしてい]
準都市計画区域は、都市計画区域外の区域において、市街化が進行すると見込まれる場合に、土地利用を規制するために設ける区域である。準都市計画区域は、次の手続きによって指定される。
準防火地域
[読み:じゅんぼうかちいき]
準防火地域は都市計画で指定される地域であり、火災を防止するために比較的厳しい建築制限が行なわれる地域で ある(建築基準法62条)。
準法律行為
[読み:じゅんほうりつこうい]
法律効果の発生を目的としない意思の通知や観念の通知のこと。具体的には、制限能力者の相手方の催告権のように、ある意思の通知ではあるが、それ自体は法律上の権利義務に影響しないものが、準法律行為である。また、社員総会の招集の通知のように、単なる観念の通知も準法律行為である。
純利益
[読み:じゅんりえき]
企業会計上の概念で、企業の経営活動によって最終的に生まれた利益をいう
ショートセール
担保残債価額よりも安い価額で販売される住宅、またはそのような住宅販売をいう。ローン債権の行使が担保物件に限定されるような融資(ノンリコース)が多いアメリカで見られる。
書院造り
[読み:しょいんづくり]
日本の建物様式のひとつで、間仕切りが発達し、床(床の間)、付け書院、上段の間等が設置された座敷がある。室町時代以降、武家住宅として一般化した。
畳(広さの単位として)
[読み:じょう]
「◯畳の間」のように使用する。
承役地
[読み:しょうえきち]
地役権とは、自分の土地の利便性を高めるために、他人の土地を利用することができるという権利のことである(民法第280条)。この地役権が設定されている場合において、利用される他人の土地のことを承役地という。
省エネ改修促進税制(住宅の~)
[読み:しょうえねかいしゅうそくしんぜいせい(じゅうたくの~)]
家屋に対して省エネ改修工事を行なった場合に課税を軽減する特例をいう。
省エネ基準適合住宅の義務化
[読み:しょうえねきじゅんてきごうじゅうたくのぎむか]
新築住宅について省エネルギー基準の適合を義務化する方針をいう。
省エネルギー基準(住宅に関する~)
[読み:しょうえねるぎーきじゅん(じゅうたくにかんする~)]
エネルギーの効率的な利用(省エネ)の程度を判断するために制定・公表されている基準等のうち、住宅に関するものをいう。
少額訴訟
[読み:しょうがくそしょう]
60万円以下の金銭の支払いを求める民事裁判について、各地の簡易裁判所で簡単・迅速に判決を得ることができる裁判制度のこと。平成10年1月1日から導入されている。
浄化槽(し尿浄化槽)
[読み:じょうかそう]
便所からのし尿と、台所等からの雑排水を一緒に浄化する水槽のこと。沈殿、バッキ、消毒の処理を行なう機能を持っている。
小規模宅地の特例
[読み:しょうきぼたくちのとくれい]
小規模な住宅用地について、固定資産税・都市計画税の課税を軽減する措置。専用住宅の敷地に供されている土地について、面積200平方メートル以下の部分に対する標準課税が、固定資産税は評価額の6分の1に、都市計画税は同3分の1にそれぞれ軽減される。この措置は、期限が定められていない特例である。
小規模滅失
[読み:しょうきぼめっしつ]
区分所有建物において、建物の価格の2分の1以下に相当する部分が、地震・火災等により滅失することを「小規模滅失」という。
償却
[読み:しょうきゃく]
企業会計において、収益に貢献した資産の取得額を費用化することをいい、正式には「減価償却」と称する。
商業地域
[読み:しょうぎょうちいき]
都市計画法(9条)で「主として商業その他の業務の利便を増進するため定める地域」と定義されている。この用途地域では、建ぺい率の限度は原則として80%である。 また容積率の限度は200%から1300%の範囲内(12種類)で都市計画で指定される。
証券化(債権の)
[読み:しょうけんか(さいけんの)]
債権から得られるであろうキャッシュフローを裏付けにして有価証券を発行する方法をいう。証券化の対象とされる債権には、住宅ローン債権のような貸付債権、公社債のような債券があるが、それらの債権を保有する者は、それをSPE(特別目的事業体、SPCや投資法人など)に譲渡し、SPEは債権から生み出されるであろうキャッシュフローを受け取る権利を証券の形にして投資家に販売する。これによって証券化が実現するのである。
証券化(不動産の証券化)
[読み:しょうけんか(ふどうさんのしょうけんか)]
不動産を流動化する手法の一つで、不動産をSPC等に譲渡し、または信託して、その不動産から得られるであろう収益を裏付けに、有価証券を発行する方法をいう。 証券化によって、不動産の価値が金融商品として取引されることになる。不動産のもとの所有者は、比較的少ないリスク負担で資金を調達できる一方、投資家にとっては不動産投資の機会が拡大する。
証券保管振替機構
[読み:しょうけんほかんふりかえきこう]
上場株券等の保管・受渡しを合理化するために、平成3年に設立されたわが国唯一の機関。平成16年現在で上場株券の約6割を保管している。
使用細則
[読み:しようさいそく]
分譲マンションのような区分所有建物において、管理規約にもとづいて設定される共同生活上の詳細なルールのことを「使用細則」という。
少子高齢化
[読み:しょうしこうれいか]
人口の年齢構成について、若年層の比率が低下し、高齢者層の比率が増加する現象をいう。
使用収益
[読み:しようしゅうえき]
私法上の概念で、物を直接に利活用して利益・利便を得ることをいう。使用収益するためには、その物を直接に支配する権利(物権)が必要である。
上場株式等の譲渡損失の繰越控除
[読み:じょうじょうかぶしきとうのじょうとそんしつのくりこしこうじょ]
上場株式・店頭株式・上場不動産投資信託の取引に係る売却損を、損失が生じた翌年以降の3年間にわたって、上場株式等に係る譲渡所得の金額から控除できるという制度のこと。
使用貸借
[読み:しようたいしゃく]
動産や不動産を有償で貸し付ける契約が「賃貸借契約」であるが、無償で貸し付ける契約は「使用貸借契約」と呼ばれる。
自用地
[読み:じようち]
他人が使用する権利のない土地をいう。相続税および贈与税の課税に当たって課税対象土地を評価する場合などに使われる用語である。
上棟
[読み:じょうとう]
棟上げと同意で、棟木を納めること、もしくはそのときに行なう儀式のこと。新築への祝福と神の守護に感謝を示し、同時に無事建設されることを祈願する。建築工事の着工と完了の中間にあり、建物の形態がおおよそ整った時点を指す。
譲渡所得
[読み:じょうとしょとく]
資産を譲渡したことにより得た所得をいう。譲渡収入と資産取得や譲渡に当たって要した費用の差が譲渡所得である(課税される譲渡所得額=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-特別控除)。
譲渡損失
[読み:じょうとそんしつ]
不動産を譲渡したことによって発生した損失をいう。譲渡金額が、当該不動産の取得金額から建物の減価償却費および取引諸経費を減じた額よりも小さい場合に発生する。居住用財産について譲渡損失が発生した場合には、一定の要件を満たせば、所得税の課税に当たって繰越控除が認められる。
譲渡担保
[読み:じょうとたんぽ]
債務者(または物上保証人)の所有する物(動産でも不動産でもよい)を、債務者(または物上保証人)が債権者に譲渡し、債務を全額弁済すると同時に債務者(または物上保証人)が債権者からその物を買い戻すという制度である。
消費者契約
[読み:しょうひしゃけいやく]
消費者(個人)と事業者との間で締結される契約で、労働契約を除いたものをいう。
消費者契約法
[読み:しょうひしゃけいやくほう]
消費者(個人)と事業者との間で締結される契約(消費契約)について、消費者の保護を図るための特例を定めた法律で、平成13(2001)年3月に施行された。
消費者庁
[読み:しょうひしゃちょう]
消費者の利益の擁護・増進などを任務とする行政機関で、平成21(2009)年9月に設置された。
消費税
国内の資産・商品・サービスの取引によって発生する付加価値に対して課税される税金。
消滅時効
一定期間、権利を行使しないという事実状態が継続することにより、債権などの権利が消滅するという時効を消滅時効という。消滅時効にかかる権利は債権、用益物権、担保物件であるが、権利の性質により消滅時効が完成するまでの期間はさまざまである。
証約手付
[読み:しょうやくてつけ]
手付の一種で、売買契約などが成立したことを証するために交付される手付のこと。
植栽
[読み:しょくさい]
敷地内の花壇や空いているスペースに樹木や草花を植えること。視覚的に生活を豊かにするだけではなく、災害時の避難場所、気候調節等、さまざまな効果・役割がある。
職務行為
[読み:しょくむこうい]
法人の理事が、法人の目的の範囲内で行なう行為のこと。法人は定款または寄附行為に定められた目的の範囲内で、権利を取得し、義務を負担することとされているので、法人の代表機関である理事はこの目的の範囲内で代表機関としての行為を行なうことができる。このような理事の行為のことを一般に「職務行為」と呼んでいる。
理事の職務行為が問題となるのは、法人が不法に他人に損害を与えた場合(=法人に不法行為責任が発生する場合)である。民法第44条第1項では「理事などの代表機関が職務を行なうにつき他人に加えたる損害は法人が賠償する責任を負う」と規定して、法人が不法行為責任を負うことを明記している。
除斥期間
[読み:じょせききかん]
法律で定められた期間のうち、その期間内に権利を行使しないと権利が当然に消滅する場合の、その期間をいう。時効と異なり、中断すること(ある事由により経過した期間が消えること)はなく、また、当事者の援用(この規定によって利益を受ける旨の意思表示)がなくても効果が生じる。
除染
[読み:じょせん]
原子力発電所の事故によって拡散・付着した放射性物質を取り除いて、放射線量を低減することをいう。放射性物質汚染対処特措法に基づき実施されている。
所得控除
[読み:しょとくこうじょ]
所得税の計算において、所得から差し引くことができるさまざまな控除のこと。
処分禁止の仮処分
[読み:しょぶんきんしのかりしょぶん]
債権者が金銭債権を持っているとき、債務者の財産状況の悪化などの事情がある場合には、裁判所は債務者に対して、財産の売却等を当分の間行なわないよう命令することができる。この裁判所の命令を「仮差押」と呼んでいる。
処分禁止の仮処分の登記
[読み:しょぶんきんしのかりしょぶんのとうき]
「処分禁止の仮処分」が行なわれた場合に、登記簿に記載される登記のこと。
書面申請(不動産登記における~)
[読み:しょめんしんせい(ふどうさんとうきにおける~)]
不動産の登記を、書面で申請すること。平成17年3月7日に施行された新しい不動産登記法(以下、新不動産登記法という)では、登記申請は原則としてオンライン申請によるものとされている。ただし、現時点ではオンライン申請が可能な登記所(これをオンライン庁という)は限定されており、極めて数が少ない。オンライン庁以外の登記所(これを未指定庁という)ではオンライン申請ができないので、従来どおり書面申請によって登記を申請することになる。
書面によらない贈与
[読み:しょめんによらないぞうよ]
贈与とは、当事者の一方がある財産権を相手方に無償で移転する意思を表示し、相手方がそれを受諾する意思を表示し、双方の意思が合致することによって成立する契約である(民法第549条)。わが国の民法では、贈与を「書面による贈与」と「書面によらない贈与」に区分し、両者に異なった取扱いを設けている。
書面による贈与
[読み:しょめんによるぞうよ]
贈与とは、当事者の一方がある財産権を相手方に無償で移転する意思を表示し、相手方がそれを受諾する意思を表示し、双方の意思が合致することによって成立する契約である(民法第549条)。わが国の民法では、贈与を「書面による贈与」と「書面によらない贈与」に区分し、両者に異なった取扱いを設けている。
所有権
[読み:しょゆうけん]
法令の制限内で自由にその所有物の使用、収益および処分をする権利をいう。物を全面的に、排他的に支配する権利であって、時効により消滅することはない。その円満な行使が妨げられたときには、返還、妨害排除、妨害予防などの請求をすることができる。近代市民社会の成立を支える経済的な基盤の一つは、「所有権の絶対性」であるといわれている。だが逆に、「所有権は義務を負う」とも考えられており、その絶対性は理念的なものに過ぎない。
所有権以外の財産権の取得時効
[読み:しょゆうけんいがいのざいさんけんのしゅとくじこう]
取得時効とは、物を一定期間占有したとき、その物の権利を取得することができるという時効の制度であるが、わが国の民法では、所有権の取得時効を定める(民法第162条)だけでなく、地上権・地役権などの所有権以外の財産権の取得時効も定めている(民法第163条)。
所有権の保存の登記
[読み:しょゆうけんのほぞんのとうき]
初めてする所有権の登記のこと。登記記録上では、権利部の甲区に「所有権保存 所有者A」のように記載される。所有権の保存の登記をすることができるのは、原則として、表題部所有者である(不動産登記法第74条)。
所要時間(徒歩所要時間)
[読み:しょようじかん]
歩いてかかる時間のことだが、不動産広告で徒歩所要時間を表示する場合には、不動産の広告を規制する「不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)」により、徒歩1分が80mに相当するものとして計算する(不動産の表示に関する公正競争規約規約第15条第11号)。
資力確保措置(住宅瑕疵担保履行のための~)
[読み:しりょくかくほそち(じゅうたくかしたんぽりこうのための~)]
新築住宅を引き渡す場合に、瑕疵担保の履行を確保するために必要とされる措置をいう。特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律によって、平成21(2009)年10月1日以降の引渡しについて義務化された。
シルバーハウジング
高齢者専用の公的賃貸住宅をいう。構造・設備がバリアフリー化され、ライフサポートアドバイザー(生活援助員)による安否確認・生活相談・緊急時の対応・疾病時の一時的家事援助等の生活支援サービスが提供される。入居対象者は、自立可能な60歳以上の高齢者・障害者の世帯・単身者で、公営住宅への入居資格が通常の場合よりも緩和される。
シルバーマンション
高齢者の居住の利便性を高めた集合住宅のこと。ケアマンションともいう。空間の設計や設備が高齢者の居住に適する他、介護、給食など日常生活に対する支援サービスを伴うことが多い。分譲、賃貸の両方のタイプがある。
白色申告
[読み:しろいろしんこく]
不動産の貸し付けを行なう個人は、その不動産所得について、税務署の承認を受けて「青色申告」を行なうことができ、青色申告にはさまざまなメリットが用意されている。 しかし、所得が少ない場合には、税法上のメリットを受ける余地も少ないので、青色申告を行なわず、普通の確定申告を行なうことが多い。これを青色申告と対比するために「白色申告」と呼んでいる(確定申告書が青くないという意味である)。
白地
[読み:しろち]
公図の上で地番が付されていない国有地のことを「白地」という。白地の多くは道路であるが、中には土手や資材置場など、市町村が把握・管理していない国有地もある。このような管理されていない国有地である白地は、長年月のうちに隣接する民有地に取り込まれてしまった形となり、民間建物の敷地になっている場合も少なくない。そのため、不動産取引にあたって白地の存在が問題になる場合がある。売買の対象となる土地に白地が含まれている場合には、白地は国有地であるから、売買取引の前に、市町村に対して国有地払い下げの手続きを申請する必要があることに留意しなければならない。
真壁
[読み:しんかべ]
軸組(柱・梁など)をあらわにして、軸組の内側に下地を設け、土塗り等で仕上げたもの。伝統的な日本家屋ではよく用いられていたが、現在ではほとんど見られない。
信義則(信義誠実の原則)
[読み:しんぎそく(しんぎせいじつのげんそく)]
権利の行使および義務の履行は、信義に従い誠実に行なわなければならないとする原則をいう。この原則は、契約の趣旨を解釈する基準にもなるとされ、当事者相互が、相手方が持つであろう正当な期待に沿うように行動することを要請しているのである。
シングル葺き
[読み:しんぐるぶき]
薄い板を並べるという最も基本的な屋根の葺き方をいう。このとき板の種類が金属板であれば「金属板葺き」、スレートであれば「スレート葺き」、アスファルトシングルであれば「アスファルトシングル葺き」と呼ばれるが、いずれも「シングル葺き」の一種である。
親権者
[読み:しんけんしゃ]
親が成年に達しない子を保護し監督することを「親権」という。
申告分離課税
[読み:しんこくぶんりかぜい]
上場株式・店頭株式・上場不動産投資信託の売却益(譲渡所得)に対して、個人投資家が給与所得などのほかの所得と分離して、独自に税額を計算し、確定申告を行なって納税すること。上場株式等の売却益は、給与所得・事業所得・不動産所得とは別に、独自の「譲渡所得」として課税される仕組みになっており、これを「分離課税」という。
新住宅市街地開発事業
[読み:しんじゅうたくしがいちかいはつじぎょう]
都市計画で定められた市街地開発事業の一つで、住宅に対する需要が著しく多い地域において良好な住宅市街地の開発を目的として実施される事業をいう。宅地の造成、公共施設の整備、造成された宅地の処分などによって、住区(住宅市街地の単位で、1ha当たり80人から300人を基準として6,000人から1万人が居住することができる地区)を形成することにより、住宅地を供給する役割を担う。
新証券税制
[読み:しんしょうけんぜいせい]
平成15(2003)年1月1日以降の上場株式・店頭株式・上場不動産投資信託の譲渡益等に対して適用される所得税等の仕組みのこと。「申告分離課税への一本化」、「特定口座」、「譲渡損失の繰越控除」を主な内容としている。
浸水予測図
[読み:しんすいよそくず]
洪水や津波が起きた場合を想定して、浸水が予想される区域や想定される浸水深を示した地図をいい、公表されている。浸水想定区域図、浸水予想図などともいわれる。浸水の危険性を周知し、事前の予防策を講じるための基礎的な情報として活用されている。
申請情報(不動産登記における~)
[読み:しんせいじょうほう(ふどうさんとうきにおける~)]
不動産登記を申請するにあたって必要となる情報のこと。従来の不動産登記制度における「登記申請書」に相当する。
真正売買(不動産流動化における)
[読み:しんせいばいばい(ふどうさんりゅうどうかにおける)]
不動産の流動化において、オリジネーターからSPCへ真正に不動産が譲渡されたことをいう。不動産の譲渡には、譲渡担保など真の売買ではない場合(金融取引である)があり、そのような意図で売買された不動産に対しては、譲渡者の倒産等に際して売買が否認されることがある。つまり、オリジネーターの倒産から隔離されない。そこで、譲渡が真の売買であると判断することが必要になる。これが「真正売買」の問題といわれる。
人造大理石
[読み:じんぞうだいりせき]
天然の石に模してつくる模造の石を人造石というが、大理石を模したものが人造大理石である。モルタルの下地に白色セメント、大理石粉、顔料などを塗りつけ加圧成型した後に研磨して仕上げる。価格が安く、加工が楽であるため、カウンターの天板などに利用されることが多い。テラゾともいう。
新耐震基準
[読み:しんたいしんきじゅん]
建築物の設計において適用される地震に耐えることのできる構造の基準で、昭和56(1981)年6月1日以降の建築確認において適用されている基準をいう。
信託
[読み:しんたく]
財産権の移転その他の処分をなし、他人をして一定の目的に従いその財産の管理または処分をなさしめることをいう。契約または遺言により自由に設定できる。ただし、信託を営利事業として営む場合にはさまざまな規制がある。
信託受益権
[読み:しんたくじゅえきけん]
信託において、信託財産から得られる利益を受け取る権利をいう。その権利の内容は、信託契約等において個別に定められる。
新築住宅の建設住宅性能評価書
[読み:しんちくじゅうたくのけんせつじゅうたくせいのうひょうかしょ]
登録住宅性能評価機関が、実際に住宅を検査することにより作成した住宅性能評価書を「建設住宅性能評価書」という(住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)第6条、同施行規則第5条)。この建設住宅性能評価書には、新築住宅に関するものと既存住宅に関するものという2種類があるが、そのうち新築住宅に関する建設住宅性能評価書はおよそ次の手順により作成される。
新中間省略登記
[読み:しんちゅうかんしょうりゃくとうき]
合法性が高いとされる手法によって行なわれる中間省略登記をいう。従来の中間省略登記は、権利が移転する実態を反映していないという問題があり(「中間省略登記」を参照)、また、不動産登記法の改正で手続上それが困難となった。そこで、合法的に中間省略登記を行なう手法が工夫された。その手法によって行なわれるのが新中間省略登記である。
新都市基盤整備事業
[読み:しんとしきばんせいびじぎょう]
都市計画に定める市街地整備事業の一つで、大都市圏の周辺に新都市を建設することを目的に実施される事業をいう。都市の基盤となる根幹公共施設用地、開発を誘導する地区用地などを整備し、1ha当たり100人から300人を基準として5万人以上が居住できる規模の新都市の基盤を形成する役割を担う。 その背景には、大都市圏へ著しく人口が集中することに対応する必要があったとされている。
新都市基盤整備法
[読み:しんとしきばんせいびほう]
新都市基盤整備事業の施行に必要な事項などを定めた法律。1972(昭和47)年制定。この法律の目的は、人口集中の著しい大都市の周辺に新都市を建設する基盤を整備して、大都市における人口集中と宅地需給の緩和に資するとともに大都市圏の秩序ある発展に寄与することとされている。そして、そのための事業手法として新都市基盤整備事業を創設した。
心裡留保
[読み:しんりりゅうほ]
本人の真意とは異なる内容を、本人が外部に表示することをいう。例えば、ある品物を買う意思がまったくないのに、冗談で「その品物を買います」と店員に言う行為が、この心裡留保に該当する。心裡留保とは「真意を心のうちに留めて置く」という意味である。
心裡留保における第三者保護
[読み:しんりりゅうほにおけるだいさんしゃほご]
心裡留保による意思表示において、相手方が本人の真意を知っていたとき(または真意を知るべきであったとき)には、意思表示は無効となる(民法第93条但書)。この場合において、それにより不測の損害を被る第三者を保護する規定は民法には存在しない。
水害保険
[読み:すいがいほけん]
洪水、高潮、土砂崩れなどの水害による被災損失に対して補償する損害保険。火災保険の補償対象に含める形で設定されていて、例えば、「住宅総合保険」「オールリスクタイプの火災保険」などは水害も補償対象となっているが、「住宅火災保険」には水害に対する補償はない。保険補償額は、全損であっても保険金額の7割を限度とし、床上浸水による一部損ではその被害の状況に応じて支払限度額が定められているのが一般的である。
なお、マンションの上層階では一般に水害保険は不要であるし、浸水が予想される地域では水害リスクが高いなど、保険の加入について選択が働きやすいこと、洪水等がいったん起きれば広い範囲で被災することから、水害保険の設計には難しい要素を伴うとされている。
水源地域の保全
[読み:すいげんちいきのほぜん]
水資源や水源地の森林を保全するために、水源地域の土地取引等について規制・誘導する政策をいい、北海道および一部の県ではその推進のための条例が制定されている。
水源地域の保全を図るための条例には、所有者等による適切な土地の管理を確保するべく、保全すべき水源地域の指定、指定した地域内の土地に関する権利の移転等の事前届出、届出のあった権利移転等に対する助言、届出違反に対しての勧告・公表などが規定されている。
水質汚濁防止法
[読み:すいしつおだくぼうしほう]
公共用水域(河川・湖沼・沿岸等)および地下水の水質汚染を防止するために、昭和45年に制定された法律のこと。特に、平成元年に地下水に関する規定が追加されて以降は、この法律が地下水汚染に関して中心的な役割を担っている。
水道
人の飲用に適する水を供給する施設の総称で、取水施設、貯水施設、浄水施設、配水施設などから構成される。下水道に対して、上水道といわれることもある。
数量指示売買
[読み:すうりょうしじばいばい]
数量を基礎にして価格が決定されている売買のこと。
数量の不足または物の一部滅失の場合における売り主の担保責任
[読み:すうりょうのふそくまたはもののいちぶめっしつのばあいにおけるうりぬしのたんぽせきにん]
民法第565条の規定により売買契約における売主が負うべき無過失責任のこと。
スキップフロア
1.勾配のある土地、または住宅の一部を地下とする場合等で、建築物の室内において、半階ずらした床を設け、空間に変化を付ける空間構成手法。室内に段差が生じるため、バリアフリーには適さない。
2.集合住宅において、1または2階おきに廊下を設け、エレベーターは廊下のある階にだけ停止し、その上下階の住戸へは階段を利用するようにした型式。廊下のない階ではプライバシーが確保でき、通風も良い。また、エレベーターの停止階が少ない分だけ、その分のエレベーターホールが不要、通路面積も小さくできるといった利点もある。
スキップ方式(マンション)
マンションの形式のひとつで、エレベータを複数階ごとに停止させる構造としたものをいう。停止しない階にはエレベータホールが不要となり、建物スペースを有効に活用することができるとされる。
数寄屋造り
[読み:すきやづくり]
日本の建物様式のひとつで、茶室に倣った建物として発達し、竹、丸太、土壁などを多用し、格式を排した自由なデザインが特徴である。室内に洗練された装飾が施されることもある。江戸時代以降、住宅としても建築されるようになった。
スケルトン・インフィル
スケルトンとは骨組ともいえる躯体や共用設備、インフィルは、住戸専有部分の内装・間仕切りや設備。これらを分離させることで、耐久性と可変性が得られる。略してSI(エス・アイ)ともいう。また、集合住宅において、インフィル部分を入居者の要望により間取りや使用を自由に構成する方式をスケルトン方式という。
集合住宅において、入居者の要望により各住戸の間取りや仕様を構成する方式の住宅。集合住宅においても、生活様式の多様化に対応した注文住宅を実現できるように考えられた手法。スケルトン(骨組ともいえる躯体や共用設備)とインフィル(住戸専有部分の内装・間仕切りや設備)が分離することにより、耐久性と可変性が得られる。
筋かい
[読み:すじかい]
軸組の垂直面において、垂直材(柱)と水平材(胴差し・土台など)を対角線に沿って斜めにつなぐ材のこと。筋かいを入れることによって、軸組が水平方向の力に対抗できるようになり、構造強度が増す。建築基準法施行令第45条では、筋かいの基準を設けるとともに、筋かいと柱・土台等を「金物」で緊結することを義務付けている。
なお、平成12年6月1日に施行された建設省(現国土交通省)告示第1460号により、筋かい端部における仕口(筋かいと柱・土台等との接合部のこと)の接合方法が具体的に厳しく規定された。この結果現在では、筋かい端部の接合部においては、事実上、Zマーク金物(またはそれと同等以上の性能を有する金物)の使用が義務付けられている。
スタッコ仕上げ
[読み:すたっこしあげ]
大理石に似た表面仕上げを得るために、セメントモルタルを5~10mm程度吹き付けたり、塗り付けた後、コテやローラーで凹凸に模様を付ける仕上げ。本来は消石灰に大理石粉、粘土粉を混入した左官材料で仕上げるが、最近はセメントモルタルで大きな粗面とすることが多い。
スパン
柱の間隔をいうが、住宅の広告で使われるときには、南向きの窓がある一辺の間取りをいうことが多い。広いスパンの間取りを「ワイドスパン」といい、日当たりや通風の良さをアピールする言葉として使われる。その基準は決まっていないが、4間(約7m)を超えたスパンであれば、通常より広いスパンであると考えて差し支えない。
スプリンクラー
「自動散水消化器」ともいわれる消火設備の一つ。天井面に配置された散水口(スプリンクラーヘッド)と送水管より成り、火災時の熱によって散水口の可溶片が溶け、水が自動的に散水される。感知する温度を設定することができるので、厨房等でも設置することが可能である。連結される送水管は、常時水を満たしている湿式と圧縮空気による乾式とがあり、湿式の方が一般的である。
スマートグリッド
電力需給を最適化する機能を備えた電力網をいう。供給される電力の質や量は、水力、風力、太陽光、火力、燃料電池など発電形態によって異なり、電力の需要も、動力、照明、熱源など電気機器の性質によってさまざまに異なる。電力網は両者を結合し包含するが、情報通信技術を活用してこの電力網を制御することによって、ロスが少なく、安定した電力需給関係を形成・維持できるとされる。
スマートシティ
高度なICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)や環境技術などを使って、環境負荷、エネルギー、交通などを最適に制御するシステムを備えた都市をいう。あるいは、小さな環境負荷の下で都市機能・都市生活を展開することができる都市をいうこともある。
スマートシティ・スマートコミュニティ
エネルギー効率が高く、地球環境への負荷が小さい都市(スマートシティ)または地域社会(スマートコミュニティ)のことで、IT技術、再生エネルギー技術などを開発し、それらを都市または地域社会を単位にして高度に連携・統合して活用することに特徴がある。
スマートハウス
家庭でのエネルギー消費を最適に制御するシステムを備えた住宅をいう。ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)によって家電、空調給湯設備、太陽光発電、蓄電池、電気自動車などを一元的に管理・制御し、エネルギー消費を最適化することができるとされる。
すまい給付金
一定の住宅を取得する者に対して政府が給付する金銭をいう。平成26(2014)年4月の消費税率の引き上げに際して創設された制度である。
スラブ
本来は英語で「石板」のこと。建築用語では、鉄筋コンクリート構造における床板のことを「スラブ」という。鉄筋コンクリート構造では、スラブは大梁や小梁と一体化して成型される。
スリーブ
設備工事で配管の継手に用いられる筒型の部品。また、コンクリートの壁、床、梁などを貫通する設備の配管類のためにあらかじめ埋め込んでおく筒状の金属管のことをいう。
スレート葺き
[読み:すれーとぶき]
屋根の仕上げ方法の一つで、粘板岩(slate、スレート)を板状に加工したもの、または、それに類似する板状の素材で屋根を覆うことをいう。材料としては、天然の粘板岩のほか、石綿スレート(セメントを主体に石綿を混ぜたもの)等が使われている。
スロープ
一般には傾斜を表し、建築学上では「斜路」をいう。廊下や通路の高低差は普通階段で処理するが、身体障害者が車椅子等で通行できるよう傾斜で処理する。不特定多数が利用する公共施設やホテル、ビルなどにはハートビル法等でスロープの設置が義務付けられている。
スロップシンク
床掃除のモップ・雑巾などを洗うため、また掃除で使った汚水を流すための深型の流し。主にバルコニーや便所、湯沸し室に設置される。「掃除用流し」ともいう。
生活支援ハウス
[読み:せいかつしえんはうす]
主に自治体が運営する、健康自立型の高齢者向け福祉施設。独立して生活することに不安のある高齢者に対して、住まい、生活相談や緊急時の対応、娯楽や地域住民との交流などのサービスを提供する。老人福祉法では、在宅福祉施設の位置付け。もともとは、過疎対策の一環で離島や山間部などに整備されていたが、1998年に立地制限が撤廃され、全国で供給されるようになった。
制限能力者
[読み:せいげんのうりょくしゃ]
行為能力を欠くために、単独で行なった法律行為を事後的に取り消すことが可能とされている者のこと。具体的には、未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人が制限能力者である。制限能力者は、その保護者(法定代理人、成年後見人、保佐人、補助人)の同意がない場合には、有効に法律行為を行なうことができないとされている(同意を得ない法律行為は事後的に取り消すことが可能である)。
制限能力者の相手方の催告権
[読み:せいげんのうりょくしゃのあいてがたのさいこくけん]
制限能力者と契約等をした相手方は、制限能力者またはその法定代理人・保佐人・補助人が、その契約等を取り消すかもしれないという不安定な立場に置かれる。そこで民法第19条では、制限能力者と契約等をした相手方から、その法定代理人・保佐人・補助人等に対して、1ヵ月以上の期間内に、その契約等を追認するか否かを返答するように催告することができると定めた。
制限能力者の詐術
[読み:せいげんのうりょくしゃのさじゅつ]
制限能力者が詐術(さじゅつ)を用いて、契約等の相手方に対して、自分が制限能力者ではないと誤信させたような場合には、制限能力者(およびその法定代理人・保佐人・補助人)は、その契約等を取り消すことができなくなる(民法第20条)。これはそのような悪意のある制限能力者はもはや保護に値せず、誤信した相手方の取引の安全を保護すべきであるという趣旨である。
清算金
[読み:せいさんきん]
土地区画整理事業において、換地計画によって金銭により清算すると定められた場合のその金銭をいう。清算金が定められるのは、同意による換地の不交付や技術的な事情によって換地等に不均衡が生ずると認められる場合で、その金額は、従前の宅地等および換地等の、位置、地積、土質、水利、利用状況、環境等を総合的に考慮して決定される。
生産緑地
[読み:せいさんりょくち]
市街化区域内にある農地や山林で、都市計画によって指定された生産緑地地区内のものをいう。
制震構造
[読み:せいしんこうぞう]
地震による建物被害を防止・軽減するための方法の一つで、地震によって生じる振動を吸収する建物構造をいう。 例えば、振り子などの慣性力で地震動を吸収する、地震動に応じて外部から力を加えて振動を押さえる、緩衝装置によって建物部材の変型を軽減するなどの方法を取り入れた建物構造はこれに該当する。主として、超高層の建物において採用されている。
制震(振)システム
[読み:せいしんしすてむ]
地震の揺れをおもりや水槽などの装置で制御すること。制震システムにはパッシブとアクティブがある。まずパッシブタイプの制振システムは、タワーや超高層ビル、マンションの最上階に水槽やおもりを載せて、地震や強風により発生する振動エネルギーを水槽やおもりで共振させることによって揺れを止めるもの。これに対してアクティブタイプの共振システムは、タワーや超高層ビル、マンションの最上階に設置されたおもりをコンピュータ制御で移動させ、揺れを吸収する。
生石灰
[読み:せいせっかい]
石灰石を高温で焼いて作られる白色の物質。主成分は酸化カルシウム(CaO)である。なお石灰は英語で「lime」(ライム)という。
生前贈与
[読み:せいぜんぞうよ]
存命中に自分の財産を他人に与えることであるが、通常は、相続の前倒しとして行なう贈与をいう。
正当事由
[読み:せいとうじゆう]
土地・建物の賃貸借契約において、賃貸人が契約の更新を拒絶したり、解約の申し入れをする際に必要とされる「事由」をいう。一般的に、賃貸借契約は、期間の満了や解約の申し入れによって特段の理由を必要とせずに終了するが、土地・建物の賃貸借については、賃借人保護のために、更新拒絶等に当たって「正当事由」を要するとされているのである。
成年
満20歳に達したことを成年という。
成年擬制
[読み:せいねんぎせい]
民法第753条では、満20歳に満たない者が、結婚をすることにより、成年に達したものとみなすとしている。このように、婚姻により成年とみなすことを「成年擬制」という。
成年後見人
[読み:せいねんこうけんにん]
成年被後見人を保護するために、家庭裁判所が職権で選任する後見人のこと(民法843条)。成年被後見人の財産を管理し、法律行為について成年被後見人を代理する権限を持つ(民法859条)。
成年被後見人
[読み:せいねんひこうけんにん]
精神上の障害があるために、後見人を付けられた者のこと。
政府系ファンド
[読み:せいふけいふぁんど]
政府が資金を出資して投資活動を行なうための組織をいう。ソブリン・ウエルス・ファンド(Sovereign Wealth Fund、SWF)ともいわれる。
石綿
[読み:せきめん]
蛇紋石・角閃石など繊維状ケイ酸塩鉱物の総称。英名アスベスト(Asbestos)。
石灰石
[読み:せっかいせき]
炭酸カルシウム(CaCO3 )を主成分とする天然鉱石のこと。石灰は英語で「lime」(ライム)という。
設計住宅性能評価書
[読み:せっけいじゅうたくせいのうひょうかしょ]
登録住宅性能評価機関が設計図等にもとづいて作成した住宅性能評価書を「設計住宅性能評価書」という(住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)第6条、同法施行規則第3条)。住宅品質確保法では、設計住宅性能評価書を交付された新築住宅については、設計住宅性能評価書に記載された住宅の性能が、そのまま請負契約や売買契約の契約内容になる場合があると規定しており、この規定により注文者保護・買主保護が図られている。
設計図書
[読み:せっけいとしょ]
建物を施工するために必要な図面その他の書類の総称。建築士法では建築物や工作物だけでなく敷地を含めた工事実施のために必要な図面と仕様書、と規定されている。実際には、施工段階で設計変更、仕様変更、追加工事等が生じることが多いために、竣工図という最新の設計内容を記録した設計図書がある。これらは、経年に伴う改修・改築等の際に必要なものであるため、建築主は必ず保管しておく必要がある。
石膏
[読み:せっこう]
硫酸カルシウム(CaSO4)を主成分とする物質のこと。二水石膏(CaSO4・2H20)、半水石膏(CaSO4・1/2H20)、無水石膏(CaSO4)の3種類がある。二水石膏を焼成すると半水石膏となる。このため半水石膏を「焼石膏」ともいう。この焼石膏に水を加えて練ると、流動性の液体となるが、この液体は数分から数十分で再び二水石膏となり固体化する。このような性質があるため、石膏は左官材料等として多用されてきた。
石膏プラスター
[読み:せっこうぷらすたー]
石膏(焼石膏)に水、砂などを混ぜ合わせたものを「石膏プラスター」という。左官材料などに用いる。また、石膏(焼石膏)、消石灰、水、砂などを混ぜ合わせたものは「混合石膏プラスター」という。
石膏ボード
[読み:せっこうぼーど]
石膏を心材とし、両面をボード用原紙で被覆した板のこと。施工が簡単で、温度・湿度による変化が非常に少ないことから、壁材、天井材(あるいは壁・天井の下地材)として多用されている。
絶対高さの制限
[読み:ぜったいたかさのせいげん]
第一種・第二種低層住居専用地域では、住環境を良くするために、建築物の高さが10mまたは12m以下に制限されている。これを「絶対高さの制限」と呼んでいる(建築基準法55条)。この絶対高さの制限が「10m以下」と「12m以下」とのどちらになるかは、都市計画で規定される。なお、この絶対高さの制限には例外がある。建築審査会が同意して特定行政庁が許可した場合には、絶対高さの制限を上回る高さの建築物を建築することができる。
接道義務
[読み:せつどうぎむ]
建築基準法第43条の規定によれば、建築物の敷地は原則として、建築基準法上の道路と2m以上の長さで接しなければならない。これは消防活動などに支障をきたすことがないように定められたものである。この義務のことを「接道義務」と呼んでいる。
セットバック
1. 建物の上部を下部よりも後退させること。
2. 2項道路(建築基準法第42条第2項の規定により道路であるものとみなされた幅4m未満の道のこと)に面する土地では、次の1)または2)の範囲に建物を建築することができない。
1)その道路の中心線から水平距離2mの範囲2)その道路の片側が崖地、川、線路等である場合には、その崖地等の側の道路境界線から水平距離4mの範囲
つまり、2項道路はその幅が4m未満であり、そのままでは防火等の面で十分な道の幅を確保することができないので、2項道路を含めて4mの範囲内には、建築物や塀などを造ることを禁止し、4mの空間を確保しようという趣旨である。その結果、2項道路に面する土地では、自分の土地でありながら、一定の部分には建築をすることができないこととなる。これを不動産業界ではセットバックと呼んでいる(セットバックとは英語で「後退」という意味である)。
Zマーク金物
[読み:ぜっとまーくかなもの]
金物とは、建築材の接合部を結合し、補強するために取り付ける部品である。Zマーク金物とは、「財団法人日本住宅・木材技術センター」が承認または同等認定する高品質な金物のことである。筋かいの端部の接合部などにおいては、「建設省告示第1460号」(平成12年6月1日施行)によって、Zマーク金物(またはそれと同等以上の性能を有する金物)を使用することが事実上義務付けられている。
セメント
本来は、水と練り混ぜることにより、時間の経過とともに硬化する物質をすべてセメントと呼ぶ。建築工事では通常、ポルトランドセメントのことを「セメント」と呼んでいる。ポルトランドセメントとは、石灰、粘土、石膏から作られる粉末状の物質である。
ゼロエミッション住宅
環境負荷を極力小さくするように設計された住宅をいう。厳密な定義はないが、住宅に関して、エネルギー源、エネルギー消費、施工材料・施工法などを工夫することにより、二酸化炭素の排出や廃棄物量を抑制する。
善意・悪意
[読み:ぜんい・あくい]
私法上の概念で、ある事情を知らないことを「善意」、知っていることを「悪意」という。私的な法律関係においては、善意であるか悪意であるかによって、法律効果が異なる場合が数多くある。
善管注意義務
[読み:ぜんかんちゅういぎむ]
取引上において一般的・客観的に要求される程度の注意をしなければならないという注意義務のこと。すべての取引においてこの注意義務が要求されるものではなく、この注意義務が要求される取引の種類は限られている。
専従者控除
[読み:せんじゅうしゃこうじょ]
不動産所得がある個人が白色申告を行なっている場合、一定の要件を満たす家族従業員について「専従者控除」を受けることができる。専従者控除額は、配偶者について86万円、その他の家族ならば1名につき50万円である。ただしこの場合、不動産貸付業が「事業的規模」に達していることが必要である。
専属専任媒介契約
[読み:せんぞくせんにんばいかいけいやく]
宅地または建物の売買または交換の媒介の契約(媒介契約)のうち、専任媒介契約であって、かつ依頼者は、依頼した宅地建物取引業者が探索した相手方以外の者と売買等の契約を締結することができない旨の特約が付いた契約をいう。つまり、依頼者は取引の相手方を自分で発見しても、媒介を依頼した宅地建物取引業者の媒介なしには契約できないことになる。
センターコア方式
集合住宅やビルなどの設備部分を一ヵ所に集中させる方式のこと。給排水、冷暖房空調、エレベーターなどの設備部分を集中させることにより、メンテナンス、室内デザイン、躯体構造など機能面、構造面を合理化できるメリットがある。住戸単位ではキッチン、浴室、トイレなどの水回り設備を中心部にまとめることにより、他の部屋の独立性を高めることができる。
全体計画
[読み:ぜんたいけいかく]
マスタープランと呼ぶのが一般的で、都市計画、事業計画などの方針や目標を明確にする図書等をいう。
そのあり方は多様で、例えば都市計画のマスタープランは、住民が将来のおおまかな都市像を頭に描きつつ、個々の都市計画が将来の都市全体の姿の中でどこに位置付けられ、どのような役割を果たしているかを理解できるようなものでなければならないとされる。あるいは、不動産開発事業のマスタープランは、事業区域や事業規模、事業方式、土地利用や主要建物の計画、事業の収支見通し、スケジュールなどを内容とし、事業の全体像を明確に示す役割を担う。
マスタープランは、開発計画などに比べて事業の方針や目標に重点が置かれ、その内容に弾力性があることが多い。
洗濯機パン
[読み:せんたくきぱん]
洗濯機を置くための皿状の台のこと。防水パンともいう。
専任媒介契約
[読み:せんにんばいかいけいやく]
宅地または建物の売買または交換の媒介の契約(媒介契約)であって、媒介の依頼者が他の宅地建物取引業者に重ねて売買または交換の媒介または代理を依頼することを禁ずる媒介契約をいう。この契約の有効期間は、3月を超えることができないとされている(契約期間の更新は可能)。専任媒介契約を締結した場合には、宅地建物取引業者は、契約の相手方を探索するため、7日以内に、媒介の目的物に関する事項を指定流通機構に登録しなければならないとされている。
線引き
[読み:んびき]
一つの都市計画区域を、市街化区域と市街化調整区域とに区分すること。都市計画法上では「区域区分」と呼んでいる。
全部事項証明書
[読み:ぜんぶじこうしょうめいしょ]
不動産登記簿に記載されている総ての内容を表示し、それが真正であることを証明する書面。登記簿が登記用紙によって調整されていたときの登記簿謄本と同じである。誰でも登記所に申請して交付を受けることができる(オンラインで申請することも可能)。全部事項証明書には過去の履歴(所有権の移転、抵当権の設定・抹消など)も含めた記載内容が総て表示されている。
なお、登記簿の記載内容を表示する書面には、全部事項証明書のほか、現在有効である内容のみを表示し証明する「現在事項証明書」、内容の表示のみで証明を欠く「登記事項要約書」などがある。
前面道路
[読み:ぜんめんどうろ]
敷地に面した道路をいう。敷地が複数の道路に面する場合には、通常、接する距離が長いほうの道路を指す。
占有
[読み:せんゆう]
自分が利益を受ける意思によって物を現実に支配している事実・状態をいう。そして、占有によって「占有権」という法律上の権利が認められる。占有権は、物権の一つとされている。占有権の法的な効果は、占有の形態などによって若干異なるが、一定の要件のもとでは、取得時効(占有の継続によって所有権を得る)、即時取得(占有されている動産を取引行為によって取得できる、不動産についてはこのような効果がないことに注意)、占有責任(不法行為などについて責任を負う)などが認められ、あるいは負わされる。
占有権
[読み:せんゆうけん]
占有権とは、物を支配する権利のことである(民法第180条)。土地の所有者は、その土地を所持しているので、占有権を有している。また土地の賃借人は、その土地を使用する権限があるので、やはり占有権を有している。
そうすると占有権という権利を考えなくても、所有権や土地賃借権だけに着目すればよいようにも考えられるが、あえて占有権という権利を想定するにはそれなりの理由がある。例えば、ある人が土地を現実に支配し利用しているが、他の人がその土地の真実の所有者であると主張したような場合には、土地を現実に支配している人はまったくの無権利者である可能性があることになる。こうした場合には、法律上、現実に支配している人をとりあえず保護することが必要となるので、現実に支配している人に「占有権」という権利があると考えるのである。
もちろん、民事裁判によって土地を現実に支配している人が無権利者であることが確定すれば、占有権は最終的には失われることになるが、裁判が確定するまでの間は占有権によって事実状態が保護されることになるのである。なお、真実の権利者が長期間にわたって権利を主張せず、無権利者の占有状態が長期間継続した場合には、無権利者が土地の所有権を取得することが認められている。この制度を「所有権の取得時効」という。
専有部分
[読み:せんゆうぶぶん]
分譲マンションなどの区分所有建物において、それぞれの区分所有者が単独で所有している建物の部分のことを「専有部分」と呼ぶ(区分所有法第1条・第2条)。分譲マンションの場合でいえば、各住戸の内部が「専有部分」に該当する。この反対に、区分所有建物において区分所有者が全員で共有している部分は「共用部分」と呼ばれる。
専有面積
[読み:せんゆうめんせき]
分譲マンションなどの区分所有建物において、それぞれの区分所有者が単独で所有している建物の部分のことを「専有部分」と呼ぶ(区分所有法第1条・第2条)。この専有部分の床面積が「専有面積」である。
従って、専有面積とは「区分所有者が単独で所有している専有部分の床面積」のことであり、具体的には各住戸の内部空間の床面積を指している。分譲マンションの販売広告では一般的に「専有面積60平方メートル、他にバルコニー5平方メートル」のように床面積を表示していることが多い。バルコニーは専有面積から除外される扱いとなるが、これはバルコニーは一見それぞれの住戸に付属しているように見えるが、法律的にはバルコニーは「共用部分」とされているからである。
なお区分所有建物の場合、専有面積には「内法」と「壁心」という2種類の計算方法が存在し、両者の計算方法による専有面積の大きさは異なったものとなるので注意したい。
専有面積の広告表示
[読み:せんゆうめんせきのこうこくひょうじ]
分譲マンションなどの区分所有建物の専有面積には2とおりの計算方法が存在している。1つは、壁の厚みを考慮せず、壁の内側の部分の面積だけを床面積とする計算方法である(これを「内法(うちのり)」という)。もう1つは、壁の厚みも加えて床面積を計算する方法である(これを「壁心(かべしん・へきしん)」という)。建築基準法にもとづいて建築確認を申請する際には、建物の床面積は上記の「壁心」の考え方で計算する(建築基準法施行令2条1項3号)。
しかし不動産登記法にもとづいて区分所有建物を登記する場合には、上記の「内法」の考え方で床面積を計算することとされている(不動産登記法施行令第8条)。
占有屋
[読み:せんゆうや]
担保不動産が競売に付される際に不動産を占有し、担保価値を損なったり、競売を妨害して高額な立退料を要求する者をいう。虚偽の賃貸借契約などによるケースが多く、権利なき占有は違法であるが、その排除には訴訟その他の労力を要する。
なお、抵当権の登記後なされた短期間賃借(住宅は3年間)を抵当権者から保護するための制度(短期賃貸借の保護の規定)があってこれを占有屋が悪用することが多かったため、2003年にその規定が廃止され(短期賃貸借保護制度の廃止参照)、代わりに、競売前からの占有者は競売落札時から6ヵ月に限って引渡しを要しないという規定(落札後の賃料を支払わないときには適用されない)が設けられた。また、占有屋を排除する手続きを簡便にするため、占有者不明のまま明渡し命令をなすことも可能となった。
専用使用権
[読み:せんようしようけん]
区分所有建物における共用部分は、本来、各区分所有者が、通常の用法に従ってそれぞれ自由に使用することができる。敷地についても同様である。しかし、次のいずれかの場合には、共用部分や敷地の使用を、特定の区分所有者または第三者だけに限定することが可能とされている。
専用庭
[読み:せんようにわ]
分譲マンションにおいて敷地に設けられた庭やテラスであって、1階部分の区分所有者が排他的に使用できるもののこと。1階部分の区分所有者のために専用使用権が設定されていることが多い。
ソーラーチムニー
煙突内に上昇気流を発生させ、それを利用して発電する装置をいう。Solar updraft towerともいわれる。太陽光によって高温となった空気を煙突内に導いて上昇させ、その気流でタービンを回すことによって発電する。風力発電の一種と考えてよい。なお、発電に使うのではなく、太陽光で煙突内に上昇気流を発生させ、それによって効率的に自然換気する装置をソーラーチムニーと呼ぶ場合もある。この場合には空調設備の一種となる。
ソーラー発電システム
屋根の上になどに設置した集光板で太陽の光エネルギーを集め、電力を発生させるシステムのこと。CO2(二酸化炭素)を発生させない、環境問題に対応したエネルギー源であると同時に、省エネにもつながるとして、近年このシステムを採用するケースが増えている。また、自宅で発電した電気を電力会社に売る売電システムもあり、今後設置費用がより廉価になれば、飛躍的に普及することが期待されている。
増価競売
[読み:ぞうかけいばい・ぞうかきょうばい]
抵当権が付着している不動産を、抵当権が付着した状態のままで取得した者(第三取得者という)は、いつ債権者の意向により任意競売(抵当権の実行)にかけられるかわからないという不安定な状態に置かれてしまう。そこで民法改正(2004年4月1日)より以前の旧民法第378条では「滌除(てきじょ)」という制度を設けていた。
この「滌除」では、第三取得者が自ら適当と認める金額を債権者に呈示して、債権者がそれを承諾すれば抵当権が消滅するが、債権が承諾しないときには債権者は必ず一定の金額以上で抵当不動産を任意競売にかけなければならないとされていた。この一定の金額以上での債権者による任意競売のことを「増価競売」という。
総合設計制度
[読み:そうごうせっけいせいど]
建築物の敷地に「公開空地」(一般公衆が自由に出入りできる空地)を設ける開発者に対して、特定行政庁の許可により容積率等を緩和するという制度である。正式名称は「敷地内に広い空地を有する建築物の容積率等の特例」である(建築基準法第59条の2)。
総合設計制度とは、建築物の敷地に一定以上の広さの「公開空地」を設ける場合において、容積率および各種の高さ制限(道路高さ制限・隣地高さ制限・北側高さ制限・絶対高さの制限)が特定行政庁の許可の範囲内において緩和されるという制度である。容積率および各種の高さ制限を緩和するためには、特定行政庁が建築審査会の同意を得て、許可をすることが必要とされている(建築基準法第59条の2)。
特定行政庁が許可を与える基準や、容積率および各種の高さ制限を緩和する範囲については、各地方自治体が「総合設計制度許可要綱」を制定し、自治体ごとに独自の判断基準が設けられている。また国では、自治体の総合設計制度許可要綱について一定のガイドラインを設けている(昭和61年12月27日付建設省住街発第94号、平成7年7月17日付建設省住街発第72号、平成9年6月13日付建設省住街発第75号)。
なお建築基準法では、特定行政庁の許可を受けるためには、公開空地の面積を都市計画で定められた建ぺい率による空地面積と同じかそれ以上としなければならないと規定し、また敷地面積の最低基準も定めている(建築基準法施行令第136条第1項・第3項)。
総合特別区域
[読み:そうごうとくべつくいき]
区域を指定して規制・制度の特例や税制・財政・金融措置を総合的に適用する制度、またはその制度によって指定された区域をいう。この制度は、実現可能性のある区域を限定し、そこに国と地域の政策資源を集中して、規制・制度の特例と税制・財政・金融上の支援を総合的に実施することによって包括的・戦略的な政策課題の設定・解決を図ることが目的とされる。
相殺
[読み:そうさい]
2人の者が互いに相手に対して同種の債権を持っているとき、相手方への意思表示によってその債務を対当額で消滅させることをいう。一方の財産状態が悪化した場合に、相殺の意思表示によって確実に債権を回収できる(自らの債務の範囲ではあるが)から、債権担保の機能も果たすとされる。
相殺ができるのは、1.同種の債権が債権者・債務者の間に相対立して存在し、2.双方の債権がともに弁済期にある(実際には、相殺しようとする者がその債務について期限の利益を放棄すれば、債権と弁済期を同じにできる)状態にある場合で、そのような状態にあることを「相殺適状」という。意思表示をすれば、双方の債務は相殺適状の時に遡って対当額で消滅する。ただし、相殺禁止の特約があるときなど一定の場合には、相殺が許されない。
造作
[読み:ぞうさく]
建物の内部を構成する部材や設備をいう。部材としては建具、畳、床、鴨居など、設備としては水道設備、空調設備などがこれに当たる。詳しくは「造作買取請求権」を参照。なお、建築することをいう場合(「造作する」というような使い方)もあることに注意が必要である。
造作買取請求権
[読み:ぞうさくかいとりせいきゅうけん]
借家契約の終了の際、借家人が建物に付加した造作を家主に時価で買い取らせることのできる権利をいう。造作とは、畳、建具、電気・水道施設などをいい、その付加について家主の同意を得ていることが必要である。
民法の原則では、賃貸借契約の終了時には賃借人が付加した造作を収去しなければならないとされているが、造作買取請求権は、借家契約における例外規定である。ただし、造作の買取り義務を負わないよう契約上特約することができる(任意規定である)。なお、造作買取請求が正当で有効である場合に、家主が代金を支払わない間は、同時履行の抗弁権(双務契約において相手方が債務を履行するまでは自分の債務を履行しないと主張する権利)によって、家屋の明渡しを拒絶される恐れがある。
造成宅地防災区域
[読み:ぞうせいたくちぼうさいくいき]
造成された一団の宅地のうち、地震等によって地盤の滑動などの災害が発生する恐れが大きいとして指定される区域をいう。その指定要件、手続きなどは、宅地造成等規制法で定められている。
造成宅地防災区域内の造成宅地の所有者等は、災害防止のための擁壁等を設置するなどの責務を負うほか、都道府県知事等が、所有者等に対して、災害の防止のため必要な措置を講じるよう勧告や改善命令を行なうことがある。なお、宅地建物取引業務における重要事項説明に際しては、取引する宅地建物が造成宅地防災区域にあるときには、その旨を説明しなければならない。
相続
[読み:そうぞく]
死者の有した財産上の一切の権利義務を、特定の者が包括的に承継することをいう。相続は、死亡のみによって、意思表示を要せず一方的に開始される。ただし、遺言により相続の財産処分について生前に意思を明らかにし、相続に反映させることができるが、この場合には、遺留分の制約がある。
財産の継承者(相続人)は、1.子・直系尊属・兄弟姉妹がこの順で先順位の者が(同順位者が複数あるときには共同して均等に)、2.配偶者は1.の者と同順位で常に、その地位を得る。子・兄弟姉妹の相続開始前の死亡や相続欠格等の場合には、その者の子が代わって相続人となる(代襲相続)。また、相続人は、相続の開始を知ったときから3ヵ月以内に、相続の承認、限定承認、相続放棄のいずれかの意思表示が必要である(意思表示がないときには相続の承認とみなされる)。
遺言の指定がないときの相続分(法定相続分)は、1)配偶者と子のときには、配偶者2分の1、子2分の1、2)配偶者と直系尊属のときには、配偶者3分の2、直系尊属3分の1、3)配偶者と兄弟姉妹のときは、配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1である。なお、法定相続分は遺言がない場合の共同相続人の権利義務継承の割合を定めたもので、遺産分割は相続人の協議等によってこれと異なる割合で行なうことができる。
相続時精算課税制度
[読み:そうぞくじせいさんかぜいせいど]
贈与税の納税方法で、贈与時に贈与財産に対する贈与税を納め、その贈与者が亡くなった時にその贈与税と相続財産に課す相続税とを通算する制度をいう。贈与税の算定は暦年ごとに行なうのが通例であるが(暦年課税)、その特例である。
相続時精算課税制度の適用を受けるためには、親族関係や年齢に関する一定の要件を満たすこと、同制度を選択する旨申告することが必要である。贈与税額は、暦年課税では累進的な税率によって算定されるが、相続時精算課税制度を選択すると一律の税率で課税される。また、贈与税と相続税の精算は、相続時に、生前に贈与された財産の価額と相続財産の価額とを合計し、それを基に計算した相続税額から既に納めた贈与税相当額を控除する方法によって行なう(超過分は還付される)。これによって、生前贈与による資産移転が促進されると考えられている。
相続税
[読み:そうぞくぜい]
相続や遺贈によって取得した財産に対して賦課される税をいう。この場合の財産には、相続時精算課税制度の適用を受けて贈与により取得した財産を含む。納税義務者は財産を取得した者であるが、税額の算定に際しては各種控除などが適用されるので、十分な注意が必要である。
相続登記
[読み:そうぞくとうき]
相続の発生に伴って、土地建物の権利者(または権利の割合)が変わった場合に、その権利の変更を登記することを「相続登記」という。相続登記をするには、法定相続分のままで登記する場合と、遺産分割協議で決定した内容に基づいて登記する場合がある。また、有効な遺言書が存在すれば、遺言書に従って相続登記することになる。法定相続分のままで相続登記をし、その後に遺産分割協議が成立した場合は、その協議の決定内容に基づいて再度、相続登記を申請することになる。
双方代理(双方代理の禁止)
[読み:そうほうだいり(そうほうだいりのきんし)]
同一人が契約当事者双方のそれぞれの代理人となって代理行為をすること。双方代理は原則として禁止されているが、これに反した代理行為が無効となるわけではなく、無権代理として扱われ、当事者本人が追認すれば有効となる。
双務契約
[読み:そうむけいやく]
契約当事者の双方がお互いに対価性のある債務を負担する契約をいう。売買、賃貸借などの契約はこれに該当する。これに対して、贈与のような当事者の一方のみが債務を負担する契約を「片務契約」という。双務契約においては、双方の債務履行が密接な関係にあるから、相手の給付があるまでは自分の債務を履行しないとの主張(同時履行の抗弁権)が認められているほか、一方の債務の消滅等において他方の債務をどうするか(危険負担)などが問題となる。
総有
[読み:そうゆう]
ある財産が団体の所有となっており、その財産が団体によって強く拘束されている状態であることを「総有」という。ある団体の財産が「総有」であるときは、各構成員はその団体財産について持分を持たない。従って、各構成員は団体財産に対して持分分割請求をすることができない。また、各構成員が団体から脱退する際には、各構成員は持分の払い戻しを受けることができない。その反面、団体の債務については団体財産だけから弁済を行なえばよく、債権者は個々の構成員の個人財産から弁済を受けることはできないとされる。
社団法人の財産は社員の総有である。また、権利能力なき社団の財産も構成員の総有であるとされている。
贈与
[読み:ぞうよ]
当事者の一方がある財産権を相手方に無償で移転する意思を表示し、相手方がそれを受諾する意思を表示し、双方の意思が合致することによって成立する契約のこと(民法第549条)。
贈与は諾成契約とされている。つまり、当事者の双方が意思を表示し、意思が合致するだけで成立する(財産が引き渡されたときに成立するのではない)。また、贈与は不要式契約なので、書面による必要はなく口頭でも成立する。本来、贈与は好意・謝意などの動機で行なわれるものであるから、契約ではないとする考え方もあるが、わが国の民法では、贈与も契約であると構成したうえで、「書面による贈与」と「書面によらない贈与」に区分し、異なった取扱いをするという方法を採用している。
「書面による贈与」とは、贈与者による贈与の意思が現れた書面が存在する贈与である。書面による贈与は書面が存在する以上、もはや撤回することができない。「書面によらない贈与」は、原則的にいつでも撤回することができるが、履行が終わった部分については撤回できないとされている(民法第550条)。
贈与税
[読み:ぞうよぜい]
贈与税の課税方法には、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つがある。いずれの方法の場合にも、財産の被贈与者が申告、納税しなければならない。
贈与税の特例(住宅取得等資金の贈与を受けた場合の~)
[読み:ぞうよぜいのとくれい(じゅうたくしゅとくとうしきんのぞうよをうけたばあいの~)]
住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置をいう。平成21(2009)年1月1日から31(2019)年6月30日の間に、20歳以上の相続人が直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けたときには、一定額までの贈与について暦年課税、相続時精算課税のいずれにおいても非課税にする贈与税の特例措置が講じられている(ただし、適用について所得制限がある)。この特例を受けて取得する住宅の床面積は、50平方メートル以上240平方メートル以下でなければならない。
相隣関係
[読み:そうりんかんけい]
隣接する不動産の所有者が相互にその利用を調整し合う関係をいう。地上権や賃借権についても同様である。
その際のルールとして、例えば民法は、境界付近で建築工事をするときの隣地の使用、袋地所有者の隣地の通行、排水など水流に関するルール、境界線付近の工作物の築造の制限などを規定している。慣習もルールとして重要で、民法に規定がある場合にも、民法と異なる慣習があるときにはそれに従うとされるルールもある。
また、騒音や振動の発生、日照妨害なども相隣関係の問題であり、法令に違反したり、受忍の限度を超えた影響を及ぼす場合などは、不法行為として損害賠償の責任を負うこともある。
促進区域
[読み:そくしんくいき]
市街地の再開発などを促進するために定められる区域のこと。
底地(底付き、底なし)
[読み:そこち(そこつき、そこなし)]
借地権等の地上権が設定されている土地をいう。そのような土地の所有権を底地権と呼ぶ。
底地の価格は、更地価格と地上権の価格との差であるが、理論上は、地代純収益を資本還元した価額が底地価格と等しくなる。更地価格に占める底地価格の割合は、土地の用途や地区の環境等によって異なるが、一般に、商業地よりも住宅地のほうが高いとされている。また、借地権等の譲渡の際に、底地権を合わせて譲渡することを「底付き」、借地権等のみを譲渡することを「底なし」と呼ぶ。
底地権
[読み:そこちけん]
ある土地に借地権が設定されているとき、この土地の所有者が持っている土地所有権のことを「底地権(そこちけん)」と呼ぶことがある。
底地権の評価額は一般的に次のように考えられている。「底地権の評価額 = 土地の更地としての評価額-借地権の評価額」つまり、借地権の分だけ土地の評価額が下落していると考えられているのである。
即決和解
[読み:そっけつわかい]
民事紛争に関して、当事者双方が起訴前に簡易裁判所に出頭してする和解をいう。「起訴前の和解」とも呼ばれる。裁判上の和解の一つとされ、調書に記載された和解には、裁判外の和解(例えば示談)と違い、確定判決と同様に、既判力(当事者や裁判所を拘束する効果)、執行力(強制執行により請求を実現できる効果)、形成力(法律関係の変動を生じる効果)という法的な効果を伴う。
即決和解は、紛争があるとき、起訴に至る前に最終的な解決を図る手段として用いられるが、権利の実行を確実にするための手法としても活用されることがある。なお、裁判上の和解としては、もう一つ、訴訟継続中になされる和解(訴訟上の和解)があるが、これは通常、裁判所の勧めにより行なわれる。
側溝
[読み:そっこう]
道路や鉄道敷に沿って設けられる小規模な水路をいう。専ら当該道路等の排水のために設置される。
外断熱
[読み:そとだんねつ]
室外側に断熱層を設け、室内への外気温移動の影響を少なくする構法のこと。
建物の外壁に使われるコンクリートは雨風を防ぎ、堅牢であるために耐久性、防犯性などに優れているが、太陽熱を蓄熱し、夜間にはその熱を空中に放熱するため、都市部の熱帯夜の主要原因ともいわれている。 鉄筋コンクリート造やブロック造などの構造躯体の外側に断熱材を張れば、外壁のコンクリートは室内側に近い温度になり、外気の影響を受けにくく、劣化も進みにくくなる。従来は、室内側に断熱材を取り付ける内断熱構法が一般的であったが、近年は断熱効率を上げるために外断熱構法を採用するケースが増えている。
損益計算書
[読み:そんえきけいさんしょ]
企業の一定期間における経営成果を明らかにする書類をいう。英語でProfit and Loss Statementといわれることから、PL(またはP/L)と略されることもある。
損益計算書は、一会計年度、半期または四半期において得られた営業収益(売上高)に対して、売上原価、販売費・一般管理費、営業外の収益・費用(本業以外の収支)、特別の利益・損失(臨時的に発生した損益)、支払い税額を、順次に加減する形で示され、最終的には純利益が算出される。これによって、その期の経営成果(損益)の状態とその発生原因が示されることとなる。
損益計算書からは、当該企業がどのように利益を得ているか、効率的に経営がなされているかなど、経営のパフォーマンス等を分析するための基礎的なデータを得ることができる。
損益通算
[読み:そんえきつうさん]
不動産所得において赤字が発生した場合は、給与所得の黒字や事業所得の黒字から、不動産所得の赤字を控除することができる(所得税法69条)。このようにある種類の所得の赤字を、他の種類の所得の黒字から差し引くことを「損益通算」と呼んでいる。
損益通算の特例
[読み:そんえきつうさんのとくれい]
不動産所得に赤字が発生したとき、その赤字のうち土地の取得のために借り入れた借入金の利子に相当する部分は、他の所得の黒字と通算することができない。これを「損益通算の特例」という。
損害賠償
[読み:そんがいばいしょう]
違法行為によって損害が生じた場合に、その損害を填補することをいう。
債務不履行や不法行為などの違法な事実があり、その事実と損害の発生とに因果関係があれば損害賠償義務を負うことになる。その損害は、財産的か精神的かを問わず、積極的(実際に発生した損害)か消極的(逸失利益など)かも問わず填補の対象となる。ただし、その範囲は、通常生ずべき損害とされ、当事者に予見可能性がない損害は対象とはならない(相当因果関係、因果の連鎖は無限に続くため、予見可能性の範囲に留めるという趣旨)。
損害賠償は原則として金銭でなされる。また、損害を受けた者に過失があるときは賠償額は減額され(過失相殺)、損害と同時に利益もあれば賠償額から控除される(損益相殺)。なお、同じように損害の填補であっても、適法な行為(公権力の行使)によって生じた不利益に対する填補は、「損失補償」といわれて区別される。
損害賠償額の予定
[読み:そんがいばいしょうがくのよてい]
不動産の売買契約において、当事者の一方が債務を履行しない場合に備えて、あらかじめ損害賠償の金額を取り決めておくことがある。このような予定された賠償金額のことを「損害賠償額の予定」と呼ぶ。
「損害賠償額の予定」を契約に盛り込むことにより、売買契約の当事者は、将来に債務の不履行が発生した場合には、実際の損害額を立証しなくとも、所定の金額の損害賠償を請求できるというメリットがある。また、実際の損害額が、予定された賠償額よりも少ない場合であっても、債務を履行しない債務者には予定された賠償額を支払う責任が生ずるので、債務者にとっては過剰な支払いとなる可能性がある。
このように「損害賠償額の予定」に関する契約条項は、当事者の一方に不利なものとなる可能性があるので、宅地建物取引業法では、宅地建物取引業者が売主となる宅地建物の売買契約においては、「損害賠償額の予定」と「違約金」との合計額が売買代金の2割を超えてはならないと定めている(宅地建物取引業法第38条)。この宅地建物取引業法第38条により、売買取引に精通していない一般の買主が不利にならないように保護しているのである。ただし宅地建物取引業者同士の売買取引については、この宅地建物取引業法第38条は適用されない。
損害賠償額の予定等の制限
[読み:そんがいばいしょうがくのよていとうのせいげん]
宅地建物取引業者が売主となる宅地建物の売買契約では、契約の解除に伴う損害賠償額の予定や違約金を定めるときは、その合計が売買代金の額の10分の2を超えてはならないという制限のこと(宅地建物取引業法第38条)。
損害賠償額の予定とは、あらかじめ契約で損害賠償額を予定しておけば、債務不履行が発生した場合に、損害を受けた側は煩雑な損害額の証明をする必要がなくなるので、損害を受けた側の権利行使が容易になるという制度である(民法第420条第1項)。また違約金とは、債務不履行が発生した場合に、義務を履行しなかった者が支払うことを約束した金銭のこと。この違約金は懲罰としての性格を持つだけでなく、相手方の損害に対する損害賠償としての性格を持つ場合もあるので、違約金と損害賠償額の予定との区別は実際上難しい。そこで、民法第420条第3項では「違約金は賠償額の予定と推定する」旨を定めている。
しかし、このような損害賠償額の予定や違約金は、大変高額になることもあり、取引に精通していない一般消費者はこれらによって不測の損害を被る場合が考えられる。そこで、宅地建物取引業法第38条では、宅地建物取引業者が売主で、宅地建物取引業者以外の者が買主である場合には、不当に過酷な損害賠償額の予定または違約金を課すことを禁止している。具体的には、損害賠償額の予定と違約金の合計額は最大でも代金の2割以内とした。また同じく第38条第2項では、「前項の規定に反する特約は、代金の額の十分の二を超える部分について、無効とする」と定めており、代金の2割を超える損害賠償額の予定と違約金の合計額が代金の2割を超えるような契約は、自動的に代金の2割にまで縮減されると定めている(この場合も契約そのものは有効なまま維持される)。
なお、この第38条は一般消費者保護の規定であるので、宅地建物取引業者が売主で、宅地建物取引業者以外の者が買主である場合にのみ適用される。
損失補償(土地収用法における~)
[読み:そんしつほしょう(とちしゅうようほうにおける~)]
収用により、土地や物件を収用された場合、土地や物件に関する従前の権利は消滅する。この経済的損失に対する対価として支払われるものを「損失補償」という。
損失補償は、土地に対する補償(土地収用法第71条)、土地に関する所有権以外の権利に対する補償(同法第71条)、残地補償(同法第74条)、みぞかき補償(同法第75条)、土地上の物件の移転料の補償(同法第77条)、物件の補償(同法第80条)、その他の通常損失の補償(同法第88条)などに大きく分けられる。損失補償を受けることができるのは、土地所有者と関係人である(土地収用法第68条)。(ただし、収用した土地の隣地等が損失を受ける場合がある。この場合は土地所有者・関係人以外の者が損失補償を受けることができる(土地収用法第93条))。
手続き面では、まず収用の裁決で、損失補償の内容と、権利取得の時期を決定する(土地収用法第48条、第49条)。この裁決の後で、収用者(起業者)が、権利取得の時期までに金銭払い等を行なうことにより、権利取得の時期において、土地や物件に関する従前の権利が消滅することになる。損失補償では、「個別払いの原則」が設けられている。損失補償は土地所有者や関係人の各人に個別に別々に支払わなければならないが、例外として各人別に見積もることが困難であるときは、複数人をまとめて支払うことも許される(土地収用法第69条)。
また、損失補償は金銭で支払うことが必要である(金銭払いの原則)。しかし替地による補償、耕地の造成、工事の代行による補償、移転の代行による補償など現物補償が行なわれる場合もある。これらの現物補償は、収用委員会の裁決によって行なう(土地収用法第70条、第82条から第86条まで)。なお、土地収用を行なう事業が変更・廃止された場合には、それによって損失を被った土地所有者・関係人が損失補償を受けることができる(土地収用法第92条)。
尊属
[読み:そんぞく]
親族関係のうち、ある人を基準にして先の世代にある血族をいう。血族とは血縁者のことであるが、民法では養子縁組によって生まれる親族も血族として扱う。例えば、父母・祖父母など(直系尊属)や、おじ・おばなど(傍系尊属)が尊属である。
尊属という概念が法的に重要だったのは、刑法で尊属殺を一般の殺人よりも重い刑に処するとされていたからであるが、その規定は違憲とされ(1973年4月4日最高裁判決)、削除されている。なお、後の世代の血族を卑属といい、同世代の血族は尊属・卑属のどちらでもない。